Mobile:NEWS 2002年6月18日 00:20 AM 更新

無線LANの主流は、“混沌の後”802.11a&11gへ

IEEE802.11bの急速な普及が始まっているが、業界の目は早くもその後継規格に向いている。だが、後継を狙う通信規格は数多く、しばらくは混沌とした状況が続きそうだ。11aや11gが主流にはなるが、現段階では課題もあると米Enterasys Networksは見ている

 現時点で“無線LAN”といえば、普通はIEEE802.11b(以下11b)のことを指す。1万円以下の低価格でクライアントカードが販売されており、新発売のノートPCの多くに内蔵されるなど、その普及が急速に進んでいる。ガートナーの調査によると、無線LANのインストール台数は2001年で既に100数十万に達している(6月4日の記事参照)。

 しかし、11bは2.4GHzという公衆の帯域を使い、暗号化も脆弱。そのため、混信やセキュリティに課題があることは、よく指摘される(2001年7月の記事参照)。また、通信速度が11Mbpsと、今となっては遅いのもネック。11bは無線LAN普及の先導役にはなるが、いずれはより高速でセキュリティもしっかりした後継規格に取って代わられるだろう――というのは、業界関係者の多くの見方が一致するところだ

 ただ、問題はその後継規格が何になるか。いくつかの規格が後継に名乗りをあげており、それぞれ一長一短があるからだ。この点について、企業向けネットワーク製品を得意とする米Enterasys NetworksのCTOスタッフ、Roger Durand氏に尋ねたところ、「混乱の後、802.11aと11gが突出してくるだろう」という見方だった。


次世代の本命は802.11a?

 11bの後継規格というと、まず名前があがるのが、5GHz帯を使い54Mbpsを実現する802.11a(以下11a)、それに11bと同じ2.4GHz帯を使いながら54Mbpsの通信速度を実現する802.11g(以下11g)だ。

 それ以外の“有力馬”では、例えば低消費電力で超高速通信を可能にするといわれるUWB(Ultra Wide Band、4月18日の記事参照)や、IEEE802.15として承認されたBluetoothなど(3月22日の記事参照)がある。このうちUWBについては研究開発段階ながら、UWBは米連邦通信委員会(FCC)が商用に認可したほか、「韓国政府はUWBに相当な出力を使ってもいいと認める方向で動いている」(Durand氏)と、かなり具体的な動きがある。

 ただ、Durand氏の見解では、次世代標準に一番近い“本命”は、やはり11aということだった。その理由の1つは、5GHzを使うという利用帯域の違いだ。11bなどの無線LANが使う2.4GHz帯は「既存のものとのバッティングが、今後よりひどくなる」(同氏)と見られるため、業界が選ぶ次世代規格は「もう少し安全な帯域に移っていく」(同)と考えられるからだ。

 もう1つの理由は、利用できるチャンネルが増えることだ。11bでは3チャンネルしかなく、ロードバランスやローミングを行うのに制約がある。それに対し5GHz帯は、利用可能周波数が国によって多少異なるが、11aなら「米国で12チャンネル、日本でも11チャンネルが将来的に使えるようになる」(同氏)。

 とはいえ、Durand氏は単純に11aで一本化されるとは考えておらず、11gもある程度の地位を得ると見る。この11gの最大のメリットは、広く普及が始まっている11bとの互換性にある。「11bの利用は次第に収束していくが、当面の間はサポートが必要だ。また、地方や辺境の地域では、(11bや11gが)当面は生き残るだろう」(同氏)。

 Bluetoothは、従来のLANプロファイルに代わり家電ネットワークに焦点を合わせたPAN(Personal Area Networking) Profileが登場し(2月28日の記事参照)、近距離で無線LAN代わりに使われることが期待されている。しかし同氏は「Bluetoothを無線LANとして使うと、本来の目的から外れていってしまうのではないか」という見方だった。

標準化までの課題

 Durand氏が有力という11aと11gだが、同氏によれば、まだ方向性が完全に固まったわけでもないようだ。

 11gは、11bと同じ2.4GHz帯を使うが、変調方式を変えることで高速化を実現している。必須なのは、54Mbpsを実現するOFDMと、11bとの互換性を保つためのCCK変調方式。ただし、22Mbpsのスピードを持ち「S/N比が低いときにビル間などで最適なパフォーマンスを持つ」(Durand氏)PBCC方式や、CCK+OFDM方式もオプションとして用意される(1月17日の記事参照)。「11gの相互互換性が確かめられた形で始まるには、おそらく1年程度かかる」というのがDurand氏の見通しだ。

 11gに関しては、Wi-Fiの制定に時間がかかるだろうとDurand氏は見ている。「11gは11aと規格制定を争ってきた。11aが先に決まったことで焦って11gを決めた。しかしWi-Fiの制定にはその分しわ寄せが来る。注意が必要だ」(Durand氏)

 一方、5GHz帯を使う11aは、既に製品が登場している。しかし、Durand氏はこれらを“アーリーグループ”と呼び、11aの主流とはなり得ないだろうと指摘する。

 理由の1つは、現行の11a製品ではセキュリティ強化を図るIEEE802.11iの導入が容易でないこと。この802.11iは脆弱性が指摘されていたWEPを改良したもので、AES(Advanced Encryption Standard)を採用し、より強固な暗号化を実現する。2003年1月には規格がまとまる見込みだ。

 また、同氏はもう1つの理由として、11aの相互互換性確認テストWi-Fi5を通っていないことを挙げる。「Wi-Fi5は2つ以上のチップベンダー、3つ以上のソリューションベンダー間で相互接続の確認を行う。テストをパスする製品が出てくるのは今年の後半から」というのが同氏の予測だ。

 つまり11aも11gも、具体的な製品としてはまだまだこれから。さまざまな独自規格が整理され、Wi-Fiで相互互換性が確認されてからが導入時期となるというわけだ。同氏によれば、Enterasysでは、11a/11bのデュアルバンド製品を2003年春、11a/11gのデュアルバンド製品を2003年秋に投入予定だという。

 なお、CoS(Class of Service)/QoS(Quality of Service)を実現し、「今後のキラーアプリケーションの土台となる」(Durand氏)というIEEE802.11eは、現在3rdドラフト。Durand氏は、最終仕様がまとまるのは2002年11月ではないかと見ていた。

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関連リンク
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[斎藤健二, ITmedia]

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