ただ、AVCHDをサクッと編集したいだけなんだ――「EDIUS Neo 2 Booster」を試す:AVCHDネイティブ編集の実力は?(3/3 ページ)
春はビデオカメラが活躍する季節だが、現在主流のAVCHD形式はなにかと編集しにくく困ることが多い。今回はAVCHDが“軽い”とウワサの編集ソフトを検証する。
ビデオ編集ソフトとしての基本機能も充実
EDIUS Neo 2 Boosterの機能面での特徴も簡単に見ておこう。映像編集の機能は、基本的にEDIUS Pro 5のものとほぼ同じだ。タイムラインを「シーケンス」としてファイルのように扱うことで、入れ子の構造を簡単に作り出せたり、タイムラインに読み込んだ各ファイルを、キーフレーム操作対応のレイアウト機能によって、高画質を保ったまま動的に配置できたりと、高度な機能を持つ。字幕やタイトルといったテキスト要素の入力や編集には、EDIUS Pro 5と同じ専用ソフト「Quick Titler」が利用できる。
EDIUS Neo 2 Boosterで省略されたのは、複数のカメラで同時に撮影した映像を効率よく編集するための「マルチカム編集モード」や、別のプロジェクトファイルからシーケンスだけを取り込む機能などだ。これらは数多くのプロジェクトを短時間でこなすプロにとっては確かにありがたいが、決定的に必要なものでもないし、ユーザーの工夫次第でカバーできる範囲なので、大きな問題にはならないだろう。
一方、読み込んだ音声ファイルを整えたり、効果を付けたりする機能では、外部のVSTプラグインを読み込めるのはうれしいが、音声レベルを一括して管理するためのオーディオミキサーウィンドウや、音声レベルを簡単に均一化することが可能なノーマライズ機能といった、プロよりもむしろコンシューマーにとって助かる機能が省略されているのは残念だ。
編集作業が完了したら、ファイルやディスクに保存する作業を行なうわけだが、このとき「Blu-ray」や「HDV」といった形式でのファイル出力、もしくはBlu-ray Discへの書き込みを行なう場合に限られるものの、前述のFIRECODER Bluを装着していれば、タイムラインを直接、ハードウェアの支援を得て高速に書き出せる。
AVCHD映像を用いたフルHDのタイムラインを書き出す場合、ソフトウェアだけだと、Core i7 860搭載機でも実時間の2倍以上を要するのに対し、FIRECODER Bluを使えば、実時間未満でエンコードを完了できるのはありがたい。
ただ、必要な部分だけを再エンコードする、いわゆるスマートレンダリング的な機能は、HDVファイルにソフトウェアで出力する場合のみ利用可能だ。AVCHDについてはせっかくのネイティブ編集でも、出力時に必ず全体に再エンコードがかかってしまうのは惜しい。
ちなみに、EDIUS Pro 5で作成したプロジェクトファイルの読み込みについては保証されていないが、EDIUS Pro 5専用のエフェクトなどを適用していなければ、そのまま読み込める可能性がある。試した限りでは、複数のシーケンスを入れ子構造にしたプロジェクトも正しく読み込むことができた。
新しい時代をひらくAVCHD編集ソフトになるか
家庭用ビデオカメラとしてはもちろん、業務用ビデオカメラの世界でもAVCHDは撮影フォーマットとしての地位を確立し、いよいよ本格的な編集環境へと目が向けられてきている。ところが、プロキシ編集や別コーデックへの変換といった従来の手法は、比較的世代の古いハードウェアでも動作する半面、時間と手間、それに結局は機材も膨れがちな方法であることから、広く普及するにはどうしても限界があった。というより、HDビデオカメラのビデオ編集をPCでやるのは面倒だと、最初から敬遠されているとしたら残念としかいいようがない。
さらに、市販の個人向けビデオ編集ソフトは、ほとんどが1万円前後と値ごろではあるものの、Windows標準の「Windows Live ムービーメーカー」やフリーのビデオ編集ソフトの多機能化が進んだこともあり、「AVCHDの編集が面倒もしくは重い点では、フリーの環境も市販ソフトもたいして変わらない」といわれてしまえば、お金を出して購入するだけの魅力が見えにくくなってしまう。
こうした現状にあって、ファイル変換などの余計な準備を必要とせず、しかもソフトウェアだけでDV編集と同様の軽快なAVCHD編集を実現したEDIUS Neo 2 Boosterは、新しい時代をひらくビデオ編集ソフトといえる。プロ版のEDIUS Proはもちろん、エントリーユーザー向けの「エディウスJ」のようなソフトにもこのエンジンが搭載されれば、ビデオ編集をめぐる市場の地図が大きく変わっていく可能性をも感じさせる存在だ。
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