KDDI,au端末搭載Javaの概要を公開──プログラムサイズは50KバイトJ-フォンに続き,KDDIもJavaの概要を公開した。サービスを開始しているNTTドコモも含め,3大キャリアのJava仕様が出そろった。
KDDIは4月12日,この夏に携帯電話に搭載する予定のJavaの概要を公開した。JavaVMにはKVM/MIDPを採用し,実行環境にはアプリックスのJBlendを搭載する。 主な特徴は以下の通りだ。
説明に立ったKDDIのau事業本部au商品企画部モバイルインターネットグループリーダーである高橋誠氏は「他キャリア(のJavaアプリケーション)と最大限の互換性を確保することを目標にしている」と,基本コンセプトを語る。 Javaを搭載した端末については,「6月から7月にかけて,数機種を発売予定。10月以降に改良したJavaを搭載したものを発売する」(高橋氏)と言う。いずれもcdmaOne端末となる。 先行するNTTドコモのiアプリと異なり,KDDIではKVM/MIDPという世界標準の仕様を採用する。さらに,JavaVMにはアプリックスのJBlendを全機種に採用し,互換性を高める。「どの端末もチップがQualcomm製なので,Javaの実行速度はほぼ同等」と高橋氏が言うとおり,仕様から速度まで似通った実行環境になりそうだ。
プログラムサイズ50Kバイト大きな特徴は,JavaプログラムであるKJX(Kddi Java eXtentions)の最大サイズが50Kバイトであること。各社のJava環境を比べると,NTTドコモのiアプリが10Kバイト,J-フォンが予定しているJava環境では30Kバイトと,KDDIのJavaプログラムサイズは大きい。 さまざまなJavaアプリケーション間の通信方法を用意しているのも特徴だ。“通信時間0.5秒以下”とKDDIが言う「おしゃべりモード」に使われている新Cメールを利用し,Javaアプリケーション同士の通信が可能になっている。これにより,“相手のJavaアプリケーションを起動する”といったことも可能だという。 また,オムロンが開発したP2Pサービス実現のためのミドルウェア,「Jumon」も搭載している(2000年10月の記事参照)。携帯Aから携帯BのJavaプログラムを操作する「ORB」(Object Request Broker)機能や,携帯Aから携帯Bにエージェント(プログラム)を移動させて,携帯Bで処理を行った後,携帯Aに結果を返信するといったエージェント機能も可能になっている。通信方式としては上記の新Cメールを利用する。 さらに端末が内部に持っている情報や,個人情報も,一部利用できるようになっている。
2つのセキュリティレベルiアプリに比べて自由度の高いKDDIのJavaだが,「レベルA」「レベルB」という2つのセキュリティレベルを設けることで,プログラムの悪用を防ぐ。 Cメール通信,個人情報の利用,端末情報の一部の利用は,レベルAのアプリケーションのみで許される。レベルAのアプリケーションは,入念なKDDIによるチェックのあと,KDDI網内のサーバから配布される。一般向けとなるレベルBでは,チェックや配布サーバの制限がない。 また,ダウンロードしたJavaアプリケーションは,現在のところhttpなどによる通信はできないようになっているという。「サーバと通信するよりも,端末同士で通信したほうがサーバの負荷も軽くなる。ただし,httpによる通信も検討中」(高橋氏) 10月にはPhase2として改良KDDIのJavaは10月以降に改良され,Phase2としてgpsOneによる測位機能などをJavaから利用できるようになる見込みだ(4月4日の記事参照)。 10月には高速データ通信方式cdma2000 1xの導入も予定されているが,直接の関係はないようだ。まずはJava Phase2がcdmaOne端末に搭載され始め,cdma2000 1xの導入とともにJava Phase2に切り替わるようだ。「Java Phase1の1x端末は予定していない」(高橋氏) また,「年内」に導入する予定のQualcommのプラットフォーム「BREW」とJavaの関係については,「Javaは一般に広く公開していくが,BREWは一般公開は想定していない」と高橋氏は位置付けを説明する。ただし,BREW上でJavaVMを動作させることも可能であり,BREW搭載機でのJavaの位置付けははっきりしていない。 「BREWは,まだビジネス面での協議をQualcommとやっている最中」(高橋氏) なお,現在は数社のコンテンツ企業がテストとしてKDDIのJavaを試しているという。一般に仕様が公開される時期については,「端末発売前だが,5月か6月になりそうだ」(高橋氏)と言う。
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