Blu-ray Discにハイレゾ音源、クリプトンなど4社が“BDミュージック”を提案
Blu-ray Discの大容量を活用する音楽パッケージが登場。普及したBDレコーダーやBDプレーヤーを使い、CD感覚で再生できることが基本コンセプトだ。
メモリーテック、クリプトン、キュー・テック、カメラータ・トウキョウの4社は9月25日、CDを超えるハイビット/ハイサンプリングレートの音源をBlu-ray Discに記録する「ブルーレイディスクによるハイレゾリューションオーディオ」を発表した。BDの容量を生かした高品位オーディオパッケージは、ノルウェーの「2L」など複数のレーベルが手がけているが、国内レーベルも参入することになる。
同日、都内で開催された提案会では、メモリーテックの堀徹社長が「CDよりはるかにデータ収容力のあるBDをめいっぱい音源のために使ったパッケージソフト。次のCDとして提案したい」とあいさつした。「ウォークマンやiPodなど携帯メモリプレーヤーで気軽に音楽を楽しめる時代になったが、一方で家庭や仲間内で音楽を楽しむ機会は減っている。アーティストがスタジオで録音したクオリティーをそのまま再生できるパッケージソフトを“次のCD”として提案するとともに、家族や仲間と楽しむミュージックスタイルを提唱したい」。
Blu-ray Discが持つ1層25Gバイトの容量をオーディオメインに使い、音質のみを追求したパッケージメディア。映像データは、曲目メニューやジャケットイメージなど最低限の静止画にとどめ、その代わり非圧縮のリニアPCMでハイレゾ音源(96kHz/24bit、192kHz/24bit)を収録する。普及したBDレコーダーやBDプレーヤーを使い、CD感覚で再生できることが基本コンセプトとなっている。
ただし、今回は新しい規格やフォーマットではなく、あくまでもBD-Video規格に準拠したもの。BD-Video規格では96kHzまでのサポートが必須要件であり、192kHzはオプションとなっているため、HDMI端子から192kHz/24bit音声を出力できるプレーヤーは限られてしまう。このため、192kHzの音源を収録した場合には必ず96kHz版も一緒に収録するなど互換性に配慮。192/24bit再生には対応するプレーヤーとアンプが必要だが、普及価格帯のホームシアターシステムでもCD以上の音質は楽しめるという寸法だ。
コピープロテクトはAACS(Advanced Access Cpntent System)で、リッピング用に圧縮音源を一緒に収録することも想定している。またディスクパッケージには映画BDなどで一般的なトールケースのほか、CDと同様のジュエルケースを用意するという。
4社はプロモーショングループ「Promotion Group of Blu-ray Disc for High Resolution Audio」を設立。オーサリング環境やディスク製造ラインなど環境を整え、国内のレコード会社に訴求する構えだ。オーサリングにはキュー・テックのFORSシステム、音質重視のディスク製造工程としてメモリーテックがBD専用ラインを整備した。さらに音楽マスタリングスタジオ向けに専用オーサリングソフトも用意する。
「ディスク製造工程などは大幅に見直し、4社で試聴を重ねて納得のいく形で提供できることになった。レコーディングスタジオに非常に近い音を家庭にお届けしたい」(カメラータトウキョウの中野浩明社長)。
製品化の第1弾はカメラータ・トウキョウで、11月に3枚のクラシックアルバムを発売する予定だ。ほかにも年内に複数のタイトルがリリースされる見通し。なお、価格については各レーベルが決めることになるが、「先行したSACDに準じたものになるだろう」と話している。
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