“ハイレゾ”だから伝わること――ランティスがアニソンの配信を始める理由:秋のヘッドフォン祭 2013(2/2 ページ)
「秋のヘッドフォン祭 2013」で、ランティスのハイレゾ音源配信に関する発表イベントが行われた。楽曲制作者、ユーザーそれぞれの立場から見たハイレゾ音源配信の魅力とは?
「HDリニューアルマスター」の意味とは?
今回の配信サービスには2種類の音源がある。1つは前述のスタジオマスターそのもののクオリティーとなる「TRUE STUDIO MASTER」。もう1つはスタジオ音源に後から手を加えた「HD RENEWAL MASTER」(HDリニューアルマスター)だ。第2弾となる麻生夏子さんの楽曲は後者となる。
手を加えるといっても、CD音源をアップサンプリングするといった擬似的なハイレゾ楽曲ではない。アルバムタイトルなどを連続再生するような場合、曲ごとに音量が大きく変化したりすることのないように調整を加えたもので、むしろマスター音源が96kHz/24bitなど、CDには必要のないほど高いクオリティーで収録された曲も存在する。
例えば、アニメ「馬鹿とテストと召喚獣」のオープニング曲「Perfect-area complete!」はそのパターンだ。担当エンジニアは佐藤氏であり、「最新テクノロジー全開。テクノの要素を入れたい」という希望からベースとなるシンセサイザーの音などを当初の計画から変更したという。現場には自らコレクションしているという1980年代のアナログシンセサイザーなどを持ち込み、デジタルシンセサイザーでは出せないワイドレンジな音を取り込む。「12Hzから2万Hzくらいまで出てますね」(佐藤氏)。
しかし、このような“こだわり”もCDでは役に立たない。むしろ「歌が隠れてしまうため、ベースの音を下げなければならない」など、じゃまもの扱いだ。しかしハイレゾ配信であれば、「歌もベースもキックも、すべてが引き立つ。ベースを下げる必要はなく、目指した音がすべて聞こえる」(佐藤氏)。作り手のこだわりを伝え、視聴者はそれをそのまま受け取ることができるのがハイレゾ音源配信だという。
「現場はこだわって作っているのだから、そのまま受け取りたい。それを楽しめるのだから、ファン冥利に尽きる」(野村氏)。
なお、配信料金については、今回のイベント時点でも「未定」だった。価格については10月30日の配信開始を待つしかない。また、今後の配信ラインアップについては、「ラブライブ!のキャラクターソングは順次配信する予定。毎月、1〜2タイトルを出していくつもりだが、第1弾のように1回でシングル5枚といった形になるかもしれない」(佐藤氏)。
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