歯周病が全身疾患を引き起こす――専門医が語る“本当の怖さ”と対策(2/2 ページ)
かつて「歯槽膿漏」(しそうのうろう)と呼ばれた歯周病だが、「もはや国民病といっても過言ではない」状況にあると専門医は指摘する。しかも症状が進むと全身疾患にもつながるという。歯周病の実態と対策とは?
歯周病が全身疾患につながる
歯周病は全身疾患につながる危険性もはらんでいると田中氏は指摘する。「5年、10年という単位で“手のひら大”の面積が化膿している、と考えれば理解できると思いますが、歯周病は口の中だけでなく、全身に悪影響を及ぼします。メタボリックシンドロームをはじめ、糖尿病、高血圧といったさまざまな病気を引き起こす可能性があります」
事実、高血圧症の患者に歯周病治療を行ったところ、血圧が下がった事例もあるという。「PPD(歯周ポケットの深さ)が浅くなり、ばい菌がいなくなると、患者さんの血圧がぐんと下がりました。その後も歯周ポケットが浅いままなら血圧も下がった状態をキープできます。歯周病は、全身疾患と密接な関係があるということです」
毎日の歯磨きが大事
重症になると歯がグラグラしはじめ、抜け落ちることもある歯周病。歯を失うと食事がおいしく感じられなくなるほか、話すときの発音や呼吸、運動にまで影響を与えるという。「口腔機能というが、歯には食べ物を咀嚼(そしゃく)して飲み込むことだけではなく、呼吸や発音、運動にも関わってきます。歯の数は、人間らしい動作をすることにとって重要なこと。本数を維持していることが生活を豊かにすることにつながります」
では、歯周病を予防し、進行を防ぐには何が有効か。細菌の固まりであるプラークを落とし、口の中を“細菌の少ない状態”でキープするため、毎日の口腔ケアが重要だと田中氏は指摘する。フィリップスと同氏が共同で行った調査では、一般的な歯ブラシを使った“手磨き”と電動歯ブラシの「ソニッケアー」で2分間の歯磨きを行い、細菌の残存量を比較。その結果、「細菌の減少数が有意に高い、効率的な方法であることが分かった」という。「ソニッケアーは、口腔内の歯垢を落とすだけでなく、その奥に潜む病気を未然に防ぐ有効な手法になり得ます」(田中氏)
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