異色のハードディスクレコーダー、「nasne」を徹底検証(前編):複数台あるとどうなるの?(6/6 ページ)
話題の「nasne」(ナスネ)がいよいよ発売された。物理的なユーザーインタフェースを持たず、すべての操作をネットワーク経由で行う、従来にないレコーダーだ。まずは「プレイステーション3」などと組み合わせて試用した。
nasneは、2系統のDTCP-IPストリーム送出が可能になっている。このため、例えば「tornaアプリ」で録画番組を再生しているときでもDLNAクライアントから録画番組の再生が可能だ。録画番組の再生中でないnasneなら2つのDLNAクライアントから同時に録画番組を再生することもできる。さらにいえば、それぞれのnasneが2系統のDTCP-IPストリームをサポートしているので、複数のnasneを併用している場合には、さらに自由度が高くなる。もちろんnasneを何台併用しようが特定のnasneの録画番組を3つ以上のDLNAクライアントからは再生できないが、例えば2台の「nasne」があるだけで最大4系統のDTCP-IPストリームをサポート出来る点は家電のレコーダーに対する確実なアドバンテージだ。
1台のnasneの録画番組を2台のDLNAクライアントで再生中に「torna」からその「nasne」の録画番組を再生しようとすると、このような警告画面が表示される。滅多に起きることではないと思うが、家電のレコーダーでは有無をいわさず実行中のDTCP-IP配信を停止してしまうことが多いため、親切な設計ともいえる
このように、nasneはPS3と組み合わせることで、非常に便利かつ柔軟に利用できる。必要に応じてnasneを増設して同時録画数を増やせるスケーラブルなレコーダーだ。既に触れた通り、レコーダーとしての使い勝手は家電のそれを超える部分も多く、「録る」「見る」が中心であれば積極的にnasneを選ぶ人も多いだろう。
また今回は、残念ながら機材が準備できなかったので実検証はできなかったが、対応するVAIOとレコーダブルBDドライブを組み合わせれば、LAN経由で録画番組をBD/DVDメディアにダビングし、「残す」ことが可能になった点も「PS3専用地上デジタルチューナー」からの大きな進歩といえる。
一方レコーダーとしての機能面で気になった点としては、番組本編とCM間に自動チャプターを設定する機能がないことと、編集機能が皆無であることが挙げられる。前者に関しては操作が軽快なことである程度フォローできるし、後者に関してもBD/DVDメディアへのダビングが前提でなければ必要はない。逆にBD/DVDメディアへ残すことも考えるのであれば、ソニーのBDレコーダーを組み合わせて「レコ×トルネ」機能を使うといった選択肢もある。
複数台のnasneを組み合わせる場合には、やはり配線の煩雑さというネガティブな部分も出てくるし、録画先もHDDもそれぞれのnasneごとに行われるという点では、やはり管理はBDレコーダーの方が楽だ。録画予約のロジックとしてHDDの空きが多いnasneを自動選択する仕組みになっているが、繰り返し録画が多い場合には気がつくと特定のnasneのHDDだけが満杯ということにもなりかねないし、nasne間での録画場組の移動もできない。
またCS/BS放送の有料チャンネルB-CASカード単位での契約になるので、1契約では1つのnasne、つまり1番組しか録画できない。「PS3専用地上デジタルチューナー」と組み合わせた場合には、DLNAクライアントから録画番組を再生したり対応機器へダビングできるのはnasneに録画した番組だけなので、録画予約の段階で録画先に配慮することも必要となる。もっとも、ここに上げたネガティブな要素を吹き飛ばすくらい、快適な録画環境を提供してくれるというのも事実だ。
次回は「Sony Tablet」やスマートフォン、VAIO以外のPCとの組み合わせてnasneを活用する。リモート予約などについても触れる予定だ(→後編)。
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