力いっぱいの太鼓判、OPPO「BDP-95」でマリリンの魅力を再確認した:山本浩司の「アレを観るなら是非コレで!」(2/2 ページ)
ぼくの部屋に新しい仲間が加わった。これほどの満足感を味わわせてくれた製品は他にないかもしれない。思わずそう口走ってしまうほど、このプレーヤーの魅力にヤラれている。
試みに、ぼくが愛用しているソニー「SCD-DR1」(発売当時の価格は120万円)とSACDの音質比較をしてみた。聴いたのは、2005年に発売されたティム・リース(サキソフォン奏者)の「ザ・ローリング・ストーンズ・プロジェクト」の中から、ノラ・ジョーンズをゲスト・ヴォーカルに迎えた「ワイルド・ホーシズ」。SCD-DR1のしなやかで瑞々しい音調に対して、BDP-95(2ch専用バランス出力)は、中低域に張りと厚みを感じさせる力感指向のサウンド。ステレオイメージの広大さではSCD-DR1が勝るが、ノラ・ジョーンズのヴォーカル音像の隈取りの確かさではBDP-95のほうが好ましい。100万円を超えるSACD/CD専用プレーヤーと比較して、音質の優劣ではなく、音の個性の違いをうんぬんできるところに本機の非凡さがあると思った。
ただし、ネットワークオーディオ再生時の音は、わが家自慢のLINN「KLIMAX DS/K」に比べると、確かに落差感はある。ハイレゾファイルならではのスタジオの空気感の再現でKLIMAX DS/Kの境地には及ばないが、リアルな音像描写の確かさなどに本機ならではの魅力があるのも確かだ。ポップ/ロック系音楽をメインに聴いている方には、しっくりくる音調といえるかもしれない。
ところで、弟機BDP-93をベースにアナログ音声基板(一部に電源回路も)に手を入れたモデルが海外メーカーから数モデル登場している。発売しているのは、米NuForce(ニューフォース)、英Cambridge Audio(ケンブリッジオーディオ)、スウェーデンのPRIMARE(プライマー)などのオーディオ専業メーカーだ。それぞれメーカーの持ち味を感じさせる音質に仕上がっていて、BDP-93に対する確かな音質の優位性を実感させてくれるが、32ビット・デルタシグマ型DACチップを採用した本機は、それらのモデルと明らかに音質傾向が異なっていることが自室でチェックし、よく分かった。「BDP-93のアナログ音声回路は改良点がいろいろあるが、BDP-95は手を入れるところがまったくない」との発言を上記メーカーのエンジニアから聞いたことがあるが、自室で使ってみて、そのエンジニアの発言の真意がよく分かった次第だ。
また弟機BDP-93同様、本機の俊敏な動作、再生エラーの少なさにも感心させられてしまう。ここでつまずいてしまう国産プレーヤーが多いことを考えると、本機の完成度の高さは群を抜いていると思う。GUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)も美しく、フォントの選択などにもセンスの良さを実感するが、ネットワークオーディオ再生時に曲目表示の日本語の一部に怪しいところがあるのはご愛嬌(あいきょう)か。
HDMI映像/音声セパレート出力時のBlu-ray Disc画質もたいへん素晴らしい。映像回路には弟機のBDP-93と同じMarvell(マーベル)のビデオ信号処理用プロセッサー(Qdeo)が使われているが、実際に見比べてみると、わずかに画質傾向に違いを感じる。本機のほうが黒の質感がよく、よりコントラスト感が上がって見えるのである。電源回路の違いが画質に反映されているのかもしれない。
ぼくはプロジェクターのJVC「DLA-X9」を自室で使っているが、この場合、本機の画質調整項目の「カラースペース」をY:Cb:Cr を4:4:4 に、「ディープカラー」を36ビット、すなわちY:Cb::Cr の色差信号出力をそれぞれ12ビットに設定することで、より緻密で深みのある映像が味わえた。
この設定で観た「マリリン・ザ・プレミアム/ブルーレイ・コレクション」の4Kリマスター版「紳士は金髪がお好き」が凄い。冒頭からマリリン・モンローのチャーミングな魅力が匂い立ち、しばしボーゼンとなって最後までほうけたように彼女の一挙手一投足を見つめ続けたのだった。
最新AV&オーディオプレーヤーとして、見逃すことのできない高品質と多機能性を有したBDP-95。Blu-ray Discのプレーヤーを買うなら絶対コレ。力いっぱい大きな太鼓判を押したいと思う。
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