PHSの知られざる活用法(下)「“フレッツ・PHS”でPDAの常時接続を実現する」

PHSをうまく活用することで,PDAも常時接続環境の一員にすることが可能だ。出先でも,室内でも,ワイヤレスでインターネットにアクセスできるPHSの活用法第2弾。

【国内記事】 2001年3月13日更新

 前回は,ワイヤレスTAにPHSやドッチーモを登録して,屋外ではPHS,屋内では固定電話の子機として使う事例を紹介した。今回はその応用編として,PDAをフレッツ・ISDNの端末として常時接続環境に参加させる方法を紹介したい。

やっと開通したフレッツ・ISDN

 筆者の住む神奈川県の某市が,ようやくフレッツ・ISDNの申し込み受付を開始したのは,2001年に入ってから,1月5日のことだった。こういう仕事をしている関係上,世間の流れに従っていよいよADSLと行きたいところなのだが,ADSLのサービスは見えていない。迷わず受付開始当日にフレッツ・ISDNに申し込んだ。

 これは余談だが,首都圏近郊の都市へのネット接続関連のサービス展開が遅いと感じるのは私だけだろうか。さかのぼればISPが立ち上がってきた時のダイヤルアップのアクセスポイントの展開,最近ではフレッツ・ISDNやADSLのエリア拡大などでもそうなのだが,人口から考えるとけっこうな需要があるはずなのに,場合によっては地方の中核都市のほうが展開が早いことがある。なぜなのだろうか。

 ま,それはさておき,フレッツ・ISDNが開通したのが2月下旬のこと。いよいよこれからは自宅のiMacで,電話料金を気にせずインターネットができる。素直に嬉しい。

ネット接続に便利なザウルス

 さて,昨年末から筆者の必須アイテムに加わったものがある。「ザウルスMI-E1」だ。PDAとして十分な機能を備えるザウルスだが,Palmなど他社製品との大きな違いとなるのはどこか。いろいろ意見があるだろうが,あえてここで挙げるとすれば通信だ。ザウルスは各社のPHSや携帯電話と接続して,あるいはCFサイズのPHSである「P-in Comp@ct」をスロットに差し込んで,簡単にWebサイトを見たり,メールを送受信できる。

 自宅がフレッツ・ISDNで電話料金が浮くのだからと,差額を考えP-in Comp@ctも新たに契約した。この組み合わせはモバイルとしてはかなり有効だ。いつでもどこでもインターネットから情報を取り出せる。もともと以前からザウルスを使っていたのだが,MI-E1とP-in Comp@ctを購入してからは,いよいよ手放せなくなってしまった。

 ところが家に帰ってきてからも,PHSで通信するのはもったいない。せっかくワイヤレスTAのAtrem IWX70があるのだから,P-in Comp@ctも子機登録してしまえばいいのだ。こうすれば,家庭内ではフレッツ・ISDNの定額料だけでザウルスもインターネットにアクセスできるようになるはずだ。

ワイヤレスTAで,ザウルス,シグマリオンを常時接続に

 具体的にP-in Comp@ctを登録するためにはどうしたらいいのだろうか。普通のPHSと違って,P-in Comp@ctはボタン操作によって登録モードにするということができない。P-in設定というツールも付いてくるが,どうやらこれは既に各種モードに登録されたP-inの設定を切り替えるためのもので,これで登録できるというものではない。

 マニュアルなどを読むと,どうやらノートPCに差し込んで,ターミナルモードからATコマンドで設定するらしい。

 そこで,さてどうしたものかと考えながらネットサーフィンしていたところ,ザウルス単体でP-in Comp@ctをOSモードで子機に登録できるMOREソフトが登場していた。それが「ぴーりんく登録くん」(Giga)だ。ホームページからソフトをダウンロード。さっそく実行してみた。手順にしたがって操作を行っていけば,わりとたやすくAterm IWX70に子機登録できた。

 この「ぴーりんく登録くん」はよくできたMOREソフトで,Atermだけでなく同じOSモードでの登録となるP-link Stationのほか,ホームアンテナ(HAモード)での登録も可能だ。

 OSモードで子機登録したP-in Comp@ctを差し,ザウルスのP-in設定ツールでOSモードでの使用に切り替える。そしてインターネット接続の設定にフレッツ・ISDNの電話番号や接続内容を追加し,ネットに接続。すると,難なくアクセスに成功した。これでザウルスも,iMacと同じくわが家の定額・常時接続の仲間に加わったわけだ。

 ザウルスの魅力はそのコンパクトなこと。わざわざPCを立ち上げずとも,手元に置いておいて,思い立った時にメールの読み書きをしたり,気軽にWebサーフィンができる。テレビを見ながら,あるいは布団のなかで寝たまま。これはなかなかいい。

 実はもう1台試してみたものがある。シグマリオンだ。このNTTドコモブランドのWindows CE端末を筆者は出先で文章を書く時に重宝している。これにP-in Comp@ctを差してみたところ,ザウルスで設定した内容は当然生きていて,シグマリオンもフレッツ・ISDN経由で接続できた。

 インターネットで探してみたところ,シグマリオンとWindows PCを使い,P-in Comp@ctをOSモードで子機登録する方法を書いた「モバイルタウン」というホームページもあった。シグマリオンで同様の登録を行いたいユーザーはこちらを参考にするといいだろう。

そしてISDNの行く末に寂しさを感じる

 こうしてわが家では,ワイヤレスTAとP-in Comp@ctにより,ザウルス,シグマリオンなどのPDAも含めてフレッツ・ISDNの定額・常時接続の仲間に加えることができた。

 それにしても困ったことだ。この便利な環境に慣れてしまっては,ADSLのエリアが広がった際にはISDNで行くかADSLにするか相当悩みそうだ(もちろん両方ひくということもできるのだが)。その頃に無線LAN搭載ADSLモデムと,CFカード型の無線LANアダプタでも登場していればいいのだが。

 とにかく,こうしてみるとISDNは今後のブロードバンド時代の通信の主役とはなりえないとはいえ,それなりによくできた通信技術であると思う。インターネットには速度面などで中途半端かもしれないが,純粋に電話とFAX,インターネット接続を組み合わせて使いたい場合や,あるいは今回の内線へのPHS登録のような電話をベースとした使い方を組み合わせた場合に,その真価は最大限に発揮される。

 また,ISDNをベースに末端部分を無線で伝送するPHSという移動通信技術も,まさに日本がISDNで先行していたからこそ生まれたものといえる。このようにISDNがあることによって派生した技術は多いだろう。

 これからADSLのエリアが拡大すれば,現在は1000万の契約数を誇るISDNの伸びも抑制され,いずれ減少に転じると思う。携帯電話と同じ土俵での勝負に破れたPHSのように,それなりによくできた通信技術であることを半ば忘れられてしまうのだろう。

 そう思うと,ブロードバンド時代の到来を前に,その技術を愛用したものとして,かすかな寂しさを感じるのであった。

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[大水祐一,ITmedia]

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