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2002年7月18日　06:23 PM 更新

CDMA2000 1xはマーケティング戦略の勝利

「W-CDMA vs. CDMA2000」の世界で唯一のバトルフィールドだとする国内市場で、KDDIのCDMA2000 1xが好調だ。しかしハイペースで3Gが浸透しているのは、マーケティング戦略の成功によるものだと小野寺氏は語る

　技術優先からマーケティング重視に方針転換──。このところのKDDIの好調ぶりには、こんな理由があるのかもしれない。

　KDDI社長の小野寺正氏は、WIRELESS JAPANのカンファレンスで講演。同社がauブランドで展開する「CDMA2000 1x」（以下1x）の好調ぶりを強調し、それはマーケティング戦略によるものだと語った。

日本は「W-CDMA vs. CDMA2000」の世界で唯一のバトルフィールド

　小野寺氏は、国内の携帯電話市場を「W-CDMA vs. CDMA2000」の世界で唯一のバトルフィールドだと形容する。「（W-CDMAと1xの）両陣営が既にサービスを開始しているのは日本しかない。3Gの市場がどうなっていくのかを現す市場であり、世界から注目を浴びている」。

　その注目される市場で、“KDDIの1xは勝利している”というのが小野寺氏の真意。NTTドコモのFOMAに対して契約者数で圧勝しているのはご存じの通り。流行のサービスの普及速度と比べても、「100万までに達した日数を見たらどうか。1xはわずか84日で突破した」と、iモードや写メールよりも1xの普及が早かったことを強調する。

CDMA2000 1xとiモード、写メールが、それぞれ100万台に達した日数

　しかし、好調の理由を“技術が優れていたから”だとはKDDIは考えていない。「cdmaOneや64Kパケットの時、技術だけではお客さんがつかないという、痛い思いをしてきている」と小野寺氏は振りかえって語る。

　それらの経験を生かして、「マーケティング戦略を徹底的にゼロから練り直してきた」（同氏）結果が、現在の成功につながっている。「（3Gのプロモーションでは）CDMA2000 1xという言葉を使わなかった。第3世代という言葉もあまり使っていない。端末も4月1日に揃えて投入した。これが1xが急激に伸びた理由だと思っている」（同氏）。

　これまでBluetooth対応端末や音楽再生機能付き端末など先進的なサービスや端末を投入してきたKDDIだが、いずれも1機種のみで、製品ラインアップが広がっていない。そんなところへの自戒の念も込めてか、J-フォンの写メールを“マーケティングの勝利”として賞賛している。

　プロモーションで技術をうたわないこと。サービスの基盤となる端末は複数種をそろえること──。いずれもiモードや写メールの成功の理由として、しばしば語られる点だ。1x投入に当たって、KDDIもようやくマーケティングに目を向けた。「（1xが好調なのは）iモードや写メールで使われたような戦略を採ったから──」（同氏）。

2つのシステムを同時にやっていく難しさ

　もう1つ、小野寺氏は運用面でも1xの優位を主張する。2Gと3Gという2つのシステムを同時に運用しなくてはならないNTTドコモとJ-フォンに対して、PDCを終了し、今後1xのみに注力できるKDDIは有利だというわけだ。「今後、新規のユーザー数は年間せいぜい500−600万と見ている。2つのシステムを同時にやっていくのは苦しいと、PDCとcdmaOneをやっていて感じた」（同氏）。

　KDDIは、PDCサービスを2003年3月末で終了（6月20日の記事参照）。cdmaOne端末の開発もストップし、今後は1xのみを提供する。「8月、9月以降、店頭には旧来のcdmaOneの端末はほとんど並ばないと思っている」（同氏）。

　また、J-フォン、ドコモ共に3GではCDMA方式を用いるが、小野寺氏はCDMA方式は「運用に入ってからの品質確保が難しい」と主張する。cdmaOneでノウハウを培ってきたことが、ここでもKDDIの優位点となる。「（これまでと同じ）800MHzで1xをやっているので、電波の状況も全く同じ。cdmaOneのノウハウがそのまま使える」（同氏）。

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[斎藤健二, ITmedia]

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