素性のいいリサイクル? ラトックのDAC&アンプ一体型ヘッドフォン「REX-UHPB1」を試す:人柱のおさそい(2/2 ページ)
ラトックシステムが発売した「REX-UHPB1」は、業界の常識を覆す「30周年記念モデル」だ。実機を入手したので詳しく見ていこう。
オーディオテクニカのユニットとチューニング
2005年のレビュー記事を読むと、REX-WHP1はネオジウムマグネットを採用した53ミリ径ドライバーを使用した密閉型で、ドライバーユニットと音質チューニングを手がけたのはオーディオテクニカだという。
今回のREX-UHPB1でもドライバーユニット込みでハウジングを流用しているので、音に関しては素性の確かなヘッドフォンといえそう。そういえば、ヘッドバンドの代わりに2本のフレームが左右のハウジングをつなぎ、左右に分かれたサポートパッドで頭を支えるスタイルもオーディオテクニカの「ART MONITOR」シリーズを思い起こさせるものだ。
製品を見たときの第一印象は、「でかい」だったが、装着すると「思ったより軽い」に変わった。重量は約360グラムとそれなりにあるが、重量バランスやサポートパッドの仕組みがうまく分散させているようだ。次にUSBケーブルを手持ちのMacBook Airにつなぎ、プレーヤーソフト「Audirvana」を起動。すると「USB AUDIO DAC」として認識された。対応サンプリング周波数も48kHzまでとしっかり表示されている。
実際の音は、かなりの好印象だ。左右チャンネルのセパレーションが良く、しっかり定位するのはもちろん、SN感も高く、かなりクリアだ。以前、同社の「RAL-DADHA2」でバランス接続のヘッドフォンで聞くハイレゾ音源に物欲を刺激されたことがあったが、解像感や音域はかなわなくてもバランス接続の良い部分をそのまま継承している印象だ。良い音は聴き疲れしないのである。
ただ、気をつけなければならないことが1つある。REX-UHPB1にはボリューム調整機構が、(ボタンはあるのに)付いておらず、音量調整はすべてPCのソフトウェア上で行う。想定外に大きな音が出てしまったとき、慌ててハウジングのボリュームボタンを押しても無駄なので(なにしろ回路につながっていない)、楽曲を再生する前に音量をチェックするようにしたい。
このように、素性は良いのに外観はちょっとアレで、そこはかとない“人柱感”も漂う「REX-UHPB1」。それでも、この音が9980円(直販価格)で手に入るなら間違いなくお買い得だと思う(実際、ベースになったヘッドフォン部だけでも原価割れしているらしい)。現在はWeb直販が中心だが、今後はフジヤエービックやe-イヤホンといった専門店でも販売するので、機会があったら是非試してほしい。
「完全限定生産」といわれると残数が気になるところだが、ラトックシステムによると、「限定というのは“余っていたパーツが尽きるまで”という意味。まだまだあります」とのこと。安心して人柱になろう。
音質評価 | 「REX-UHPB1」 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−−○フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
お買い得度 | (ムムム−−−−○ムフフ) |
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