日立の録画テレビは“総力戦”、さらに熟成された“プラズマWooo”:本田雅一のTV Style
昨年、エコポイント半減直前に私がコストパフォーマンスなら最高と伝えた日立コンシューマエレクトロニクスの“Wooo”。その後継機は、パネルなどのメジャーアップデートはないものの、それだけに熟成された印象を受ける。
昨年、エコポイント半減直前に私がコストパフォーマンスなら最高と伝えた日立コンシューマエレクトロニクスの“Wooo”「XP05シリーズ」。残念ながら、昨年末は本格的な商戦期に入る前に製品が売り切れてしまっていたが、先日その後継モデル「XP07シリーズ」が登場した。他社が映像エンジンを総入れ替えしている中、日立は昨年のうちにプラットフォームを入れ替えたため、EPGの表示速度やネットワーク機能などは十分。ますます熟成された面がある。
製品の位置付けとしては、タンデム型のローカルディミング対応液晶テレビ「ZP05シリーズ」の下位モデルとなっているが、ZP05シリーズとXP07シリーズは、機能的な面での違いはあまり大きくないため、プラズマテレビを所望するのであればXP07シリーズ、液晶が良ければZP05シリーズを選べばいいだろう。明るい部屋で高輝度のダイナミックレンジが広い映像を楽しみたいのであればZP05シリーズは魅力だが、やはり個人的にはコストパフォーマンスの高いテレビとしてXP07シリーズに注目したい。
とくにプラズマパネル採用の50インチと46インチは良い印象だ。ご存じのように、現在の日立製プラズマテレビは、パナソニックからパネルを調達しているが、そのパナソニックは今年、パネル更新のタイミングとしてはマイナーチェンジに当たるため、昨年に比べて劇的な変化があるわけではない。しかし、もともと優秀だった画質は、さらに改善された。
機能面でも、定評のある自動画質調整機能が改善されるなど、見るべき点は多い。中でも一番の注目は、やはり録画機能だろう。まず地デジ3チューナーを搭載し、最大8倍の長時間録画機能(XCodeHDによるトランスコード)も2番組同時に対応したことで、裏番組を2つ録画しつつ、表で好きな番組を選べるようになった。一般的なダブルチューナー搭載レコーダーを上回る使い勝手を実現しているのだ。
また日立のテレビ内蔵録画機能は長い歴史を誇っているが、従来より番組検索や分類機能は優れていた。番組のデータベース情報に意味づけし、メタデータとして扱うことで検索性、録画後のデータベース的活用が行えるようになっている。例えば出演者の名前で検索して番組録画といった、専用レコーダー並みの録画機能や自動録画機能が利用できるのである。このあたりは単体ハイビジョンレコーダーの事業から撤退し、その分の開発リソースやアイデアをテレビ機能に集中させた成果であるともいえるだろう。
テレビ内蔵の録画機能は、どちらかといえば一時記憶用のイージーさを前面に押し出したものが多いのだが、Woooのそれは全く方向性が異なる。本格レコーダーの機能と使い勝手をテレビ本体と統合することで付加価値を高める“総力戦”である。
残念ながら高いシェアを誇るとは言えない日立のWoooシリーズだが、それ故の総力戦と丁寧な絵作りは、もっとフェアに他社製品と並べて評価されるべきだろう。同社の製品に不足しているのは3D表示機能だけで、言いかえればそれ以外は十分にトップクラスを名乗れるだけの丁寧な作りになっている。例えばソニーの“BRAVIA”「HX920シリーズ」が、昨年モデルからうって変わって素晴らしい製品へと変貌したのとは逆に、日立のXPシリーズ(プラズマモデル)は昨年の良さをそのまま引き継ぎ、さらにテレビとしての完成度を高めた製品といえそうだ。
ところで、そのHX920シリーズ。3D画質が完成したというので、さっそく見に行ったのだが、これが驚くほど良くなっていた。昨年までのいまひとつシャッキリしなかったソニーの3D映像とは異なり、安定してクロストークのない映像を見せていた。次週は出荷が始まったばかりのHX920シリーズについて、超解像だけでなく3D表示がどう変化したかをお伝えしたい。
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