見た目も美しいソニー“3Dブラビア”で観るリアルな奥行感:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.46(2/2 ページ)
今回は、試作機を見る機会のあったソニーの3D“レディー”モデル「HX900シリーズ」について触れたいと思う。デザインの美しさもさることながら、ソニーのトップエンド・モデルらしい、よく磨き込まれた繊細な画質を楽しませてくれた。
いま話題のLED照明だが、電源周波数をそのまま光のパルスとして用いたタイプは、偏光膜付きメガネを使用する3Dテレビのある部屋では絶対使わないほうがいい(とくに50Hzの東日本では)。インバータータイプの蛍光灯は、フリッカーの問題から逃れられるケースもあるが、ぼくはテレビを観る部屋こそ、演色性のよい(=色がきれいに見える)白熱電球を使うべきだと考える。
消費電力と寿命という観点のみで燃焼光源の白熱電球は悪者扱いされ、国内メーカーの東芝ライテックはその製造を止めてしまったが、世の中の照明すべてをLEDにしようというのは、それこそエコ・ファショではないかと思う。部屋を満遍なく明るくする“全体照明”という考え方に捕らわれているから、白熱電球の消費電力が問題になるわけで、白熱電球を落ち着きのある明るさを抑えた間接照明に使えば、消費電力の点でもさほど問題ないし、なによりそのテレビの画質のよさが際立ってくるはずだ。
ITmediaのインタビューでも、以前東芝ライテックの方が、「色を評価する環境では、演色性にまだ問題のあるLED照明は使わないほうがいい」という旨の発言をされていたと記憶する(→関連記事)。分かっている人は分かっているのだ。照明1つで部屋の雰囲気、テレビの画質ともに激変するということをもう一度きちんと確認しようではないか。欧州では演色係数の高いLED照明が売られ始めたという話も聞くが、現時点で演色性に最も優れた白熱電球は絶対必要だ。照明の役割をきちんと理解して、使うべき場所で賢く使うことを考えよう、というのがぼくのささやかな提言である。
さて、今回の3Dブラビアには「2D→3D変換」機能が装備されている。本機のそれをいくつかのソフトで試してみたが、効果はかなり抑え目で、自然な奥行感の生成に留意したと思えるチューニング。予想したほどの違和感はなかった。ただし、3Dメガネをかけることで画面が暗くなるのは厳然たる事実だし、メガネをかけた状態でのホワイトバランスをもっと追い込んでほしい。そうでなければ、3Dメガネを装着するウザったさがある以上(ぼくのようにふだんから近視矯正用メガネをかけている人間にとっては、とりわけだ)、この機能を積極的に使いたいとはとても思えないのである。
本機HX900で残念だったのは、音質の貧弱さ。デザイン優先でスピーカーを隠したインビジブル・スタイルを採っている以上仕方ないかもしれないが、これじゃあ「SONY」の看板が泣いている、と思う。本機を購入したら、ぜひ画質のよさに見合うホームシアター・システムを組むことをお勧めする。できれば、粗野な音のシアターラックではなく、きちんとした単品スピーカーを組み合わせて。「This is it」や「アバター」の素晴らしい迫力のHDオーディオ・サウンドを体験するにつけ、「BD ROMは音が命だ!」とつくづく思う。
型番 | KDL-52HX900 | KDL-46HX900 |
---|---|---|
3D対応 | オプションで対応 | |
バックライト | 白色LED直下型、部分駆動あり | |
チューナー | 地上デジタル、BSデジタル、CS110度チューナー×1、地上アナログチューナー×1 | |
入出力端子 | HDMI×4(側面に2)、D-Sub 15ピン、LAN、USBなど | |
外形寸法(標準スタンド含む) | 1263(幅)×807(高さ)×400(奥行き)ミリ | 1124(幅)×727×400(奥行き)ミリ |
重量(標準スタンド含む) | 42.9キログラム | 36.2キログラム |
実売想定価格 | 47万円前後 | 39万円前後 |
発売日 | 7月16日 |
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