Mobile:NEWS 2002年8月7日 05:23 PM 更新

ドコモのPocket PC「Musea」が目指すもの

ドコモがなぜPocket PCを出すのか――内蔵ソフトや提供される周辺機器から通信キャリアがPDAをリリースする意味が見えてくる

 PDAでも携帯でも、製品が発表されれば、端末の特徴や内蔵ソフト、提供される周辺機器などの情報が明らかになるもの。当然のことながら、ほとんどのPocket PCでもそれは変わらない。ところがドコモの「Musea」の場合、製品が発表されたにも関わらず、まだ謎な部分が多い。

 そこでこれらの点をドコモに聞いたところ、通信キャリアがPDAをリリースする「理由」、そしてハードメーカーの出したPocketPCとはちょっと違うMuseaの位置付けが見えてきた。

オプションで提供される周辺機器は

 Musea向けに提供予定の周辺機器は、本体のシリアル部分にFOMAやパルディオ、携帯電話およびドッチーモを接続してインターネットアクセスするためのケーブル3種のみ。


Musea対応の通信ケーブル。モデム回路はコネクタ部に搭載される

 対応する通信機器は「ドコモのものを使っていただくことが前提」(NTTドコモMMターミナル開発部、C to C端末開発第2担当課長の入鹿山剛堂氏)といい、同社のPDA「Sigmarion II」のように他社製通信カードが利用できない可能性もありそうだ(2001年9月7日の記事参照)。

 また、多くのPocket PCでオプションとして提供される拡張バッテリーパックは、現在のところ提供予定はないという。付けると厚みが増してしまい「ボディを薄くしてカジュアルに使えることを目指した」(入鹿山剛堂氏)という製品開発のコンセプトに合わないからだ。

 音楽を聴くためのリモコンも純正のものを提供する予定はない。カシオ製Pocket PC対応の「リモコン付きイヤフォン JK-840HE」(2800円)を利用することになる。

バンドルソフトは“通信の利用”が前提

 多くのPocket PC同様、Museaにも地図ソフトや路線検索ソフトなどが付属する。ほかのPocket PCと異なるのは、ドコモが提供するサービスに絡んだソフトやユーティリティが多いという点だ。

 例えば「ここNavi」は、ドコモのPHS位置情報サービス「いまどこサービス」用語と連動した自己周辺情報取得システム。端末が通信している基地局の周辺地図の表示を始め、レストランやデリバリーサービスの検索、路線の検索などをトータルで行えるものだ。

 Museaの目玉機能といわれている「M-stage visual」も、これまでは「eggy」(2001年3月6日の記事参照)や「FOMA SH2101V」(7月22日の記事参照)「Lookwalk P751v」(7月8日の記事参照)など、ドコモの専用端末でしか利用できなかったサービスを汎用OS搭載端末で使えるようにしたものだ。著作権保護やセキュリティ機能を施したブラウザやビューワを搭載、ハードウェアとの連携で不正コピー防止を実現しており、「現段階ではほかのPocket PCでは利用できない」(入鹿山氏)という。また、いかなる方法でもコピーできないように「M-stage visualビューワが起動しているときはほかのアプリは起動しない」(同氏)仕組みになっている。

 ドコモはPocket PC戦略について「通信キャリアがリリースする端末ということもあり、端末の販売で利益を上げるのではなく、通信を通してさまざまなコンテンツを楽しんでもらい、それによって上がったトラフィックを収益につなげる」という考え。そのためか、ほかのPocket PCのバンドルソフトに比べると、「単体で楽しめる」ソフトよりは「通信をして楽しむ」ソフトが多いのが特徴だ。

通信カードの設定は自動

 デザインをスタイリッシュにすることで、より幅広い層にPDAを普及させたいというドコモは、初心者の敷居を低くするための工夫をMuseaに盛り込んでいる。

 まず目に付くのはオリジナルのメニュー画面だ。上に3つのアイコン、下にタブ形式のランチャーが備えられ、奥深い階層をたどらずに目的のアプリにアクセスできる仕組みになっている。ActiveSyncでインストールしたソフトは一番右側のタブ「エクストラ」に自動的に入り、そのなかでも使用頻度の高いものは、「お気に入り」に登録しておける。


オリジナルメニュー画面。タブのカスタマイズはできない

 また初心者がつまずきやすいインターネット設定も「Moperaクイックスタート」で簡単にできるという。「ドコモの通信カードを挿して『設定スタート』を押せば、DNSやIPアドレスなどの面倒な設定を自動でやってくれる」(入鹿山氏)。

 ほかにもDoPaの使い過ぎを警告する「DoPa警告設定」や、裏で動いているアプリを一括終了させるメニューを1回のタップで呼び出せるアイコンなどが用意される。

 ボディカラーのバリエーションについては「10万台売れたら出せるかもしれない」(同氏)と話す。「オプションカラーのフリップで雰囲気を替えるというアプローチも考えられる」(同氏)。

エンタープライズを意識しているのか

 Museaのメインターゲットはコンシューマーだとドコモは説明するが、「Wake On Ring機能を使えるということもあり、エンタープライズも視野に入っている」と入鹿山氏。

 同社のSOHO向けサーバ製品「MMQUBE」はメールをプッシュする機能も備えているため、「Wake On Ring機能を搭載したMuseaとの組み合わせで法人向けにアプローチする計画だ。「エンタープライズ市場では立ち上がるまでに半年ぐらいかかる。発売当初はコンシューマーメインで、その後はエンタープライズ向けに火がつけば、息の長い製品になる」(入鹿山氏)。

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関連リンク
▼ Musea製品ページ

[後藤祥子, ITmedia]

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