年に一度の総決算! 「麻倉怜士のデジタルトップ10」(前編):麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/3 ページ)
この1年間を振り返り、とくに印象に残ったデジタル機器やコンテンツをランキング形式で紹介する恒例「麻倉怜士のデジタルトップ10」。長年オーディオ・ビジュアル業界をウォッチしているAV評論家・麻倉怜士氏が太鼓判を押した製品とは?
第8位:Blu-ray Discオーディオ
第8位は、Blu-ray Discオーディオ(BDオーディオ)です。BDオーディオは最近とても元気で、10月の「オーディオ・ホームシアター展」では昨年に続いてBDオーディオのセミナーを行いましたが、入場者は前回の3倍くらいになりました。またタワーレコードでもBDオーディオの売上が昨年の3倍ほどになっていると聞いています。
BDオーディオが元気な理由は、既にあるBDプレイヤーを活用してハイレゾ音源を楽しめるという、インフラの整ったメディアであることが大きいでしょう。同じく192kHz/24bitまで対応していたにも関わらず失敗したDVDオーディオはその意味でハイレゾをトータルに進める環境がありませんでした。しかしBDオーディオは、ファイルベースのハイレゾ再生と同時に進行し、中でもPCやネットワークの知識が求められず、気軽に活用できる高音質なオーディオメディアとして認められたようです。
今年聴いたタイトルの中でオススメは、まずノルウェーの高音質レーベルとして知られる2Lが発売した「MAGNIFICAT」(マグニフィカート)です。MAGNIFICATというのは賛美歌のことで、192kHz/24bitの9.1chで収録されています。ノルウェーのトロンハイムにあるニーダロス大聖堂という教会で収録したため、9.1chのうち4chが高さ方向の音です。垂直方向の音像を再生できるシステムで聴くと教会の響きも再現され、格別ですよ。ちなみに同ファイルをe-onkyo musicでも配信しています。
もう1つは以前もこの連載で紹介しました。1977年に収録されたカラヤンの日本公演です。杉並区のホールでベルリンフィルが演奏し、FM東京が録音したアナログマスターをもとにBDオーディオ化したものです。マスタリングを担当したのは斉藤啓介さんで、復刻版の超高音質マスタリングに定評があります。アナログ的なマッシブさとクリアーさが両立し、魂を振るわせる音がします。アブラがのった時期のカラヤンをうまく捉えました。
第7位:ソニーの4K対応有機ELディスプレイ
7位に挙げたのは、ソニーの業務用4K有機ELディスプレイ「BVM-X300」です。同社は民生用の有機ELテレビからはほぼ撤退したような状況になっていますが、放送用では「TRIMASTER EL」シリーズを2011年に発売して以来、全世界で3万5000台以上を販売した“ドル箱”になっています。
放送業務用途ではコントラストや視野角の問題で液晶ディスプレイは使えません。それを解消したのがキヤノンの直下型バックライト搭載液晶モニター「DP-V3010」で販売も好調のようですが、一方でソニーの有機ELは業界のリファレンスにもなっています。実際、某メーカーのフラグシップ液晶テレビも画作りのリファレンスとして有機ELマスターモニターを使っています。その画質に近づけようと調整して、実際に成果を上げていますよ。
ソニーは9月にアムステルダムで開催された国際放送機器展「IBC2014」と11月の「InterBEE」で「BVM-X300」をデビューさせました。私もInterBEEで取材したのですが、最後に驚かされたのがHDR(High Dynamic Range)機能でした。ブースに関連展示はなく、国際会議場のプライベートブースの奥で見せていたのです。
通常、モニターの画面輝度は100〜150nitsですが、BVM-X300は1000nitsまで出すことができます。ソニーの4Kデモ映像にリオのカーニバルがありますよね? あれを見たところ、金銀で飾られたきらびやかな衣装に光があたったとき、すごいきらめき感が出ていました。
今後、HDRは業務用ディスプレイにとっても重要になります。次世代の4K Blu-ray DiscがHDRをサポートすることは決定していますから、そのコンテンツを作るモニターが対応していないのでは話になりません。従来の5〜6倍の輝度を与え、よりリアルな映像を見ることができます。UltraHD規格のBT.2020には、4K/8Kによる高解像度化に加え、ビット深度の拡張も含まれています。これらを合わせ、今後は新しい映像の世界を体験できるようになるのではないでしょうか。
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