「インテリジェント機能」――今年のコンパクトデジカメはコレで勝負:デジモノ家電を読み解くキーワード
高画素化も落ち着きを見せているコンパクトデジカメにおいて、今年“来る”と目されている高付加価値機能が、今回取り上げる「インテリジェント」機能だ。
インテリジェントオートは「合わせ技」
多くのデジタルカメラに装備されている「オート」の撮影モードだが、実際のところさほど万能というわけではない。オートモードかつ手持ちで夜景を撮れば手ブレはほぼ確実、うっかりするとフラッシュがたかれる機種まである。風景やマクロ、あるいはポートレートなど、比較的狭い範囲でのシチュエーションには対応できるが、「手持ちで夜景」や「逆光でポートレート」といった複合的シチュエーションでは、ISO感度を上げたりフラッシュをたいたり、といった撮影の知識が不可欠になる。
昨年からコンパクトデジカメに採用されはじめた「インテリジェントオート」(各社で呼び方はさまざま)は、従来のフルオート撮影モードの強化改良版ともいえる撮影アシスト機能だ。例えば夜景をバックに人物を撮る場合、カメラをその方向へ向けシャッターを切るだけで、ISO感度を上げシャッタースピードを高めるとともに手ブレ補正を行いつつ、顔認識機能により人物にもナチュラルなフラッシュを当て、夜景も人物もキレイに撮れるといった具合。オートフォーカスや手ブレ防止機能、顔認識機能など、これまで搭載されてきた各種の機能を統合した“合わせ技”ともいえる運用が、この機能の特徴だ。
これを前面に打ち出した製品としては、「おまかせiA」としてこの機能を備えるパナソニックLUMIXシリーズ、「おまかせシーン認識」として備えるソニーサイバーショットシリーズが挙げられる。
サイバーショットシリーズは「おまかせシーン認識」と、「シーン認識」を前面に出すが、従来機で好評を博した顔認識機能や「ダイナミックレンジオプティマイザー」(撮影した画像をいくつかの領域に分けて露出やコントラストを高精度に補正する機能)なども組み合わせることからすると、インテリジェントオートの一種に分類して差し支えないだろう。
シャッターチャンスで2枚撮り
そのインテリジェントオートを構成する要素の中で、キーともいえる存在が「自動シーン認識」機能だ。
自動シーン認識は、カメラを被写体に向けると被写体の種類や構図を分析し、あらかじめ用意された撮影モードの中から最適と判断されたものを自動的に適用・設定する機能。具体的には、花をアップで撮影しようと寄ったときにはマクロモードで、山や海の遠景を撮影しようとしたときには風景モードで、といった働きを挙げることができる。LUMIXシリーズの場合、顔/風景/接写/動き/顔&夜景という5つのシーンを自動認識してくれる。
ユニークなのは、サイバーショットシリーズの一部に装備された「おまかせシーン認識アドバンス」。一度シャッターを切るだけで、自動シーン認識での撮影と通常のオート撮影を同時に行うことで、難しいシチュエーションでの失敗を減らしてくれる。フィルム残量を気にせず済む、デジタルカメラならではの気が利いた新機能だ。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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