「3Dで見る」の次は「撮って保存する」、整いつつある“セルフ3D”
家庭で「フルHDの3Dを見る」は対応テレビと3D BDの登場で実現したが、「撮る」については始まったばかり。「フルHDの3Dで撮る・保存する・編集する」のサイクルは今秋に実現しそうな気配だ。
ソニーのBlu-ray Discレコーダー「BDZ-AX2000/AX1000/AT900/AT700/AT500/AT300S」ならびに液晶テレビ“BRAVIA”「KDL-40HX80R/46HX80R/55HX80R/26EX30R/32EX30R」で、5月18日より順次、放送波アップデートが行われる。
このアップデートによって、いくつかの機能追加と既存機能の改善が行われるが(→ソニー、「ムーブバック機能」を追加するソフトウェアアップデートを実施)、大きな機能追加は、Blu-ray Discに記録したデジタル放送の番組を内蔵HDDへ書き戻せるようになる「ムーブバック」の追加と、“3Dハンディカム”「HDR-TD10」(以下TD10)で撮影した3D映像のBlu-ray Discへの保存だろう。
TD10は撮像素子“Exmor R”CMOSセンサーとレンズ、画像処理エンジンをそれぞれ2つ搭載しており、左右の両眼に1920×1080ピクセル(1080i)映像を映し出す3Dフルハイビジョン映像を撮影できる。ただ、フルハイビジョン3Dでの映像保存については、これまで、本体内蔵メモリとセットしたメモリカードを除けば、外付けHDDやPCのHDD上にデータとして保存するしか方法がなかった(再生についても、それらHDDとTD10を接続する必要がある)が、それが今回のアップデートにて改善されることになる。
方法自体は簡単で、対応するBDレコーダーおよびBRAVIA(BD内蔵BRAVIAのEX30Rシリーズは3D表示非対応のため、3D映像のBD保存は可能だが、再生は2Dのみとなる)とTD10をUSBで接続し、TD10側から「ワンタッチディスク」を選択するだけ。2D映像が混在していても問題ない。
ただ、TD10のフルハイビジョン3D映像はBlu-rayのMPEG-4 MVCには準ずるものの、作成される3D映像が保存されたBDメディアは3D映画パッケージなどに用いられている「Blu-ray 3D」規格のディスクではない。そのため再生についても、今回のアップデート対象となる機種でしか行えない。同社製3D対応BDプレーヤー「BDP-S470」や他社製3D BDレコーダーなども再生対象外だ。
保存できるのはBD-R/REで、3D映像保存可能時間は1層BDで約1時間55分、2層BDで約3時間55分、3層BD(BDXL)で約7時間50分となる。BD-REを利用すれば保存後の編集(チャプター編集や部分削除など)も行える。なお、TD10で撮影した3D映像の編集という点では、PC用ソフトの「PMB」(Picture Motion Browser)でもカット/結合が行える。編集後にTD10へ書き戻せば3D映像の視聴を行えるが、3D映像を保持したままBD/DVDメディアへは書き出せない(2D変換後のBD/DVD書き出しは可能)。
民生用ビデオカメラの規格であるAVCHDでは現在のところ、3Dについて右眼用の映像と左眼用の映像をどちらも960×1080ピクセルとするサイドバイサイド方式のみが利用されており、左右両眼に1920×1080ピクセルの映像を映し出す、MPEG-4 MVCを利用したフルハイビジョン3Dに関する規格は認証されていない。
そのため、TD10においてもアップデートでフルハイビジョン3Dを収録したBDディスクが作成可能となりながら、再生機器が限られるなど制限が存在する。また、TD10と同じくセンサー/レンズ/処理エンジンをそれぞれ2つ搭載する日本ビクターの「GS-TD1」についても、外付けBDドライブでBDディスクの作成は可能だが、フルハイビジョン3D再生時にはGS-TD1が必要という制限が存在する。
ただ、フルハイビジョン3Dについてソニーでは「統一規格化については調整中」としており、「3Dで撮る・保存する・編集する」のサイクル実現に向けての動きはメーカーの垣根を超えて進んでいる。秋以降に登場する3D対応のビデオカメラ、レコーダー、テレビなどではユーザ自身が撮影した3D映像を保存し編集する、総合的な3D環境が整ってくるものと予想される。
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