“平面”が高級ヘッドフォン市場を変える? OPPO、FOSTEX、HiFiMANのブレークスルー:春のヘッドフォン祭 2014(2/2 ページ)
フジヤエービック主催の「春のヘッドフォン祭 2014」が5月10日に開幕した。今回も多くの新製品が登場しているが、中でも注目は“平面振動板”を採用した高級ヘッドフォンだろう。
OPPOの場合、平面振動板のデメリットである能率の悪さを改善している。冒頭のスペック表を見れば分かる通り、音圧感度の数値がほかの2社と一桁違う102dB/mWを実現した。「PM-1には数多くのブレークスルー技術が投入されている。もちろんアンプがあるほうが良いが、iPhoneでもそれなりに鳴らすことができるだろう」(OPPO Digital Japanマーケティング・マネージャーの島幸太郎氏)。
もともとポータブルプレーヤーで知られていたが、ここ数年で平面振動板ヘッドフォンのブランドとしても有名になったHiFiMANは、HE-560から駆動方式を抜本的に変更している。同社の従来品では、ほかの2社と同じように振動板の両側に磁気回路を配置していたが、今回の「HE-560」は振動板の片側にしかないという。
「両側にマグネットがある場合、耳に対してマグネットが近いために音場が狭くなる。振幅幅も制限されてパワーも落ちる」と指摘するのは、同社アジア太平洋担当マーケティングマネージャーのRiccardo Yeh氏。「磁気回路が片側だけなら振動板が自由に動く。両側に磁気回路を設ける方式に比べてスピードの速い楽曲は苦手だったが、われわれは独自の特許技術で解決した」という。なお、技術の詳細は今のところ非公開だ。
製品バリエーションも広がる
今回の3製品は、いずれも室内での利用を前提とした開放型で、価格は7万円台半ばから15万円前後とヘッドフォンとしては高価な部類に入る。しかし平面振動板を採用した従来の製品――例えば米AUDEZE(オーデジー)やSTAX(スタックス)などの高級機に比べれば半額から3分の1程度の水準に“抑えた”ともいえる。これも高級ヘッドフォンやアンプの市場拡大を受け、今後もユーザー層が広がっていくと考えている証拠だ。
さらに、3社とも製品バリエーションを拡大する可能性があることも分かった。フォステクスは、着脱式ケーブルの採用も含め、上位モデルや下位モデルを検討していくと話している(TH500RPは着脱非対応)。またOPPOは、米国で下位モデルの「PM-2」を発表済みだ。HiFiMANも「平面振動板を採用した密閉型を開発中。折りたたみが可能なタイプも検討している」(Yeh氏)として、平面振動板を採用したポータブルモデル登場の可能性をも示唆した。いずれにしても、これまではマニア向けのニッチな製品だった平面振動板採用ヘッドフォンが、今後は少し一般化していくのかもしれない。
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