「ダビング10延期」はBDレコーダーにも冷や水:デジタルレコーダー販売ランキング(5月19日〜25日)(2/2 ページ)
オリンピック商戦を控えて各社の最新レコーダーが出そろった。BDレコーダーの人気は? ダビング10開始延期の影響は? 販売ランキングから確認してみよう。
BDについてはHD DVDとの規格争いも終了したことから、次に買うならばBDレコーダーという消費者心理が形成されつつある。現在はまだ安価なクラスの製品でも実売では10万円を切るのがやっとであり、最新の映像コンテンツもまだDVDでリリースされるケースも多い。しかし、それらは時間がたてば解決する問題であり、総じて言えばBDレコーダーは市場における離陸時を迎えていると言える。
もうひとつのダビング10については、正直なところ出口が見えなくなっている。
当初は6月2日開始とされていたが、開始の条件として権利者側が求めていたHDDレコーダーなどへの私的録音録画補償金制度の適用についてJEITAなどが反発。5月に行われた文化審議会著作権分科会や情報通信審議会でも両者の溝は埋まらず、5月29日に行われる予定だった私的録音録画小委員会は、「一部の委員が、最終的な意見を表明する状況にない」(文化庁)ため、延期となってしまった。
ダビング10の技術要件は既に完成しており、Dpaによれば受信機/録画機の室内テスト、放送衛星を用いた信号受信テストも完了している。対応をうたうレコーダーならばダビング10が開始されれば、放送波ダウンロードなどによるアップデートで、HDDから最大でコピー9回(+ムーブ1回)が可能と、録画番組の自由度は飛躍的に高くなる。デジタル放送のコピーワンスに窮屈さを感じていたユーザーにとって、これは大きな魅力となるはずだ。
しかし、いくら「対応」とうたっても、現時点では「対応予定」に過ぎない。今回のデータ集計期間(5月19日〜25日)の時点で既にダビング10の開始延期が濃厚であることが各メディアにて報じられており、「新しいレコーダーの購入はダビング10が始まってからでもいい」と相当数のユーザーが考えても不思議はない。
ソニーは特に顕著だが、今夏のデジタルレコーダー商戦の目玉は各社ともにBDレコーダーだ。前で指摘した本体価格とソフトについては各社とも状況を織り込んだ上で製品展開を行っているはずだが、高画質・長時間の録画が可能なBDのメリットを生かせる新要素であるダビング10の開始時期決定がここまで延び延びになるとはメーカー各社も想像していなかったに違いない。ダビング10の開始延期は、今夏に本格的な離陸が目されていたBDレコーダーに冷や水を浴びせたといえる。
ダビング10がいつ開始されるか――。今夏のデジタルレコーダー商戦はこの1点に大きく左右されそうだ。
関連記事
- 6月2日午前4時:各社レコーダー、ダビング10対応予定一覧
6月2日午前4時の開始が予定されている「ダビング10」。各社レコーダーの対応状況をまとめてみた。 - 「地デジに補償金不要」8割――JEITAがアンケート
「地デジ録画機器には補償金不要」は78%、「携帯オーディオに補償金を課すことに反対」は85%――JEITAがこんなアンケート調査結果を公表した。 - 権利者側「メーカーが議論を振り出しに戻した」 「ダビング10延期」問題で会見へ
JASRACなど著作権関連28団体は、29日に予定していた「私的録音録画小委員会」が、メーカー側の委員の都合で延期されることに関連し、「メーカーの社会的責任と補償制度」と題した会見を開く。 - 「ダビング10」6月2日開始は絶望的 録音録画小委員会が延期に
文化庁は、29日に開く予定だった私的録音録画小委員会を延期する。iPodやHDDレコーダーに補償金を課金する方向で29日に議論をまとめる方針だったが、JEITAなどの反対で合意が難しいと判断した。 - BDレコーダー、北京控えさらに価格低下も
五輪商戦を控えBDレコーダーがDVDレコーダーを猛追、低価格BDレコーダーの充実も期待される。BCN調べ。 - ダビング10「日時確定できないのが共通認識」、Dpaが状況報告
「日時を確定することができない状況」。デジタル放送推進協会(Dpa)がダビング10の開始延期を現状として認める報告。 - 「ダビング10」延期問題、「メーカーの主張が分からない」とJASRAC菅原常務理事
「みんながそれぞれ少しずつ不満を残しながらも、コンセンサスを得ようとしていたのに」――JASRACの菅原常務理事は「ダビング10」や「私的録音録画補償金」をめぐるメーカー側の対応に不満を漏らした。 - 「ダビング10」延期濃厚 Dpa「対応を協議中」
デジタル放送番組の新録画ルール「ダビング10」の開始が、予定の6月2日から延期される可能性が濃厚に。デジタル放送推進協会(Dpa)は「対応を協議中」としている。 - 文化庁「iPod課金=補償金拡大ではない」 JEITAと対立
iPodやHDDレコーダーなどへの課金を含む、録音録画補償金制度の改定案を文化庁が提示した。JEITAなどメーカー側は「補償金制度の拡大に向かっているようにしか見えない」と指摘。文化庁は「誤解だ」と反論した。 - 各社レコーダー、ダビング10対応予定一覧
6月2日午前4時の開始が予定されている「ダビング10」。各社レコーダーの対応状況をまとめてみた。 - MPEG-4 AVC/H.264録画対応の普及型“ハイビジョンDIGA”
パナソニックが、MPEG-4 AVC/H.264ハイプロファイルを用いたフルハイビジョン長時間録画に対応した“ハイビジョンDIGA”を発表。HDD搭載「DMR-XP12」とHDD/VHS一体型の「DMR-XP22V」の2機種。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.