画質と録画機能が魅力、日立「P46-XP035」で観る「天使と悪魔」の美しき宗教画:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.42(2/2 ページ)
昨年の各社の大画面テレビをふかんして、とくに印象に残ったのが日立製作所の“Wooo”だった。中でも画質向上が著しかったプラズマ機「XP035」シリーズにフォーカスしてその魅力ポイントについて語ってみたい。
TSX4モードの画質に感心
EPG録画時に必要な電子番組表もスマートだ。右上に現在選んでいる局の番組が動画表示され、最大8局6時間の番組表が現れる。文字情報が増えてより読みやすい6局表示や1局1週間表示も可能。いっぽう録画済番組リストも非常に見やすい。10番組が縦にずらりと並べられ、ファイル名、番組名は最大32文字まで表示される。また、そのすべてに動画サムネイルが付くのもうれしい。
また。実際に操作してみて便利だったのは録画選択で、同一画面上に『録画先』『録画モード』『フォルダー指定』の他、『毎週予約』の項目があり、『する』『しない』をそこで選択できる。『する』に設定しておけば、気に入った連続ドラマなどを録りこぼすことがなくなるわけで、これも他社製品を大きくしのぐ使い勝手のよさだと思った。
さて、XP035シリーズは、先述したように内蔵HDD の容量が500Gバイトに倍増され、この春の03シリーズから採用された8倍録画モード“TSX8”を使えばハイジョン放送の400時間録画が実現できる。また、カセットHDD「iVDR-S」の320Gバイト・タイプと連携させれば、なんと650時間強の超長時間ハイビジョン録画が可能だ。
さて、Woooの録画モードだが、従来はMPEG-2録画のTSモードとTSEモードのみだったが、03シリーズからより高効率な画像圧縮が可能なMPEG4AVC/H264録画モードが加わった。ストリーム記録に対して4倍の長時間録画が可能な“TSX4”モードと先述の8倍録画モード“TSX8”である。
転送レートが約3MbpsのTSX8は、その低レート設定から予想される画質よりは好印象だが、何よりぼくが感心したのは、TSX4モードの画質のよさである。MPEG-2圧縮のTSEモード(約11Mbps)に比べて、転送レートが半分近い(約6Mbps)TSX4モードだが、見比べるとノイズ感の少なさは前者だが、水平解像度1920本を維持するTSX4のほうが、ハイビジョンらしい先鋭さが感じられるのである(TSEモードの水平解像度は1440本)。ぼくならTSX4を常用モードにして、XP035を長時間録画テレビとして使いこなしたいと思う。
さて、テレビのネットワーク対応も徐々に進んでいるが、Woooはネットコンテンツ「アクトビラ ビデオ・フル」のダウンロードサービスに初めて対応したテレビでもある。同サービスの「TSUTAYA TV」の映画コンテンツは、MPEG-4 AVC/H264の平均約10Mbps、最大20Mbpsの可変ビットレート方式が採用されているが、その画質はストリーミング時とは段違いの素晴らしさだ。厳密に見比べたことはないが、MPEG-2/約22Mbps固定のBSデジタルの映画プログラムの画質とじゅうぶん勝負できるレベルではないか。音声方式もAAC5.1/2.0チャンネルなので、これもBSデジタルと互角。プログラム数がもっと増え価格も下がっていけば、「アクトビラ ビデオ・フル」のダウンロードサービスは、便利なネットコンテンツとして、熱心な映画ファンにとって見逃せない存在になっていくかもしれない。
また、ダウンロードセルで購入したプログラムは、最大2回のダビングが可能で、iVDR-Sにダビングした後も内蔵HDDに残ることになる。つまり、ルータを介してLAN接続された別室のDLNA対応テレビやPCで、その内蔵HDDに残されたコンテンツを観賞することもできるわけだ。他社製品にはない、こういうWoooならではの発展性にも、ぼくは大きな可能性を実感する。
Woooの録画機能とネットワーク対応を中心にその魅力ポイントを解説したが、もちろんプラズマのXP035シリーズの画質のよさを忘れるわけにはいかない。
46V型のP46-XP035で映画BD ROM「天使と悪魔」を観たが、最新映画作品らしい鮮鋭度とS/N感の高い、切れ味抜群の画質をみごとに表現し、ぼくを驚かせた。
「天使と悪魔」は「ダ・ヴィンチ・コード」に引き続いてトム・ハンクス演じるハーヴァード大学の宗教学者ラングドンが、カトリック教会の総本山ヴァチカンに乗り込み、「古文書探偵」として大活躍する宗教サスペンス。キリスト教に対する知識が薄い日本人にはいまひとつピンとこないエピソードが多かった「ダ・ヴィンチ・コード」に比べると、本作のほうがよりエンターテインメント色が強く、24時間以内に誘拐殺人と爆破予告の2つを解決しなければならない素人探偵の右往左往をハラハラドキドキ見守ることになる。
P46-XP035 で本作を観て唸ったのは、ヴァチカン/ローマの歴史の重さを実感させる教会や街並みの重厚な美しさ。ディティールの表現が実に見事で、観ている自分がヴァチカンのなかをラングドン教授と一緒に駆け回っているかのようなイリュージョンさえ味わうことができる。CGで描かれるラスト近くの夜空を染める「反物質」の爆発も、教会のドーム天井に描かれた宗教画のような神秘性に満ちあふれている。高解像度のBD ROM映画を優れた大画面フルHDテレビで観る醍醐味(だいごみ)を満喫した。
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