CLIE NRシリーズとMacのHotSync,Bluetooth経由で可能に

CLIE NRシリーズはMacintoshをサポートしていないため付属のクレードルを利用したHotSyncができない。NRシリーズとMacをHotSyncさせるには赤外線ポートやVirtual PCを使うしか方法がなかったが,Bluetooth経由でHotSync可能なことが判明した。

【国内記事】 2002年4月15日更新

話題のNRシリーズはMacで使えない!?

 「CLIE NRシリーズは付属のクレードルを使ってMacとHotSyncすることができない」というのは周知の事実となっている。本誌でもその可能性について触れ記事を掲載したが,その後の調査や検証でもCLIE NRシリーズとMacとのHotSyncは不可能だった。

 ただ,どのような手段を講じてもNRシリーズとMacとのHotSyncができないわけではない。例えば,赤外線ポートのついているMacならば,赤外線経由でHotSyncできる。また,かなり強引な手としては「シリアル接続のクレードルを使う」「Virtual PCを使う」という方法で,Macを母艦としたCLIE NRシリーズのHotSyncが行えることも耳にしている。

 このHotSyncの状況を分析すると,「NRシリーズ付属のクレードルではMacとHotSyncできない」ということが分かる。実際には,NRシリーズに付属するクレードルに強引にTシリーズを載せればMacとHotSyncできることから,「NRシリーズのシリアルポートではMacとHotSyncできない」というのが今のところの結論となっている。

 しかし,もうひとつNRシリーズとMacとでHotSyncできるようになる方法が見つかった。それはBluetoothを使う方法だ。CLIE用にBluetoothカードが発売され,それと前後してMacでもBluetoothをサポートする話が浮上したが,Bluetoothを使えばNRシリーズとMacとでHotSyncできることが判明したのだ。ただ,これはβ版やサポート外のソフトおよびハードを使っての検証結果であるため,メーカーや本誌が責任を負えるものではないことを予めご了承ただきたい。


PEG-NR70VとMacとでBluetoothを使ったHotSyncに成功。赤外線やシリアルクレードル,Virtual PCを使うほかにもうひとつの方法があることが判明した

Bluetoothを使ってNRシリーズとMacとでHotSyncする方法

 CLIEにBluetooth機能を追加する機器はすでに発売されている。それは「PEGA-MSB1」というメモリースティック型Bluetooth Cardで,これをNRシリーズに装着する。

 MacにBluetooth機能を追加するソフトは,Mac OS X用の「Bluetooth Previewソフトウェア」が今月初旬にリリースされている。また,同じくMac OS Xでも動作する「PalmDesktop 4.0日本語版β」も入手可能だ。ただし,Mac側のBluetoothアダプタについては,正式にサポートされた製品はまだ発売されていない。筆者はいくつかの動作報告があったミツミ電器の「WIF-0402C」を入手し,検証に利用した。


「Bluetooth Previewソフトウェア」でも使えると噂されていたミツミ電器の「WIF-0402C」。筆者の環境では動作が確認できた。詳しくはMacWIRE Onlineで探っていく予定だ

 NRシリーズとMacのセットアップが終わったら,両者でBluetoothを使ってHotSyncするように設定する。NRシリーズ側では「環境設定」アプリの「接続」項目でBluetoothを使ってPCと接続できるようにした設定値を作成し(この詳しい設定方法は付属のマニュアルに記されている),Mac側ではPalmDesktop 4.0の「HotSyncマネージャ」でBluetooth Previewソフトウェアをインストールすることで追加される「Bluetooth-PDA-Sync」項目をHotSyncで利用できるように設定する(Mac側の詳しい設定方法は同ソフトのオンラインドキュメントに記されている)。そしてNRシリーズから「HotSync」アプリを使ってHotSyncアイコンをタップすると,見事にNRシリーズとMacとでHotSyncができた。


「環境設定」アプリの「Bluetooth」項目。ここでBluetooth機能をオンにする


「環境設定」アプリの「接続」項目。ここでHotSyncに使う接続設定を作成する


Bluetooth Previewソフトウェアを使ってBluetoothを使用する仮想シリアルポートを作成する(標準で「Bluetooth-PDA-Sync」項目は自動生成される


「HotSyncマネージャ」で仮想シリアルポートを使用するように指定


HotSyncはNRシリーズの「HotSync」アプリから,ボタンをタップして行う。クレードルのボタンを押すだけ,というのと違って少々手間がかかる

 Bluetoothを使ったHotSyncの速度は,電波の状況にもよるが,USBと比べてかなり遅い。また,Bluetoothによる無線HotSyncが可能な距離は「6畳の部屋なら問題なく行えるが,隣の部屋に移ると,扉付近でないとHotSyncができず,完全に壁を隔てるとHotSyncができない,または中断される」という状況だった。なお,筆者の手元にあるPEG-NR70VとPEG-T600C,PEG-N750Cの全てでBluetoothを使ったHotSyncは確認できた。

将来性を感じさせるCLIEとMacのBluetoothによる関係

 PEGA-MSB1を使うとメモリースティックスロットが埋まってしまうため,メモリースティックに転送したいファイルの交換はできなくなる(MP3やJPEGデータなど)。また,このHotSyncを実現するためには,トータルで3万円(購入価格はPEGA-MSB1が約2万円,WIF-0402Cが約1万円)かってしまい,コストパフォーマンスを考えると手放しで勧められる方法ではない。Bluetooth通信が可能な距離が狭いことも応用のきかなさ(Bluetoothを導入した無線ネットワーク接続化を狙うなどは難しい)につながってしまい,また,Mac OS 9はBluetoothを使う方法には対応していない。Mac OS Xが必要ということが障害になる人もいるだろう。

 「ここまで手間と費用をかけたくない」というのであれば,もうしばらく待てば,CLIEとMacとの間でHotSyncを実現する「The Missing Sync」というソフトウェアが2.2.1(現在はバージョン2.2)にバージョンする予定で,NRシリーズでの利用が可能になるとアナウンスされている(同社のメーリングリストによれば,先々週末にはリリースされるとのことだったのだが,まだのようだ)。The Missing Syncは,将来的にはiTunes(Mac標準のMP3ソフト)と連携できるようになることもアナウンスされており,NRシリーズの音楽再生機能をMacで存分に味わえるようになる可能性もある。

 ただ,MacがBluetoothをサポートすることはすでにアナウンスされており,CLIEがBluetoothを使ってますますその用途を拡張させようとしていることもアナウンスされている。その第1歩となるMacとCLIEの連携を考慮している人のために,今回この情報を掲載した。今後も両者のBluetoothを通じた関係に注目していきたい。

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[濱田宏貴,ITmedia]

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