2013年を総括! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(後編):麻倉怜士のデジタル閻魔帳(3/3 ページ)
この1年間を振り返り、とくに印象深いハードとソフトをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。後半は第5位からスタート。麻倉氏絶賛のUSB-DACやスピーカーも登場します。
第1位:“見せる力”が向上したパナソニック「DMR-BZT9600」
――いよいよ第1位です。
麻倉氏: 今年の第1位は、パナソニックのBlu-ray Discレコーダー「DMR-BZT9600D」です。BDレコーダーも登場から10年目を迎えました。パナソニックの「MR-BZT9600」は、同社のハイエンドモデルとしては3機種目にあたります。もともとハイエンドですから、代替わりにあたってどのくらい画質が向上するのか注目していたのですが、確実に進歩しました。
まずエアチェックでは、映像のの強さや自然な立体感が違います。またBD-ROM再生では情報をディスクから引き出す能力が違います。これは映像の質感に影響します。音も従来よりかなり情報量が増えていて、音と映像が全体にグレードアップした印象です。さらに水準を上げてきました。
一方、ソニーもハイグレードモデルを出していましたが、2013年は“お休み”でした。このため華麗なるライバル対決は見られなかったのが残念でしたが、それは「DMR-BZT9600」が孤高の存在になったことも意味しています。製品としてのステータスだけではなく、実際にクオリティー面でも孤高の存在になりました。
今回の製品で面白いのは、USB端子に接続するノイズフィルターでしょう(USBパワーコンディショナーと呼ばれる)。中には抵抗とマイカコンデンサーが入っていて、本体のUSB端子に挿すと内部の電源ノイズを抑えて音質への悪影響を抑えるという試みです。最高を目指したものであるのはもちろんですが、遊び心が入る余地もできてきたような気がします。
「DMR-BZT9600」は、4Kテレビとの接続においても大きな武器になります。HDMI 2.0のフルスペック出力に対応し、最大転送レートは18Gbps。4K/60pの4:4:4/24bit(各8bit)、または4:2:2/36bit(各12bit)出力が可能です。クロマアップサンプリングも従来機「DMR-BZT9300」に比べ、輝度信号と色信号のマルチタップ処理性能を1.3倍に上げて周波数特性を改善しています。しかも、こうした機能面だけではなく、出力した映像から明確な“画作り”が感じられるのが素晴らしい。「DMR-BZT9600」からのHDMI2系統出力で本機からの4Kアプコン出力とテレビ側での4Kアプコンを比較したところ、「DMR-BZT9600」のほうが圧倒的に良かったです。
また、MGVC(マスター・グレード・ビデオ・コーディング)もジブリ作品だけではなく、実写作品も増えてきました。MGVCの効用は、映像の透明感やレンジ感などトータルで「ここまで違うのか」と分かりやすくビジュアルで見せてくれること。設定の「MGVCオート」をオンにしておけば、自動的に出力を最適化してくれます。「DMR-BZT9600」は、まさに“見せる力”が向上したハイエンドのBDレコーダーといえるでしょう。
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