これは事件です、エプソン「EH-TW8000W」で観る「ヒューゴの不思議な発明」:山本浩司の「アレを観るなら是非コレで!」(2/2 ページ)
米国で発売されたBlu-ray 3D「ヒューゴの不思議な発明」をさまざまな3Dテレビやプロジェクターで観た。とりわけその3D画質のよさに魅せられたのが、エプソン「EH-TW8000W」だ。
本機の3D画質最大の魅力は、先述のようにその明るさにあるが、それに大きく貢献しているのが「Bright 3D Drive」と呼ばれる駆動法。これはインターレース表示のように、左目/右目用画像の各フレームの垂直を2分割して480Hz(8倍速)で駆動する手法。つまり左目用画像と右目用画像の切り替え時間を短縮して3Dメガネのシャッターの開いている時間を長くするわけだ。その効果は著しく、これほど明るい3D映像が楽しめるプロジェクターはほかにないのでは? と思わせるほど。
さらに注目すべきは、HDMI信号を無線伝送する「ワイヤレスHD」方式を実現していることだ。付属のトランスミッター(送信機)とBDレコーダーやプレーヤー、AVアンプのリピーター出力をHDMIケーブルでつないでおけば、ワイヤレスで映像信号(音声も)をプロジェクターに飛ばしてくれるわけである。
プロジェクターの場合、BDレコーダーなどとの距離がどうしても離れてしまうことになるので、これはじつにありがたい機能といえる。HDMIケーブルは、長く引き回すには高価なものだし、しかもHDMIケーブルを床や壁、天井にはい回らせるのは、気の重い作業。美観上もNGだろう。
エプソンの担当者に訊くと、やはりこの「ワイヤレスHD」は大きな反響を呼んでいて、ワイヤレスに対応していない「EH-TW8000」よりもEH-TW8000Wのほうがよく売れているという。なお、無線の到達範囲は直線距離で10メートル(正面に置いた場合)。ほとんどの家庭では問題ないはずだ。また、60GHz帯を用いたワイヤレスHDは、ワイアード接続に対して画質面で劣ることはまったくないといっていい。
3D映像に対しては『3Dダイナミック』『3Dシネマ』という2つの映像モードが用意されている。ゲインが1.0を切るような暗めのスクリーンを120インチ超サイズで使っている向きには『3Dダイナミック』モードをお勧めするが、それ以下のスクリーン・サイズならば『3Dシネマ』でじゅうぶんな明るさの映画画質が楽しめるはずだ。
一方で、本機EH-TW8000Wの通常の2D画質の完成度も高い。エプソンにとっては手慣れた透過型液晶タイプだけに、じゅうぶんに成熟した“枯れた”技術を投入できるからこその魅力だろう。とくにプロジェクター筐体内の迷光を抑えたエプソン独自の「ディープ・ブラック・テクノロジー」の御利益は著しく、他社の同タイプのプロジェクターではけっして体験できない漆黒や精妙な暗部階調が味わえるのである。とくに映画ソフトを観るのなら、映画やフィルムルックに対する知見豊かなベテラン・エンジニアが絵決めをした『シネマ』モードが絶対のお勧めだ。
いずれにしろ、30万円前後の手頃な値段のプロジェクターで、映画館をはるかに超える超絶画質の3D観賞が可能なのだから、これは「事件」と言っていい。今日は街へ出かけて、今週発売となったスピルバーグ監督の3D CG アニメ作品「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」のBlu-ray 3D盤を買ってくることにしよう。
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