省エネ照明時代の新指標「Feu」って何だ?:ライティングフェア2011(2/2 ページ)
パナソニックが独自に開発した“空間の明るさ”を示す指標「Feu」(フー)。一体、どのような指標で、何の役に立つのだろうか。パナソニック電工の“Mr.Feu”(ミスター・フー)に話を聞いた。
Feuが不安を解消する?
ここまでFeu値の測定方法を紹介したが、実はFeuが本領を発揮するのは建物を建てた後よりも建てる前、あるいはリフォーム時のようだ。CGシミュレーションを用いたFeu値の予測は、定量的な照明設計を可能にした。それはLEDや有機ELといった新しい照明が続々と登場している今こそ重要だと岩井氏は指摘する。
「新しい光源が出てくると、(設計士や建て主など)皆が不安になります。今までにない光源ですから、白熱灯などと違って設計段階で完成時の明るさをイメージすることができません。しかしシミュレーションによってFeu値が算出できれば、その不安を解消できます」。
たしかにLED照明は電球よりも直線的に光を発するため、思ったような配光が得られなかったという声も多い。このため、配光角の広いLED電球を各社が開発しているのは既報の通りだ。また、今後登場する有機EL照明はなおさら。パナソニックブースにも2012年度中に市場投入するという有機ELパネルが参考展示されていたが、3000カンデラという数値だけで導入後の室内を想像することは難しいだろう。
そしてFeuは、省エネにも役立つ。例えばリニューアル時に照明をLED化した「ららぽーと豊洲」では消費電力を6割も削減できたが、さらにFeuを利用して照明設計を行うことで、10〜15%の削減率を上乗せしたという。必要以上の照明器具を設置することがなくなったからだ。
「店舗などの場合、メインの照明(ベース照明)が明るくなると、スポットライトの効果が薄れてしまうので、スポットライトをさらに高出力にするケースがありますが、これは無駄です。逆に両方の出力を下げたり、余分な照明を省くことにより、適切な明るさで省エネにもなります。設計時に余分な照明器具をなくせば、初期投資の無駄も省けるのです」
ほかにも成田空港の新ターミナルや長崎市立図書館、JR宝塚駅など、Feuを利用して照明設計を行った事例は多い。また大手設計会社など、Feuに賛同する企業や建築家も増えている。今後、新しい照明とFeuの浸透に伴い、省エネの建物も増えていくことだろう。なお、「Feu」はフランス語で“炎”の意味で、それ自体にあまり意味はないようだ。
「ライティング・フェア2011」の会期は2011年3月8日(火)から11日(金)まで。開催時間は、10時〜17時(最終日のみ16時30分まで)。入場料は一般1500円だが、Webサイトから事前登録を行えば無料になる。
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