“Z”の品格――LED REGZA「Z1シリーズ」(後編)(2/2 ページ)
デザインから映像エンジンまで一新して登場した東芝“LED REGZA”。3シリーズ26モデルのラインアップの中から、REGZAの代名詞ともいえる“Z”シリーズについて、開発担当者に詳しく話を聞いた。
映像モードの整理と変化
――映像モードの変化についても教えてください。Z9000まであった「映画プロ2」がなくなり、それぞれのモードについてのコンセプトも変わったと聞いています
住吉氏: 本来は「おまかせ」モード(おまかせドンピシャ高画質)ができたときに整理するべきだったのかもしれません。あのときは従来の映像モードを継承したので、今回、改めて映像モードを整理しました。
例えば、「映画」モードは、部屋の照度を200〜300ルクスに落としたときに最適なモードでしたが、「おまかせ」モードでカバーできるのでなくしました。「映画プロ」は映像マニアや評論家をうならせるモードで、間接照明程度の明るさがある視聴環境を想定しています。従来(Z9000)の映像モードでいえば、「映画プロ2」相当ですね。
Z1シリーズでは、映像モードごとに調整結果をメモリーできるようになりました。従来は、お客様がこだわりの調整を行うと「メモリー」というモードに保存されていましたが、後で何のモードをベースに調整したかが分からなくなっていました。今回から各映像モードに調整を加えた場合、各映像モードの横に「・メモリー」と表示されるのですぐに分かります。
また、入力端子ごとに好きな映像モードからチューニングした値を保存できるようになりました。例えば「HDMI1」という入力に対して、「映画プロ」モードをベースにチューニングしたものを割り当てたり、「HDMI2」という入力に対して「標準」モードをベースにチューニングしたものをメモリーするといった具合です。
――とても便利ですけど、メモリを食いそうですね
住吉氏: とんでもなく増えてしまいましたね。社内から苦情が来たくらいです(笑)。
ただ、ここまでこだわった映像モードを持っているのに、それが入力端子ごとに設定できないのは、やはりおかしい。接続するプレーヤー/レコーダーによっては特有の絵作りなどもありますから、同じ絵を出そうと思えば入力端子ごとに値を変える必要があります。今回は、各入力端子でそれぞれの映像モードを調整して保存できますので、メモリー数はとんでもなく増えています。
――最後に、開発者から見たZ1シリーズの評価を聞かせてください
本村氏:テレビの映像エンジンは、ハードウェアとソフトウェアで決まります。「メタブレイン」という映像エンジンは、Z8000以降、メインのLSIは変わらず、周辺に超解像処理のLSIなどを追加して機能を進化させてきました。しかしZ1シリーズでは、これまでの進化の延長線上ではなく、新たに1からLSI作り、“次世代レグザエンジン”と名付けました。
このため、いままではハードウェアの限界でできなかったことも大胆に手を入れることができました。とくにZ1シリーズの場合はコアLSIを2個使用して、さらに周辺チップも加えています。今後は当然、これを進化させることになります。3D時代になってもこのエンジンで展開していくつもりです。
住吉氏: エンジン以外では、全機種IPSパネルを採用し、パネルそのものも改善されている点に注目してほしいですね。とくに階調性が非常に良くなったという点は、われわれも実感しています。さらに47V型以上は視野角改善のフィルターも搭載し、精細感も上がっています。バックライトのエリアコントロールも可能になりましたので、IPSパネルの欠点といわれるコントラスト感もかなりの部分を補えるようになりました。
よりコントラスト感、精細感のある映像になり、IPSの良さである階調性などもうまく生かされています。Z1シリーズは、Z9000シリーズの後継ですが、「かなりステップアップした後継機」になったと思います。かなりご満足いただけるはずです。
また、音に関してもCELL REGZAで培ったノウハウを導入してかなり良くなりましたから、全体としては非常にバランスのいいテレビになりました。私自身も「47Z1」が欲しいと思っています。
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