レビュー
水平対向ユニット搭載の超個性派イヤフォン、「Flat4-玄(KURO)」を聴く:野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)
前回に続いて「春のヘッドフォン祭2013」で見つけた新製品をピックアップ。今回は、国産ガレージ系メーカーの1つ、音茶楽(おちゃらく)の「Flat4-玄(KURO)」を取り上げよう。
そのサウンドは、かなり個性的なキャラクターといえる。高域方向への伸びがとても自然で音数が多く、しかも素直。おかげで女性ヴォーカルは、気持ちハスキーめの魅力的な歌声を聴かせてくれる。男性ヴォーカルは、時折やや細身に感じられるときがあるものの、伸びやかで聴き心地が良い。エリッククラプトンのアンプラグドなどは、ギターの響きとクラプトンの歌声のアンサンブルが上手くはまって、とてつもなく気持ちよかった。
一方で、低音のボリューム感もしっかりと確保されているため、演奏の迫力もしっかりと伝わってくる。屋外で使用しても、音やせは少なそうだ。音色的には上質で柔らかなイメージなので、ハードロックよりもクラシックなどアコースティック系の演奏がベストといえる。
なお、今回試聴を行ったコンディション、合計120時間のエージングを行った状態では、帯域バランスがやや腰高に感じられ、もう一歩ながら本領発揮までには至らない印象も受けた。念のため試聴したエージング80時間の状態と、今回の120時間の差から推測するに、後々には中域がしっかり張り出してきてくれそうな雰囲気もある。解像度感やダイナミックレンジなどの基礎体力は現時点でも十分持ち合わせているので、じっくりとつきあって育てあげてみたいところ。そういった気持ちにさせてくれる、魅力的な製品であることは確かだ。
音質評価 | Flat4-玄(KURO) |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
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