手ブレを防ぎ、流し撮りも気軽に――EXILIM CARD EX-S10「オートシャッター」(後編):あのデジカメ、ここが気になる
カシオ計算機「EXILIM CARD EX-S10」の「オートシャッター」は、カメラが“最適な瞬間”を自動で切り取ってくれる機能。笑顔以外も自動で撮影してくれるのがユニークだ。
・前編 笑顔以外もとらえてパチリ――EXILIM CARD EX-S10「オートシャッター」
カシオ計算機のコンパクトデジカメ「EXILIM CARD EX-S10」に搭載された注目機能の1つが「オートシャッター」機能だ。カメラが“最適な瞬間”を自動でシャッターを切ってくれる、というこの機能。前回のスマイル検出に続き、今回は「ブレ検出」「流し撮り検出」をみてみよう。
ブレていない瞬間だけを撮影する
「ブレ検出」は手ブレが止まった瞬間、自動的にシャッターが切れるというもの。このモードではシャッターボタンを押した瞬間にはシャッターが切れず、手ブレが収まった瞬間を検知してシャッター自動的に切れる。
セルフタイマー(と三脚)をつかってブレを回避する方法もあるが、セルフタイマーの場合はシャッターが切れるまでの時間は決まっている。しかし、このモードではシャッターボタンを押した後、ブレが収まった瞬間をカメラが検出し、シャッターを自動的に切ってくれるため、手持ちの場合は特に効果が大きい。これもスマイル検出と同様、3段階で敏感さを調整できる。
この機能が最も効果を発揮するのは、だいたい手ブレ限界のシャッタースピード付近で撮影をする時だと思う。一般的にシャッタースピードが1/(35ミリ換算時の焦点距離)秒を下回ると手ブレしやすくなるといわれる(焦点距離が35ミリ換算で37ミリならば、シャッタースピードが1/37秒を下回ると手ブレしやすくなるということ)。この限界付近だと慎重にカメラを構えないと手ブレする確率が高くなるため、シャッターを切るのはカメラに任せ、構えることに集中することで手ブレを抑制できる。
敏感さの設定画面。3段階から選択。左(マイナス側)に行くほどシャッターが切れにくくなり、右(プラス側)にするとシャッターがすぐに切れる。もっとも敏感にすると、意図しないタイミングで切れる場合も多いので、普段は真ん中ぐらいがちょうどいい
注意したいのは、これがあくまでも「カメラ(手)の動きが収まった瞬間、自動的にシャッターを切る」機能であること。そのため、明るさが足りなかったりしてシャッタースピードが長くなってしまう場合や、被写体の動きが素早いときにはブレることもある。あくまでブレない写真を撮るための補助として考えた方がいいだろう。
もうひとつの「流し撮り検出」は、横に動く被写体にあわせてカメラを動かしてスピード感のある写真を撮影する、流し撮り撮影時に効果を発揮する機能だ。流し撮りの場合、横方向のブレは問題ないのだが、縦方向のブレがあると失敗写真になる。流し撮り検出ではカメラを振っている速度と被写体の速度が一致した瞬間、シャッターが自動で切れる。
これは当然だが、単にカメラを横に振るだけではシャッターが切れず、画面の中に動かない被写体(=カメラの動きと同じ速度で動いている被写体)がなければならない。また、シャッターが切れ始めてからのブレは考慮されない。
オートシャッターの発想は面白い。「スマイル検出」で笑顔を逃がさず、「ブレ検出」で撮影時の手ブレを防ぎ、「流し撮り検出」でカメラ初心者には敷居の高い流し撮りにも気軽にチャレンジできる。コンパクトデジカメが使われる一般的な利用シーンにおいては、写真はあくまで失敗なく記録できることが重要となる。カメラ側で撮影の失敗を防いでくれ、しかも気軽に使えるという試みは今後も進化が期待できそうだ。
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