AF時も有効――EOS 40D「ライブビュー」(後編):あのデジカメ、ココが気になる
EOS 40DはAF時もライブビュー撮影が可能だが、あくまでも補助的な機能にとどまっている。
ライブビューでAFも
前回説明したよう、40Dのライブビューを使ったMF撮影は想像以上に「使える」。とはいえ、液晶を見て、画面を拡大して、ピント位置を動かして……という動作が必要なので、風景やブツ撮りのように動かない被写体の撮影時に使うのがメインで、動きのある被写体を撮るのは難しい。それに、ハイアングルやローアングルなど、液晶をしっかり見られない場面での撮影も難しい。
そういった場合はAFの方が便利で、40Dはライブビュー撮影中でもAFを行うことはできる。本体右上に用意された「AFスタート」ボタンを押すと、ミラーがダウンして液晶が消え、ボタンを押している間にAFを行う。ボタンを離すと再びミラーアップして液晶画面が表示される仕組みで、厳密にはライブビューを一時停止してのAF撮影というべきかもしれない。
ただ、この場合はミラーが上下するパタパタ音がするので、MF時より動作音は大きい。本来シャッターを切ったときに鳴るミラーの動作音が変なタイミングで鳴るのも気になるところだ。また、AF測距時の電子音をオフにしていると、液晶がブラックアウトしているのでピントが合ったかどうか分からないのも難点。それでも、1ボタンで機能を呼び出せるので「いざというときにAFが使える」という安心感にはつながる。
AFでざっくりピントを合わせ、その後MFでしっかり合わせる、という使い方もできるだろう。
良くできてはいるが、もう一工夫ほしい
確かにライブビュー時のAF撮影にも対応するが、ボタンを押す必要があるほかミラーも上下してにぎやかに音が鳴る。使いどころはなかなか難しいと言わざるを得ない。撮影機能を変更しようとメニューボタンを押すとなかば強制的にライブビューが解除されてしまうのも気になる。ある程度は仕方がないという気もするが、メニュー表示時やモード変更時もライブビューが継続しても良かったように思う。
こうした点を改良するため、「別のAF方式を採用する」「ライブビュー用CCDを用意する」といった手法もある。本製品のライブビュー(MF時)は撮影時にミラーが上下せず静かな撮影ができるので、AF時もミラーが上下しなければさらに使いやすいはずだ。また、ライブビューのメリットをいかすため、オリンパス「E-3」やパナソニック「DMC-L10」はバリアングル液晶を組み合わせている。これらに一長一短あることは確かだが、液晶が回転することで利便性が増す場面も多いはずだ。
いずれにしても、ライブビューはまだ発展途上の機能、というのが正直な感想だ。コンパクトデジカメの使い勝手を想像すると裏切られたように感じるが、ライブビューのメリットは、ファインダーの制約から離れ、デジタル一眼レフを自由に扱えることにある。ハイアングルやローアングルで撮影するとき、三脚に固定して撮るとき、ファインダーをのぞいて相手を警戒させたくないときなど、液晶を見ながら撮影できるメリットは大きい。
ただ、やはりデジタル一眼でのライブビューはメインの機能ではない。確かに視野率は100%であるし、MFでのピント合わせも楽だが、あくまで光学ファインダーの補助機能と考えるべきだ。しかし、それでもライブビューをファインダーのかわりに常用できるデジタル一眼があっても楽しいと思う。それが主流になるとは(現時点では)思わないが、ライブビューは、そんな夢も広げる機能といえるかもしれない。
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