東芝の“クラウドテレビ”構想、「レグザ Apps コネクト」とは?:CEATEC JAPAN 2010(2/2 ページ)
東芝は、クラウドを活用してテレビやBDレコーダーを有機的に“つなげる”新サービス「レグザ Apps コネクト」を発表した。同社の「クラウドテレビ構想」について、東芝ビジュアルプロダクツ社の片岡秀夫氏と、REGZAの商品企画・マーケティングを担当する本村裕史氏に話を聞いた。
タグリストが番組の視聴スタイルを変える?
RDコマンダーのもう1つの目玉は「タグリストシェア」だ。実はこちらがクラウド連携を利用する新提案となっている。
タグリストとは、録画番組にチャプターのような区切り(実際にはチャプターではなく、時間を指定するだけ)をまとめ、コメントを付けてリスト化したもの。いわばBDやDVDタイトルのチャプターリストのようなものだが、例えばある番組のタグリストが公開されていて、自分も同じ番組を録画しているなら、ネットワーク経由でタグリストをiPhoneに取り込むだけで、タグリストに沿った頭出しが簡単に行える。つまり、誰かが作った“オススメシーン集”が簡単に手に入るのだ。
例えばサッカー中継。応援するチームの見どころを集めたタグリストやお目当ての選手だけにフォーカスしたタグリスト、あるいは珍プレー集や「かわいい観客発見」といったタグリストを作る人もいるかもしれない。RZコマンダーでは、録画した番組ごとにいくつのタグリストがアップされているかが一目で分かり、タップするだけでダウンロード可能。全録のCELL REGZAであれば、過去7日分の録画番組から人気の高いもの(タグリストが多く公開されているもの)を探して見るといった使い方もできるはずだ。
「タグリストを使えば、1つの番組をユーザーごとに異なる、さまざまな視点で楽しむことができます。録画番組をためすぎてしまい、結局見ないままHDD内に死蔵されているタイトルも多いはず。タグリストは、そうした番組を見るきっかけになったり、視聴時間を短縮して効率的に番組を視聴するお手伝いができると思います」(片岡氏)。
また、ほかのユーザーが作ったタグに対してコメントを残したり、一部を改変して公開するといったコミュニケーションの仕組み(リツイートならぬ“リタグ”と呼ぶ)も用意する。コメントはツリー構造の“スレッド”としてまとめられるため、掲示板のような展開も期待できる。既にネットユーザーの間では、放送番組に対してリアルタイムのコメントを加える“実況板”などがコンテンツの楽しみ方として確立されているが、タグリストシェアはそれを録画番組に広げ、時間的な拘束をなくした新しいコミュニケーション手段といえるかもしれない。
また、タグリストは新しいビジネスの仕組みとしても注目されている。例えば、今回の発表会にデモンストレーション用の映像を提供したスカパー!は、番組に対する“公式タグリスト”の公開を検討しているという。有料放送加入の動機付けや再放送のバリューアップにつなげるのが目的だ。
RZコマンダーは、上記の通りiOS版からスタートするが、片岡氏によると、プラットフォームは問わない。「ゆくゆくはAndroid版やWindows版も提供する」と話している。また、クラウド連携を利用してテレビやレコーダーを便利に使うアプリを年内にあと2つは提供する計画だという。
「RZコマンダー以外にも、さまざまなジャンルのAppsを開発しています。リモコン機能のさらなる進化やソーシャルとの連携、家庭内コンテンツ共有の進化など、さまざまなことが考えられます。ネタはたくさんありますよ」(片岡氏)。
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