ソニー「BDZ-AX2700T」で3D映画をチューニング:山本浩司の「アレを観るなら是非コレで!」(2/2 ページ)
3番組同時のAVC録画など録画機として大きく進化したソニー「BDZ-AX2700T」だが、実はBD再生機として魅力も大きい。今回はプレステージモデルならではの充実した画質調整とその効果をチェックした。
具体的には本機の「画質設定」の中の「輪郭調整(中域)」を−方向に設定していくことで、明暗差のあるシーンの人物の頬などで目立ちがちなシュートを抑えることができる。いっぽうで「精細感(中域)」という項目もあり、輪郭強調を抑えながら自然な鮮鋭感を維持するための調整も可能だ。
古いフィルムをBD ROM化した作品でシュートが目立つことが多いが、まさにそのような映画ソフトでこの機能はじつに効く。目障りな輪郭強調を抑えることで、フィルムルックの自然な再現によりいっそう迫れる印象だ。とくに近接視聴でその魅力を発揮する4Kテレビの東芝「55X3」やプロジェクターのソニー「VPL-VW1000ES」などと組み合わせると、この「輪郭調整(中域)」のありがたさを実感するはず。画面に近づけば近づくほどシュートは目立ちやすくなるからである。
また、実際に使ってみると、BDZ-AX2000でも採用された「コントラストリマスター」の効果が著しい。これは、入力画像をリアルタイムでヒストグラム分析し、ブライトネスとコントラストをシーンに合わせて適宜最適化する機能。単純に黒伸長させたり、「ブライトネス」の調整で黒レベルを落したりする調整法と異なり、階調へのダメージが少なく、「+1」くらいの設定で、きりっと引き締まったハイコントラスト映像が得られる。見た目のフォーカス感が向上するのも「コントラストリマスター」のうれしい効用だ。
これはソニーが独自に磨き上げてきた「スーパービットマッピング for ビデオ」技術のたまものだ。これは本機内で生成された16ビットの階調情報をディスプレイに合わせて12ビットや10ビットに変換する際に、下位ビットを切り落さないで一部ケタ上げして階調情報を大切にしながら12/10ビット出力に畳み込むソニー独自の手法だ。
なお、BDZ-AX2700Tでは3D映像に対しても、このコントラストリマスターが効くようになった。3Dメガネ越しに見る映像はコントラストが浅くなり、なんとなく実体感の薄い画質になりがちだが、「コントラストリマスターα3D」を調整することで、よりメリハリの効いた3D画質が得られる。
また、新たに「3Dエンハンス」という調整項目も加えられた。これは3D映像からおおまかな奥行分布と周波数成分を抽出して構図を解析、その構図的特徴に合わせて遠近感、立体感を強調する機能。これも的確に効かせると、ぼんやりとした3D構図がくっきりと浮かび上がってくる効果が実感できる。3D画質にいまひとつ不満のある方は、ぜひ本機のこの両調整機能を体験していただきたいと思う。
音声専用HDMI出力の音質も着実に向上している。フレームをビームで補強した、しっかりとしたシャーシ構造も持つBDZ-AX2000の剛性感のある音のよさを引き継ぎながら、BDZ-AX2000では音に軽やかさ、豊かな広がり感が加わった印象だ。パナソニックDMR-BZT9000が微細な情報を掘り起こす情報量指向の音調だろすれば、本機はなめらかさとかたおやかさを訴求する大人っぽい音と形容できそうだ。なにはともあれ、BD ROMに収録された高解像度なHDオーディオ・サウンドを心置きなく楽しめるのは、AVファンの大きな喜びだろう。
画質・音質・操作性、オーバーオールの性能をていねいに磨き上げたBDZ-AX2700T。その魅力の一端がお分かりいただけただろうか。ぜひ多くの熱心なAVファンにじっくり使いこなしていただきたいと思う。
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