メモリーテックが開発した“究極のCD”、「UHQCD」とは?(2/2 ページ)
メモリーテックが新しい高音質CD「UHQCD」(Ultimate High Quality CD)を発表した。“Ultimate”(究極)を冠した新しいCDは、一体どういうものなのか。詳しい話を聞いた。
実はハードルを下げた「CRYSTAL DISC」
実は、同社がこの手法を使ったのは初めてではない。2008年にビクターエンタテインメントと同社が共同開発した高品位CDの最高峰「K2HD MASTERING+CRYSTAL」(CRYSTAL DISC)は、ガラス基板と純金の反射膜、そして1枚18万円という価格で注目を集めたが、同時に製造方法にもメスを入れていた。スタンパとガラス基板の間にフォトポリマー樹脂を充填し、加圧・紫外線照射で硬化させることで精度の高いピット転写を実現している。今回のUHQCDと基本的に同じ手法だ。
つまりUHQCDは、CRYSTAL DISCから高価な部材を省いて原価を抑え、ハードルを下げた高音質CDだった。もちろん量産化に成功したことは大きな進歩で、同社は複数の特許を申請中。またユーザーにとっては、価格を抑えられたことに加え、その音質やフォトポリマー樹脂の信頼性についても「既にCRYSTAL DISCで実績がある」(同社)ことは重要だろう。
UHQCDの第1弾は、6月17日にポニーキャニオンから発売される「プラチナムベスト」10タイトル。チェッカーズや研ナオコといった著名アーティストのベスト盤で、価格は2000〜3000円前後といたって普通だ。またメモリーテックでは、ほかにも複数のレーベルと採用に向けて交渉しており、夏頃には新譜を含めUHQCDタイトルが増えてくると予想される。
「1982年に音楽CDが発売されてから30余年。DVD-AudioやSACDなど多くの音楽用光ディスク規格が登場したが、48kHz/24bitというハイレゾ要件は満たしていてもCDとの再生互換性という壁に阻まれて本格普及には至らなかった。CDほど長く親しまれたコンテンツメディアは他に例がない。UHQCDは、価格と音質の絶妙なバランスで、成熟したCDのインフラを武器とした“高音質CDの決定版”だ」(同社)。
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