黄金色の超個性派イヤフォン「Heaven VIII」が奏でるリアルな音:野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)
ファイナルオーディオデザインの「Heavenシリーズ」に新たなフラグシップが登場した。金属筐体の作り方を大きく変えるなど、新境地を開拓した新モデルをじっくりと聴いてみよう。
BA特有の鋭さがないナチュラルなサウンド
さて、実際のサウンドを聴いてみよう。まずは「Heaven VIII」から。
とても丁寧で、とてもナチュラルなサウンド。鮮度感は高く、ボーカルもはっきりとした口調の歌声を披露してくれるのだが、BA特有の金属的な鳴りというか、痛々しい鋭さは全くない。おかげで、ドラムのバスドラやタム回しの音など、とてもリアルに感じられる。それにも増して印象的だったのが、ピアノの音色だ。高域の倍音成分は整いよく、ほどよい減衰をしているイメージで、それほどエッジが立っているわけではないが、まるで音の前で演奏してくれているかのような、とてもリアルな音色を感じることができるのだ。
一方で、低域の解像度感、フォーカス感の高さも特徴といえる。エレキベースも、付帯音やボケの一切ない、ピュアな音を聴かせてくれるので、グルーブ感のしっかりした、リズミカルなサウンドを聴かせてくれるのだ。これはいい。
続いて「Heaven VII」を試聴する。
「Heaven VIII」との違いは、BAM機構の有無(Heaven VIIIのみ搭載)と、それぞれに適したドライバーのチューニングだけだが、「Heaven VII」は抑揚表現がはっきりとしていて、ヌケの良いイメージ。その分、ロック系は勢いを感じる演奏となっている。女性ボーカルも、さらに口調のはっきりした、清々しい歌声となる。メイン楽器やボーカルをリアルでイキイキとした音色にすべく、丁寧で細やかな差異性を追求している印象はは全く変わりないのだが、ほんのちょっとした違いのおかげで、ここまで印象が変わってくるのはとても興味深い。どちらが自分にとってベストか、実際に試聴して選んでほしい。
製品名 | Heaven VIII |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−−○−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
関連キーワード
金属ボディ | 切削加工 | ぶらんにゅ〜AV Review | 直販限定モデル | フラッグシップ | バランスド・アーマチュア | カナル型イヤフォン | オーディオ&ホームシアター展
関連記事
- ファイナル、BA搭載の「Heaven VIII」と「Heaven VII」を12月中旬に発売
ファイナルオーディオデザインは、バランスド・アーマチュア型ドライバーを搭載した高級イヤフォン2機種を発売する。特殊な金属加工で作られたステンレスボディーを採用している。 - ファイナル、「ヨドバシカメラ梅田」で自作イヤフォン講座――関西初登場のNEWモデル
ファイナルオーディオデザイン事務所は、11月22日(土)と23日(日)の2日間、大阪・梅田の「ヨドバシカメラ梅田」で「自作イヤフォンで音のチューニングを楽しもう!〜イヤフォン組立体験〜」を開催する。 - 全ての世代にハイレゾを! オーディオ業界のあの手、この手
日本オーディオ協会主催の「オーディオ&ホームシアター展2014」が開催された。今年のメインは“ハイレゾ”。ハイレゾをフックに最新オーディオ機器に興味を持ってもらおうと、業界をあげて取り組んでいる。 - BAイヤフォンを組み立てて、チューニングして持ち帰れるイベント
夏休みの終わりが見えてくるころに、自分だけのイヤフォンを組み立てて持ち帰れるイベントをファイナルオーディオデザイン事務所が開催する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.