携帯電話に内蔵されるカメラも本格派に──CCD型登場

シャープの「J-SH04」に続き,カメラを内蔵した携帯電話「J-SA03 」も発表された。その流れは今年さらに加速しそうだ。三洋電機の開発したCCDモジュールは,CMOS型に対して大幅な感度と画質の向上をもたらす。

【国内記事】 2001年3月7日更新

 携帯電話にデジタルカメラが当たり前のように搭載される日は案外近いかもしれない。デジタルカメラ内蔵のJ-フォンの「J-SH04」(1月22日の記事参照)以外にも,DDIポケットの「Treva」,auの「PashaPa」など携帯電話に接続する形のデジタルカメラが現在市場に出回っている。

 携帯電話やPHSにデジタルカメラを搭載する試みは今にはじまったことではない。京セラもデジタルカメラ搭載のPHSを発売したことがある(1999年5月の記事参照)。しかし,最近になってデジタルカメラ内蔵の携帯電話が脚光を浴びているのには次のような理由が考えられる。

  • 高解像度カラー液晶の一般化
  • 受光素子の小型,低消費電力化
  • データ通信,メールの普及
  • IMT-2000をにらんだ高速データ通信の市場開拓

 IMT-2000では,携帯電話で撮影した静止画/動画を送信するといった用途が考えられている。ディスプレイ,高速なデータ通信といった技術は出そろった。しかし,デジカメ代わりに静止画/動画を携帯電話で撮るには1つ問題がある。

CMOS型に比べ,感度が5〜7倍のCCD

 構造的,消費電力的に,携帯電話にストロボを搭載することは難しい。しかも,受光素子の大きさもデジタルカメラに比べると小型にならざるを得ない。そのため,携帯電話のカメラでは受光感度,つまり「暗いところでも撮影できるか」が重要になる。

 現在発売されているJ-SH04や携帯電話接続型カメラを試すと,その感度の悪さにがっかりすることだろう。日中の野外ならともかく,室内では厳しい。夜の居酒屋などとなればまともに撮影するのは不可能だ。

 受光感度が悪い理由の1つは,受光素子にデジタルカメラなどで一般的なCCDではなく,CMOSを使っているためだ。三洋電機は2月8日に業界初の携帯電話向けのCCDカメラモジュール「iGT99263」を発表した。三洋電機セミコンダクターカンパニー,システムLSI事業部CCD開発部開発課の古沢俊洋課長は,「今後のCMOS陣営の出方が楽しみだ」と自信を見せる。

約7ルクスの明るさで撮影した,CMOSと三洋電機のCCDモジュールの比較画像。左から,他社CMOS A,他社CMOS B,三洋のiGT99263 (写真:三洋電機)

 現在,主流の受光素子であるCMOSとCCDでは,圧倒的に感度が高いのはCCDだ。「CMOSに比べるとCCDは感度が5〜7倍」(古沢氏)にもかかわらず,これまでの携帯電話向けデジカメがCMOSを使っていたのは「価格,低消費電力,サイズ」の問題があったからだ。

 J-SH04にCMOSタイプのカメラを搭載した理由について,シャープは「消費電力と大きさ,画質のバランスを考えた結果,現状ではCMOS型」と言う。感度がよくないことはある程度分かった上でCMOSを選んだ。

 三洋電機では,10年以上前から小型CCDの製品化に取り組んでおり,2万画素の小型CCDを出荷したこともある。3年ほど前から携帯電話向けCCDの開発を進め,小型化と消費電力の削減に力を注いだ。その結果,業界最小サイズの11.2ミリ四方,厚み6.7ミリというサイズと,90mW(15fps)という低消費電力を持ったCCDモジュール(レンズ含む)の開発に成功した。

 通常だと「小さく作っても20ミリ四方がせいいっぱい」だというCCDを,「(普通は,携帯電話に)入れるという発想自体がなかったのではないか」と古沢氏は語る。

 現状では,まだCMOS型のほうが消費電力は低い。しかし,感度の向上によるゲインアップノイズの低減,CMOS特有のパターンノイズや同時性のないシャッター歪みなどが起こらないなど,CCDは画質の良さを誇る。

「(画質は)目に見えて分かるものだけに,(CMOS陣営も)CCDの画質を上回るものしか出すわけにいかない」(古沢氏)

参考 携帯電話向けイメージセンサ,CMOS型とCCD型のスペック
メーカー 三洋電機 シャープ
形名 iGT99263 LZ0P3820
サンプル価格 7500円 3000円
CCD光学サイズ 1/7型 1/7型
有効画素数 370×296ピクセル 367×291ピクセル
消費電力 90mW(15fps),
65mW(5fps)
45mW
外形サイズ(幅×高さ×厚さ) 11.2×11.2×6.7ミリ 11.4×11.4×5ミリ

今後はCCD有利に?

 CCDが真価を発揮していくのは,今後の画素数,感度競争においてかもしれない。IMT-2000以後の端末では,VGAクラスのディスプレイが搭載され,カメラも高解像度化が要求されるだろう。

 三洋電機は今回の10万画素CCDモジュールと平行して,VGAサイズの画像を撮影できる33万画素CCDモジュールも開発中だ。画素数が向上することによる感度低下には,「レンズの向上とCCDのサイズを7分の1から5分の1に拡大することで,感度を維持できる」(古沢氏)と語る。

 逆に,CMOSでは解像度/感度を上げようとすると,画質面の問題がクローズアップされてくる。原理的に受光したデータを順次読み出しするCMOSでは,同時性のないシャッター歪みなどが顕著になってしまうのだ。「高級なCMOSに採用されているように,各画素にバッファを設ければ画質を維持できるが,それでは高価になってしまう」(古沢氏)

 三洋電機では,現在100万画素の携帯電話向けCCDモジュールに向けて研究を進めている。「CCDのほうは目処がついている。レンズのほうが問題だろう」と古沢氏は語る。

IMT-2000とともに,デジタルカメラは必須装備に

 三洋電機のCCDモジュールを搭載したデジタルカメラ内蔵型携帯電話は,2001年の夏以降に市場に登場するもようだ。残念ながら,先日auから発表された三洋電機製のカメラ付き携帯電話はCMOS型とのこと。

 しかし,これまでCMOSの独壇場だった小型イメージセンサモジュール市場に三洋電機のCCDモジュールが登場したインパクトは大きい。CMOSの改良ペースもさらに加速するはずだ。IMT-2000の開始も迫り,今後多くの携帯電話にデジタルカメラが載ってくる。まずは,CMOS対CCDの戦いが始まった,といったところだ。

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[斎藤健二,ITmedia]

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