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2002年5月20日 03:46 PM 更新
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Javaアプリ事始め 第11回
サウンド再生しよう その2
J-フォンのパケット通信対応51シリーズでは、Java機能が大きく強化された。今回はサウンドに関して、実際のSMAFファイルの作成とフレーズプレーヤーを使った再生について解説します。(最終回)
Javaアプリのサウンド再生のおさらい
前回はJavaアプリのサウンド再生、特にメディアプレイヤーを使ったサウンド再生について解説しました。今回は実際のSMAFの作成方法と、フレーズプレイヤーを使ったサウンド再生について解説します。フレーズプレイヤーを使うと、メディアプレイヤーを使ったときとは違ったサウンド再生ができます。
SMAF/Phraseの作成
SMAFはSMF(Standard MIDI File)(用語)を専用ツールで変換して作成します。専用ツールはSMAFサイトのソフトウェアダウンロードページから無償で入手可能です。このツールを使って実際にサンプルJavaアプリで使用するSMAF/Phraseを作成してみましょう。あらかじめ、ダウンロードしたSMAF/Phraseツールを展開してインストールしておいてください。SMAF/MA2/MA3ツールも同様にダウンロード可能ですが、今回は使用しません。
まずインストールしたSMAF/Phraseのツール「SscMA3」を起動してください。ウィンドウが開いてUIが表示されます。
SMAF/Phrase作成ツール「SscMA3」
起動が確認できたところで、画面左の「OPEN SMF」ボタンを押します。ファイルダイアログボックスが表示されますので、SMAF/PhraseツールのSampleディレクトリに含まれるSample1.midを指定します。指定が完了したら画面右の「CONVERT」ボタンを押します。変換が成功すると、ステータス画面に「OUT:Sample1.spf(323Byte)」と表示されます。同一ディレクトリに出力ファイルと同じファイルが存在するとFile write errorになりますので注意してください。ドラッグ&ドロップで複数SMFを一度に変換したい場合には、OPTION内のAuto Convertをチェック後左上のウィンドウ部分にSMFファイルをドラッグしてください。
ツールで変換できるSMFフォーマットの詳細については、SMAF/Phraseツールに含まれるSMF制作ガイドラインを参照してください。
サウンド再生サンプル
今回紹介するJavaアプリはこちらです。jadファイルなどをダウンロードしてください(ZIP圧縮されています)。
このサンプルでは、フレーズプレイヤーを用いて複数のサウンドファイルの重ね合わせ再生を可能にしています。メディアプレイヤーでは同様の重ね合わせはできません。
SMAF/Phraseファイルは、あらかじめSMFから変換しておきます。今回はSMAF/Phraseツールに含まれるSample1.mid、Sample2.mid、Sample3.mid、さらにSMAF/MA3ツールに含まれるMusic_sample.midを変換して使用します。合計4つのSMAF/Phraseを使ってサウンド再生を行います。
このJavaアプリは、上下キーで操作したいサウンドを選択して制御します。選択されているサウンドは青い枠で囲まれます。その状態で「1」キーを押すと、サウンドが再生されます。もう一度「1」キーを押すとサウンド再生が停止します。再生状態で「2」キーを押すと一時停止し、もう一度「2」キーを押すと再開します。停止状態で「3」キーを押すとリピートON/OFFが設定できます。「4」キーを押すとすべてのサウンド再生が一時停止します。「5」キーを押すとすべてのサウンドが開放/作成されます。どれかを再生開始した状態で別のサウンドを選択して再生すると重ね合わせ再生されます。リピートにした状態で複数のサウンドを再生させると、重ね合わせの効果がはっきりと分かります。
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操作中のサウンドサンプル(PhrasePlayer)
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ソースコードを以下に示します。APIの詳細に関しては、JavaアプリAPIリファレンス(JavaDoc)を参照してください。
TestPhrase.java
TestPhrase.jad
今回はサウンドの作成方法とフレーズプレイヤーについて解説しました。重ね合わせするサウンドを選んで効果的な再生をすると、ゲームのBGMと効果音の重ね合わせなどに応用できます。
今回で主なJavaアプリの機能の説明は終わりましたので、連載はこれで終了します。Javaアプリではどんなことができるのかだいたい理解していただけたことと思います。あとはこれまでに紹介してきた機能の詳細をご自分で確認してみてください。11回の連載で紹介した機能だけでもかなりのことができますので効果的な組み合わせを模索するのもよいでしょう。
携帯電話Javaプラットフォームはいろいろありますが、Javaアプリでしか実現できない面白いJavaアプリができると思います。Javaアプリの機能のうち、まだ紹介していない機能もたくさんありますので、ドキュメントや、開発者が集うMLなどで情報を収集していろいろ試してみてください。
待ちに待ったJavaアプリの仕様公開の機会を生かして、これからもJavaアプリに関心を持ってたくさんアプリを作成していきましょう。
執筆者紹介 コネクト 伊藤広明
株式会社コネクトは、携帯電話向け技術、特に携帯電話向けJavaに特化した開発会社です。ゲームなどエンタテイメント性の高いコンテンツ系ソフトウェアから、ビジネスエレクトロニックコマースに主眼をおいたアプリケーションに至るまで、幅広い分野の携帯電話向けJavaアプリケーション開発・サーバ開発にはじまり、クラスライブラリの開発、各種ツール類の研究開発、携帯電話向けJavaの開発ノウハウを活かしたコンサルティングも行っています。
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