重量級BDレコーダー「DMR-BZT9000」で観るコーエン兄弟最新作「トゥルー・グリット」:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)
パナソニック“ブルーレイディーガ”のトップエンドモデル「DMR-BZT9000」は、約7.5キログラムという重量級BDレコーダー。DIGA史上もっとも物量が投入されたと思われる同機をプレーヤーとして検証していこう。
BD ROMを観てみよう。DIGA歴代のトップエンド機は、他社に先駆けてマルチタップ &プログレッシブ方式の高精度なクロマアップサンプリング処理で、色切れのよい鮮明な画質を訴求してきたが、本機ではさらにその持ち味が磨かれた印象だ。
ジョエル&イーサン・コーエンの最新作「トゥルー・グリット」の再生画質がすばらしかった。本作は、14歳の少女マティ(ヘイリー・スタインフェルド)が父親の仇トム(ジョシュ・ブローリン)を討つために雇った隻眼&酒好きの保安官ルーベン(ジェフ・ブリッジズ)とテキサスレンジャーのラビーフ(マット・デイモン)が旅を続ける西部劇。トムが加わる盗賊一味に3人が追いつき、その首領とルーベンが一騎討ちするシーン、ここを超望遠ショットで捉えるのだが、本機はこのシーンをじつに繊細に精妙に描く。その見通しのよさはDMR-BZT900を明らかに凌ぐ。
本機のリモコン下部のフタを開けると「再生設定」ボタンがある。そこにある「映像設定/ アドバンスト」内の「ディテールクラリティ」調整を+2くらいまで上げていくと、そのロングショットの鮮鋭度がより向上することが分かった。S/N感の高いBD ROMでは、こういう使いこなしのアリだろう。
ザ・フィルム・ファウンデーション(マーティン・スコセッシ主宰)がレストレーションを手がけたルキーノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」のBD ROMの再現もみごとというほかない。実際にシチリアの貴族の館にセットを組んで撮影されたという舞踏会シーンの豪華絢爛な映像美を本機はじつに味わい深く描ききり、息をのんでその映像を見つめた。とくにたくさんの赤いバラが飾られ、その奥でサリーナ公爵(バート・ランカスター)とアンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)のダンス・シーンの色キレのよい鮮明な画質美には誰もが圧倒されることだろう。輝度信号のみならずクロマ信号にも独自のエンハンス処理を加えたという「ディテールクラリティプロセッサー」の威力を痛感した。
ここまで画質・音質を磨ききった本機だけに、本体デザインのチープさだけが残念。3層構造のベースシャーシやアルミ押出材のボンネットなど、振動対策に意を払って筐体設計されているのは分かるが、それがデザインのハイクオリティー感に全然結びついていない。従来デザインを踏襲しているだけなのだから当然なのだが。
「DVD-H1000/H2000」という砂型鋳物を用いた、すばらしいデザインの高級プレーヤーを開発したパナソニックだけに、ぜひ買った喜び、置いて使うたのしさを味あわせてくれる美しいデザインの高級BDレコーダー(できればプレーヤーも)を提案してほしいと思う。
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