iモードへ向かうPHS──FOMA補完計画?

ついにドコモのPHSもインターネットに接続できるようになる。iモード端末の新機種発売直後の今,ドコモがPHSに力を入れるのはなぜなのか?

【国内記事】 2001年1月31日更新

 NTTドコモは1月30日,インターネットに接続できるPHSを発表した。ほぼ全ての携帯新機種がiモード端末である今,PHSも次々とiモード化していくのは避けられない流れだ。

 iモードだけが,今回のPHSの強化ポイントではない。ドコモは1月22日,PHS位置情報サービスを機能拡充(1月22日の記事参照),moperaで位置情報サービス開始(1月22日の記事参照)と,PHS関連サービスの改善を進めている。

ドコモがPHSに力を入れる理由

 ドコモがここにきてPHSを強化するのはなぜなのだろうか? アステルの「ドット・i」やDDIポケットの「feel H"」などのインターネット対応端末に対抗するため,という見方もたしかにできる。しかし2000年12月末のPHS契約者数を見ると,DDIポケットもアステルも純減しており,唯一純増しているのがNTTドコモのPHSだ。唯一,携帯電話とPHSを一社で持ち,通話とデータ通信用途を切り分けた上に,携帯電話とPHSを組み合わせた魅力的な料金体系を武器にされ,ほかのPHS陣営は切り崩されている。

 PHS強化の真の理由として考えられるのは,IMT-2000端末「FOMA」が普及するまでの代打的役割だ。

 昨年,NTTドコモの副社長/研究開発本部長の森永範興氏は,「moperaとiモードを統合して,新しい機能を加えたものを検討中」と語っている(2000年11月15日の記事参照)。同時に「音楽,映像などの新規市場をPHSで立ち上げ,IMT-2000につなげる」とも述べ,IMT-2000のための地ならしをPHSが行う構想を明らかにしていた。

 技術的に見たiモード成功の理由は,パケット通信を利用することでつなぎっぱなしの環境を実現するとともに,通信料金を低く抑えられたことだといわれている。これはiモードの普及に当たって大きな役割を果たしたのだが,現在となってはその通信速度が課題になってきている。

 DoPaと呼ばれるドコモのパケット通信は,1チャンネル当たり9.6Kbps。家庭のアナログ回線の5分の1程度の速度しか出ない。テキスト主体のコンテンツならば,9.6Kbpsでも十分魅力的に成り得ることは,iモードが証明した。しかし,今後の携帯電話ではどうなのか?

 1月26日に登場した,携帯電話上で動くJavaアプリケーション「iアプリ」は大きな可能性を秘めた技術だ。しかしiアプリ製作者は口々に「10Kバイトの制限内で作るのが大変」と苦々しく語る。

 10Kバイトというサイズ制限を,「通信速度が理由」とし,「(速度の上がるFOMA端末では)ファイルサイズの制限も見直す」と語るのはNTTドコモのゲートウェイビジネス部,コンテンツ部長である夏野剛氏だ。

 iアプリでも,最大の問題は“9.6Kbps”という低速な通信速度なのである。

IMT-2000が普及するまでどうするのか?

 iモードが,テキスト主体のコンテンツから,アプリケーションのダウンロードや動画,音楽の配信と進化していく上では,通信速度の向上が必須なのだ。そこで期待されるのが最大384Kbpsといわれる「FOMA」こと,ドコモのIMT-2000サービスだ。しかし,IMT-2000にはいくつかの問題がある。

 1つはサービス地域だ。2001年5月の段階では,FOMAは東京,横浜,川崎の限定サービスにすぎない。現在のPHS並みにサービスエリアが広がるのは,2004年を待つ必要がある。

時期 開始状況
2001年5月 東京23区と横浜市,川崎市
2001年12月 NTTドコモ東海,NTTドコモ関西でサービス開始
2002年4月 NTTドコモ北海道,NTTドコモ東北,NTTドコモ北陸,NTTドコモ中国,NTTドコモ四国,NTTドコモ九州でサービス開始。県庁所在地周辺をカバー
2004年3月 人口カバー率80%以上を達成

 この間,cdma2000を推進するKDDIは144Kbpsパケット通信へ移行していく。既に64Kbpsパケット通信をほぼ全国で展開中であり,速度面ではiモードを凌ぐものを持っている。

 さらにFOMAの料金設定も問題だ。ドコモではFOMA端末を“あくまでも高級機”と位置付けており,サービス開始後しばらくは通信料金は安くなりそうにない。しかし,多くのコンテンツ開発者が「FOMAの通信料金は今の10分の1でもまだ高すぎる」と語っているとおり,通信料金を下げなければ“ケータイで動画が見られる”などという話は夢と終わる。

 コンテンツ事業者からの要求もあり,通信料金を下げる必要があるのは分かっていても,ドコモの収益の柱となるデータ通信料金の大幅値下げは,そう早い段階では難しい。基地局の容量など,インフラの問題もある。

 しかしFOMAが完全に立ち上がるまでは,ドコモは9.6Kbps速度のiモードを主力として他キャリアと闘わなくてはいけない。これを補完するのが,iモードに対応し,高速で低料金のPHSだと見ることができる。

 世間では“209や503の後継がFOMA”という認識をされることが多いが,ドコモの場合,コンテンツサービス的に見れば,“PHSの後継がFOMA”と言えるのかもしれない。

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[九条誠二,ITmedia]

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