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2002年5月28日 08:47 PM 更新
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ケータイ技術研究所 1
液晶が最も明るい端末を探せ(2/2)
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半透過型の液晶で見ると、J-SH51とA3012CAが頭1つ抜け出ている。A3012CAが2002年4月1日、J-SH51が2002年3月1日と最新の機種であり、わずか数カ月の間に液晶が大きく進化したことを表している。
巷では、「TFT液晶は美しい」「6万5536色表示は美しい」といわれ、製品カタログにもこんな表記が踊っている。しかし、実際の製品を手に取ったユーザーの評価は必ずしもその通りではない。例えば、N503iSとF211iは同じTFTだが、ユーザーの評価は大きく異なる。単に“TFTだから”“6万5000色だから”見やすいとはいえないのだ。
実際、発色数や駆動方式は明るさと関係がない。N503iSは4096色表示だが非常に明るく、6万5536色表示のP211iは今ひとつ輝度が伸びていない。F211iはTFT方式だが、STN方式のN211iやSO211iに輝度で劣っている。
コントラスト比にも着目
絶対的な輝度の高さのほかに、明るい部分と暗い部分の比であるコントラスト比にも注目したい。例えば、F211iは絶対的な輝度は30カンデラとそれほど高くないものの、コントラスト比が50対1を超えており、メリハリのはっきりした表示であることが分かる。
N503iSとSO503iSは100対1を超えており、明るいだけでなはない。また、多くの液晶がコントラスト比20対1以下であるのに対して、J-SH51はコントラスト比30対1、A3012CAは25対1。世代の新しさを印象づけた。
N503iSとSO503iSは輝度、コントラスト比共に優秀であることが分かった。ただし、この美しさは強いバックライトを使った結果だともいえる。液晶の美しさを実現する代わりに消費電力は犠牲になっている。低消費電力を追求する携帯機器の流れの中では、過渡的な仕様といえるだろう。実際、N504iは透過型ではなく半透過型を採用している。
5月29日付記 読者の方から、「反射型液晶は屋内では確かに暗いかもしれないが、屋外では圧倒的に明るくてきれいだ」という指摘をいただいた。確かに、透過型や半透過型では輝度が低いと太陽光に負けてしまい、視認性が非常に落ちる。その点、反射型は明るい太陽光の下でも見やすい。今回のテストは反射光まで含めた公正な計測は難しいという判断から、暗室内で端末のライトのみを使い行った。屋外での見やすさはまた別の尺度が必要になるだろう。ただし、輝度が圧倒的に高いN503iSは、かなり強い日差しの下でもしっかり画面が見えたことをお伝えしておく。
輝度とは? 輝度とは、光源の明るさを表す単位で、光によって照らされた場所の明るさを示す照度や、光源から発生する光の量(光束)とは別。ノートPCの液晶ディスプレイの輝度は100〜200カンデラ前後が多い。CRTでは200〜400カンデラまで上がる。
今回のテストでは、輝度のほかにスペクトル分布も計測できた。人間の目に見えるのは380n〜780nmの波長を持つ光。これよりも波長が短ければ紫外線に、長ければ赤外線になる。スペクトル分布では各波長ごとの出力が分かる。
赤、青、緑のグラデーションを表示し、スペクトル分布を計測してみた。上がN503iS、下がA3012CA
ただし、この分布図から色再現域を求めることはできなかった。
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[九条誠二, ITmedia]
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