FOVEONの魅力を多くのユーザーに――シグマ社長インタビュー:Photokina 2006(2/2 ページ)
Photokinaでもっとも注目を集めているのがシグマブース。デジタル一眼レフ「SD14」とコンパクト機「DP1」という2台のFOVEON機を披露したシグマの山木和人社長に、Photokina会場で話をうかがった。
――さて、SD14よりもDP1のサプライズがPhotokinaで話題となっております。コンパクト機の開発は以前から計画があったのですか?
山木社長: 実はコンパクト機はフィルムでは以前からやっており、いずれはデジタルでという思いはありました。当社はSDシリーズでまず一眼レフでのデジタルの楽しさを提案したわけですが、気軽に写真を楽しみたいというニーズには、大きくて重たい一眼レフでは気軽に散歩に持ってくるということはなかなかできません。ただし、デジタルコンパクトを出すとしても他社と同じセンサーではやる意味がないので、「コンパクトだけど、ちゃんとした絵が撮れるカメラ」を目指してSD14と同じサイズのFOVEONを採用しました。
――DP1のターゲットユーザーは?
山木社長: 大型のセンサーを使って、一眼レフで撮るような画質の写真をコンパクトで撮りたいというユーザーをターゲットにしています。まじめに写真に取り組むシリアスフォトグラファーに使ってもらいたいですね。
――単焦点を採用した理由は? 14メガもあると、デジタルズームで対応できるという考えでしょうか?
山木社長: 単焦点の理由は、画質を優先したかったからです。ズームも検討しましたが、画質とズームを両立させようとするとボディが大きくなってしまう。当初のコンセプトであった「コンパクトで高画質」を追求した結果、単焦点に行き着きました。デジタルズームは3倍タイプをいれる予定です。14メガもありますので、一定の目的の中ではデジタルズームが活用できるシーンもあるかとは思いますが、当社としては単焦点カメラとして使ってもらいたいです。
――専用の映像エンジン「True」を新たに開発して搭載しているとききました。
山木社長: SD9とSD10では汎用のプロセッサを使って画像処理を行っていました。SD14も基本路線は変わらず汎用プロセッサで処理しています。開発の順序でいうと、SD14よりDP1の方が後発だったので専用DSPを前提に開発を進めることができました。
――DP1では動画も撮影できるようですね。FOVEONの動画となれば、これまでみたことのない映像世界を期待したいところです。
山木社長: 動画の開発はこれから本格的に進める段階ですので、まだどんな映像になるか私も分かりません。できるだけ期待に応えるようにしたいです。
――DP1はどういったユーザーに使ってもらいたいですか?
山木社長: まずは現在すでにFOVEONを使っているSDユーザー、それとFOVEONに興味があるんだけどシステム移行の問題などでなかなか踏み出せないユーザーにぜひ使ってもらいたいですね。FOVEONの自然な解像感を味わってもらいたいです。センサーサイズが大きいので、コンパクトでもぜんぜん画質が違います。ぜひRAWで撮ってもらいたいです。FOVEONで“楽しみとしての写真”を知ってもらいたいですね。
――DP1の発売時期は来年初頭ということですが、価格帯のイメージは?
山木社長: まだ未定ですが、もちろん一眼レフよりは安くしたいですね。ただし、大型サイズのFOVEONを使っていることもあり、現在のコンパクト機の価格帯(3万〜5万円)というのはちょっとムリです。(「10万円はぜひ切ってもらいたいです」の問いに)できるだけ希望にそえるよう、頑張ります(笑)。
銀塩フィルムライクな画質を表現できるFOVEONイメージセンサーは、個人的には登場が早過ぎたと思っていた。だが、ここ1〜2年のデジタル一眼レフカメラの急速な普及で、ようやくFOVEONをキチンと評価してもらえる環境が整ってきたといえるだろう。“絵(画質)”の良さにキチンとした対価を支払う時代が今後やってきそうだ。
SD14やDP1は、家電やPC周辺機器のような早いライフサイクルになってしまっている現在のデジカメに、アンチテーゼを投げかける製品になってもらいたい。
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