Mobile:NEWS 2002年7月3日 00:44 AM 更新

モバイルIPv6が本格化 各社がN+Iで対応端末を披露

千葉・幕張メッセで開幕した「NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO」の目玉の1つに、IPv6関連のソリューション/製品が挙げられる。今年はその中でも「モバイルIPv6」が熱いようだ

 幕張メッセで開催中のネットワーク関連総合展示会「NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO」(N+I)では、例年同様、IPv6への取り組みが大きなテーマになっている。幕張メッセ9ホールにはIPv6関連の製品やソリューションを集めた「IPv6 Show Case」が設定され、多くの来場者が足を止めて説明に聞き入っていた。


 そのIPv6関連の展示で目立ったのが「モバイルIPv6」を実装したPDAだ。コンパックや日立製作所、シャープなど各社がデモンストレーションを行っている。デモの内容は、各社とも「モバイルIPv6による移動通信」にフォーカスしたものだ。昨年のN+IではモバイルIPv6をデモしていたのは、ノキア・ジャパンだけだったことを考えると、モバイルIPv6がいよいよ盛り上がりそうな雰囲気であるy。

 モバイルIPv6を実装することの大きなメリットの1つに、ネットワークのアドレスが切り替わってもセッションを保持できることがある。例えば、日本ヒューレット・パッカードのブースでは、モバイルIPv6を搭載した「iPAQ」を使い、ストリーミング配信中に別のネットワークに移動するデモンストレーションを行っていた。ただ、実際に会場内を移動するわけではなく、イーサネットで接続されたiPAQのケーブルをルータから外し、別のルータにつなぎ直すことで、移動したのと同じ状況を仮想的に作り出している。外した瞬間は、ストリーミングが停止するが、つなぎ直すと1秒もしないうちにストリーミングが再開された。モバイルIPv6の実装は、PDAによるVoIPの実現にもつながるが、この“タイムラグ”をもっと短縮しないと、通話サービスとしては厳しいかもしれない。

 「現在、モバイルインターネットサービス(MIS)が三軒茶屋で行っている“街角無線LAN”ではIPv4を使って移動通信を行っているが、独自に開発している部分が多く、他の事業者が行うにはなかなか難しい面もある。それがIPv6なら移動通信のシステムを容易に構築することが可能になる」(日本HP)。




IPv6搭載iPAQによるネットワークを切り替えるデモ(上)。NTT東日本もiPAQを使用。ネットワークを有線から無線にスイッチしてもほぼ中断なくサービスを継続できる。右側の端末の画面にはチャットのハンドルネームが表示されているが、ログインし直すわけではないので、そのままのハンドルネームが使える。シャープは先日発表したLinux搭載を利用してモバイルIPv6をデモンストレーション


日立のWindows CE.NET日本語版を搭載した携帯情報通信端末「NPD-10 JWL」もIPv6を実装。マイクロソフトブースでは、この端末とNTTコミュニケーションズのIPv6ネットワークを使ったデモンストレーションを行っていた

 また、今年3月より、WIDEプロジェクトなどとIPv6の実用化に向けた実証実験を行っているNTT東日本は、iPQAを使い、P2P型のインスタントメッセージングソフトのデモを行っていた。2台のiPAQは、ともにモバイルIPv6を実装。片方のiPAQに文字を書き込むと、ダイレクトにもう一方のiPAQの画面に表示される。また、このiPAQは無線と有線の両方のネットワークを使えるようにしてあり、例えば、チャット中にLANケーブルを引っこ抜いても、ちゃんと会話が続けられるということをアピールしていた。

 盛り上がりを見せるモバイルIPv6だが、まだIETF(The Internet Engineering Task Force:インターネットプロコトルの標準化を推進する組織)で標準化作業が終わったわけではない。今月中旬に、IETF会議が横浜で開催されるが、NTT情報流通プラットフォーム研究所の金丸朗博士は、「この会議のメインテーマの1つがモバイルIPv6。推進メンバーが仕様を提案することになる。それが通れば、いよいよRFC化されることになるだろう」と話す。

 「モバイルIPv6の標準化が遅れているのは、セキュリティについての問題が残っているから。移動通信が実現するのは利用者にとっては大きなメリットだが、一方で、どのネットワークにも入れるのではないかという危険性もある。今回の提案では、そこの部分については大きな改善が図られている」(金丸博士)。

 また、展示会場ではモバイルIPv6を実装したPDAが目立つが、金丸博士は「(モバイルIPv6の)本命は携帯電話。NokiaやEricssonが熱心に開発を行っているが、第4世代携帯電話ではモバイルIPv6が実装されてくるだろう」と話している。

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関連リンク
▼ NETWORLD+INTEROP 2002 TOKYO特集ページ

[中村琢磨, ITmedia]

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