音声ガイド付きで簡単操作――ボーズのオンイヤー型Bluetoothヘッドフォンを聴く:ワイヤレスで行こう(3/3 ページ)
より身軽に音楽を楽しめる“ワイヤレス”。これから数回にわたり、手軽にワイヤレスオーディオを楽しめるBluetooth対応機器をピックアップしていく。初回は「Bose Sound Link on-ear Bluetooth headphones」だ。
音楽のジャンルを選ばないウェルバランスなサウンド
今回はAndroidスマートフォン「Xperia Z2」にペアリングしてBluetoothのサウンドを実力をチェックしてみた。ヘッドフォンから聞こえてくるガイダンスに従ってペアリングが完了すると、ボイス・プロンプトが「Xperia Z2に接続しました」と教えてくれる。“ゼット・ツー”ではなく、“ぜっと・に”と発音してしまう所にちょっとした愛嬌があって、ふと親しみを感じてしまった。先ほど「操作に慣れたら日本語ではなく英語に変えても良い」と説明したばかりだが、しばらく使い続けると日本語の機械音声も悪くないなと思えるようになってきた。なお、2度目の接続以降は毎度「本体バッテリー○○%」と残量も知らせてくれるので、充電が必要なタイミングが目安としてわかるのがうれしい。
マイケル・ジャクソンのアルバム「XSCAPE」の『Slave To The Rythm』では、重低音のリズムが暴れたりだぶついてしまうことなく、引き締まったシャープな音像を描く。奥行きがクリアに見渡せて、打ち込みやエレキギターのリズムもキレ味が良く爽快(そうかい)だ。ボーカルの鮮度も高く、イキイキとした声のつやを再現する。ボーズならではのミッドレンジを中心に充実したサウンドをベースに、上下の帯域にバランス良くパフォーマンスを広げて、ヌケ感もすっきりとさせたヘッドフォンという印象を受けた。
外部騒音からのアイソレーションがとても高く、音のエッセンスを無駄なく届けてくれる。音量を抑え気味にしても音楽がしっかりと聴こえてくるので、長時間のリスニングも疲れにくいと思う。
ボーカルの心地よさをさらに深く検証したくなって、ジェーン・モンハイトのアルバム「The Heart Of The Matter」を聴き込んでみた。小編成のアコースティック楽器のバンドとボーカルによる組み合わせの音楽も、どうやらこのヘッドフォンと相性が良さそうだ。楽器の定位感がよく、バンドの立体的な位置関係がつかみやすい。ボーカルの声は滑らかさと輪郭の柔らかな印象が持ち味。いつも聴いている音楽を、よりミュージシャンたちに近づいて聴いているような、存在感のあるリアルなサウンドだ。
クラシックのオーケストラはフォーカスがビシっと定まった躍動感あふれる演奏だ。特に弦楽器の芳醇なハーモニーが絶品だった。バランスはニュートラルな位置から少し中低域を強めにシフトさせた印象だが、それが足腰を強くして空間的な広がりをつくり出す、スケール感にも恵まれた演奏に結びついていように感じられた。弦楽器や木管楽器の多様な音色も、柔らかく丁寧に描き分ける。
繊細な表現力はミロシュのクラシックギターを聴きながら確かめることができた。トレモロの音の粒がきらびやかに鳴り、ギターの中低域がふっくらと優しく包み込んでくる。ダイナミックレンジが広いので、弦がつま弾かれて生まれる音の強弱やふくよかさも生々しく蘇ってくるようだ。
安心して使えるボーズ・サウンドのスタンダード機
ボーズの製品は操作性の良さだったり、ヘッドフォンの場合は装着感も含めて、ユーザーフレンドリーで誰もがその便利さを実感できるところが人気の背景にあるのだと思う。ブランドの伝統を受け継ぎながら、ワイヤレスヘッドフォンというカテゴリーの中でその音質とともに、機能と使いやすさを高いレベルで追求してきたボーズの最新・進化形だ。
特にサウンドの面では、従来の中低域を充実させてパンチを効かせるボーズ・サウンドの印象から、高域の伸びや開放的なヌケ感も高めてバランス良く現代的なテイストに整えた音に仕上がっている。色んなジャンルの音楽リスニングに自然と寄り添ってくれるパートナーになるはずだ。ボーズのオーディオ製品は初めてという方にも、入門編のスタンダード機としておすすめしたい。
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