「CELL REGZA」はマルチチャンネルもよく似合う(3/3 ページ)
マルチチャンネルではセンタースピーカーとして動作する「CELL REGZA」のスピーカー。今回は、スピーカー単体の実力に加え、ヤマハのAVアンプおよびスピーカーと組み合わせたときの音質や使い勝手を検証した。
やはり本格的なサラウンド、しかも良質な製品によるシステムは素晴らしい。特に空間表現に関してはまったくの別物で、いままではディスプレイ周辺から聞こえていたサウンドが、部屋の隅々まで拡がったかのよう。サブウーファーによる低音ボリュームの増大とも相まって迫力が倍増し、映画や音楽に一段とのめり込めるようになった。
また先ほど気になっていた、ディスプレイ下部のレイアウトによる音場位置の低さも、フロントスピーカーを追加することで一気に解決。音場が上がって、画面から音声が出ているかのようになった。センタースピーカーの位置は変わっていないのだから不思議な感じがするかもしれないが、左右のNS-F700から出る音が、全体を上方向に持ち上げる効果を生んでいる。
解像度感に関しても、良好さがグッと増した。役割がセンタースピーカーに限定されたため、再生する帯域が狭まり随分楽になったのだろう、質の高い単体スピーカーとの同時使用にも充分応えられる実力を発揮するようになった。近寄って単体で聴いても、先ほど感じたようなキメの粗いイメージは払拭されている。

センタースピーカーモード設定。オートにしておくと、HDMI CECでAX-V1065の電源オンを検知して自動的にセンタースピーカーモードへ移行する(左)。イコライザーはフロントスピーカーと音色を合わせる際に有効(右)逆に言えば、センタースピーカーとして単体スピーカーと同居できる実力を持ち合わせている方が驚きかもしれない。一般的なフラットディスプレイでは、機能面はもとよりクォリティー面においても考えられないプランだ。
CELL REGZAは、映像だけでなく音声に関しても、高いクォリティーを持ち、かつサラウンドシステムとの整合性も高い素晴らしいシステムといえる。しかしサラウンドシステムを活用したシステムを聴いた後では、断然こちらを楽しみたいと思うのも確かだ。そのまれに見る美しい映像を存分に楽しむため、晴れてCELL REGZAオーナーになった人には、マルチチャンネルシステムの導入も検討してほしい。
それは、従来のテレビのように貧弱な音を置きかえるのではなく、システムとしてのCELL REGZAを拡張する前向きな選択だろう。センタースピーカーを必要としないぶん、コストはもとより設置のスマートさも含めて充分満足できると思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東芝「CELL REGZA」 “非常識”へのチャレンジ
「テレビの非常識を作りたい」。そんな気持ちが想定外の結果をもたらしたのが、「CELL REGZA」のスピーカーだ。その顛末を東芝の本村氏と桑原氏に聞いた。
この冬最大の話題作「CELL REGZA」で観るBD「スラムドッグ$ミリオネア」の喧騒と光彩
2009年冬のテレビ最大の話題作といえば、東芝“CELL REGZA”だろう。この時代に55V型で100万円という値段に驚かれた方は多いだろうが、詳しく見ていくと、その内容の濃さには目を見張る。
CEATECに見えた、“非日用品”テレビを目指す2つの潮流
“3D CEATEC”とも言われた今年のCEATEC JAPAN。ややもすると3Dばかりが注目されるが、麻倉氏は日常品化の進む薄型テレビの現状を打破する2つの潮流があると指摘する。
ヤマハの“新世代AVアンプ”に2つの上位モデルが登場
ヤマハは、同社の“新世代AVアンプ”と位置づける「AXシリーズ」の上位モデル「AX-V765」および「AX-V1065」を6月下旬から順次発売する。音質を重視して基板から新設計。シネマDPSの3Dモードも搭載した。
ヤマハ、「NS-700シリーズ」にピアノフィニッシュバージョン
ヤマハは、スピーカーシステム「NS-700」シリーズにピアノフィニッシュ仕上げの4モデルを追加した。



