Mobile:NEWS 2002年5月17日 06:12 PM 更新

岐路に立つ3G。進む道は1つではない

「FOMA普及に向けて一直線に進むドコモ、データ需要を中心に考えるKDDI、世界と歩調を合わせ様子見のJ-フォン──」。国内3大携帯キャリアの次世代携帯電話に対するスタンスが、次第に明らかになってきた

 2002年度に入り、国内3大通信キャリアは第3世代携帯電話に対するスタンスの違いをいっそう明確にし始めている。

FOMA普及に一直線──ドコモ

 最も分かりやすいのはNTTドコモだ。2002年度はFOMAが129万、PDCが171万の純増を予測しており、“純増数の約4割はFOMA”になると見込んでいる。投資額も、2001年度には3800億円だったFOMA向け設備投資額を、2002年度は4483億円に増加。逆にPDC向けの投資額は大きく減らすなど、完全にFOMAにシフトする計画だ。

 しかし、この言葉を額面通りに受け取るのは難しいかもしれない(4月12日の記事参照)。これまでも、「2002年3月にはFOMA契約数15万」(ドコモの立川敬二社長)としながら、8万9400契約に留まったり(4月5日の記事参照)、「エリアが拡大する4月から普及」としながらも4月のFOMA契約者数は1万6100に過ぎなかったりと(5月9日の記事参照)、なかなか普及に弾みがつく様子がないからだ。

 さらに投入端末の数にも矛盾が見える。PDCでは5月の504iに加え(4月23日の記事参照)、6月にはカメラ内蔵型の251i3月4日の記事参照。さらに秋にも新端末が投入される予定であるのに対して、FOMAでは上期に「PDAタイプの投入」、下期に端末の待ち受け時間の向上と共に「映像メール対応端末」の投入を明らかにしているのみ。

 今のところ明らかになっているFOMA新端末は、東芝製(1月30日の記事参照)、松下製、ソニーエリクソン製(2001年4月の記事参照)など数機種。FOMA端末開発の難しさはPDC端末とは比較にならず、機種数が限られてしまうのは間違いない。

 このような状況の中で年間129万の純増──つまり、1カ月に10万契約以上を獲得しなくてはならないわけだ。4月時点で1万6000に過ぎない純増数をどうやって10倍以上にするのかは、お手並み拝見といったところ。

 もっとも、504iは従来のPDC端末よりも高価になるといわれている。現在のFOMAスタンダード端末が2万円台で購入できることを考えると、2002年度は“安いケータイが欲しければFOMA”とし、無理矢理にでも価格面でのメリットを打ち出すのかもしれない。

データへの特化を打ち出すKDDI

 ドコモの第3世代携帯電話が難航しているのに対して、KDDIの第3世代携帯電話「CDMA2000 1x」は、スタート直後から33万4100契約を獲得して好調(5月9日の記事参照)。今後投入する端末はすべて第3世代端末であると明言するなど、KDDIの“第3世代携帯電話は2002年度累計で700万”という数字には信憑性がある。

 そしてKDDIは2GHz帯に、データ専用の通信方式CDMA2000 1xEV-DOを導入することを明らかにした(5月10日の記事参照)。1xEV-DOは第3世代携帯電話方式の1つで、最大2.4Mbpsの通信速度を実現するもの(2001年7月の記事参照)。

周波数帯ドコモKDDIJ-フォン
800MHz帯PDCCDMA2000 1x(1xEV-DOも導入を検討中)
1.5GHz帯シティフォン、シティオ、211iなどデュアルバンド端末PDC
2GHz帯FOMA1xEV-DO第3世代携帯電話

 ドコモやJ-フォンでは、現状の周波数帯が埋まってきており、これ以上利用者を増やすには2GHz帯に移行せざるを得ない。しかしKDDIの場合、CDMA2000 1xの導入によって電波の利用効率が1.5倍に増加する(3月11日の記事参照)。「2GHz帯を使わなくとも音声端末用途は間に合う」(KDDI)

 そのためドコモ、J-フォンが2GHz帯を使いW-CDMA方式の第3世代携帯電話を投入するのに対し、第3世代携帯電話でもKDDIは音声端末は従来通り800MHz帯で、2GHz帯は新たにデータ通信専用に利用する。「(2GHz帯は)あくまで中心はデータ」(KDDI)。もちろん、今後音声端末でも高速データ通信需要が発生することを見込み、音声用の800MHz帯でも1xEV-DOの導入を検討している。

 これまではiモードや写メールの躍進に後手に回り続けてきたKDDIだが、今後は通信ネットワークで優位性を持つ。メリットになると予想されるサービスの1つは、今後さらに進化すると見られるカメラ内蔵端末だ。

 各社カメラ内蔵端末を投入してくるが、ドコモやJ-フォンでは今以上の画像・映像付きメールを実現するのは困難だ。例えばドコモのPDCネットワークは未だに画像のメール添付に対応していない。投入が予定されているカメラ付き端末251iでも、メール添付以外の方法で画像を送受信する見込みだ。PDCネットワークをパケット化したJ-フォンでも、最大メール添付サイズは15Kバイト。現在のムービー写メール以上のクオリティを実現するには第3世代への移行が必要になる。

 ネットワークに余裕のあるKDDIの場合、あとはどんな端末、サービスを投入するかだけが問題(3月12日の記事参照)。夏以降の端末が期待される。

第3世代様子見のJ-フォン。しかし……

 ドコモと同じW-CDMA方式の第3世代携帯電話を予定しているJ-フォンは、サービス開始をさらに遅らせた(4月24日の記事参照)。延期の理由は、表向き、「3G仕様の国際標準に合わせるため」(J-フォンのDarryl E. Green社長)というもの。

 これに対する世間の反応は「遅らせて正解」というもののようだ。J-フォンにも、遅れたことに対する焦りは感じられない。「ドコモのFOMAを見ていれば、あわてて第3世代携帯をスタートさせたくないのも分かる」と語る業界関係者もいる。

 先日もNEC製写メール端末「J-N05」を発表し(5月9日の記事参照)、写メール対応端末は計15機種。未だ写メール端末が好調だけに、2002年度はPDCネットワーク+写メールで乗り切ろうというのがJ-フォンの目論見だろう。

 しかし、Vodafoneグループの一員となるに当たり、J-フォンは第3世代携帯へ注力する方針だった。PDC向けの開発費も大幅に削減されたと伝えられている。対するドコモは504iという大きく機能を強化したPDC端末を投入し、また2002年はカメラ付き端末もJ-フォンの専売特許ではなくなる。

 第3世代を遅らせたのはいいものの、PDC方式のままでドコモ、KDDIに対抗できる新サービスをスタートできるのか。これまで絶好調だったJ-フォンも、今後は苦しい戦いが予想される。

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[斎藤健二, ITmedia]

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