第1回 携帯電話は小さなパソコンになるわけではないiモードを始めとするブラウザフォンの爆発的普及は,この狭い日本においては必然的な事件だったのかもしれない。しかし,だからといって携帯電話にパソコン同等の高機能を追求する必要があるわけではなさそうだ。
ブラウザフォン普及の理由現在,NTTドコモのiモードサービス加入者は1800万人。PHSまで含めると,計3000万人以上のブラウザフォン利用者が存在し,現在も増え続けている(2月8日の記事参照)。米国などインターネット先進国と比較しても,特徴的な成長を遂げているのはなぜだろうか。 その先陣を切ったiモードが,EZwebやJ-skyを押さえてシェアを獲得したのは,ブラウザフォンの利用価値を示唆するコンテンツを幅広く用意したことだろう。例えば電子メールは,通話以外のコミュニケーション手段として,銀行振り込みは,実際にATMへ行く手間を省く手段として,今までにないツールの利便性を提示したことが大きい。 それを裏付けるように,モバイルコンテンツフォーラム(MCF)の調査(2000年11月9日の記事参照)では,ブラウザフォンで利用したいサービスとして「銀行振り込み」「航空券・JR乗車券」「残高確認」とツールとしてのサービスに人気が集中している。 また,私たち日本人の生活ではパーソナルスペースの確保が難しいのは周知の通りだ。満員電車で長時間揺られなければならないし,自宅でさえ自分だけの場所を持つのは難しい。上記MFCリサーチの結果には利用シーンとして,「寝ている間」(3.2%)や「会議中」(1.5%)という回答もあるくらいだ。ブラウザフォンなら,物理的な場所とは関係なくメールで仲間とコミュニケーションができ,好きなコンテンツに没頭することができるのである。 ブラウザフォンは“パソコン以上”の称号を得られるか?ブラウザフォンのさらなる利便性を追求するために,パソコンと同じ機能を全て盛り込めばいいかというと,そうではなさそうだ。 一体ブラウザフォンとパソコンは何が違うのだろうか。まずはブラウザフォンの役割や利点をいくつか挙げてみよう。 1.携帯電話としての機能がある こんなところだろうか。そして今度は,パソコンと比較して,携帯電話ではできないことを考えてみよう。 1.サイズの大きな文書を閲覧できない かなり強引にリストアップしてみたが,要するにパソコンと携帯電話の差は「スペック」以上に「インタフェース」にある。 先のMFCリサーチの結果を見ても,ブラウザフォンへの不満は「入力が面倒」「通信料金が高い」「画面が小さい」と,使い勝手の部分に集中している。 モバイルにおける利便性を追求することが必須そもそも携帯電話の潜在的メリットは“小さい”ということと,“どこでも利用できる”ということにある。その要素を活かしたことがブラウザフォンの成功につながった。かつてのPHSとPDAが合体した「ピノキオ」の失敗が示すように,決して「小さなパソコン」が必要なのではない。 モバイルの利便性を追求する1つの流れとして,モバイル技術の細分化が挙げられる。よりシンプルな機能ごとにデバイスを分け,Bluetoothなどのデバイス間の無線通信機能によって,分散化された端末の相互連携を実現するのである。 MP3プレーヤー内蔵ブラウザフォンや,ワイヤレスPalm端末,そして次世代ブラウザフォン「FOMA」など,モバイルコンピューティングにおける技術や製品が軒並み登場するが,ある1つの製品がほかを駆逐してしまうことはない。複数のデバイスが各々適した領域で利用されることになるだろう。 技術やサービスは1つに絞られるのではなく,複数の端末が連携して1つの“モバイル環境”として構築されるのではないだろうか。 関連記事 [増田(Maskin)真樹,ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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