Mobile:NEWS 2002年8月28日 03:14 PM 更新

「504i」JavaオプションAPI・拡張APIのススメ(3/3)


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サンプル

 オプションAPIの概要を一通り紹介したところで、オプションAPIの実装例を紹介しよう。今回紹介するサンプルは描画に関するものを主に取り上げる。実装に関する詳細は、ドコモが公開している「iアプリコンテンツ開発ガイド for 504i (iアプリオプション・拡張編)」および「APIリファレンス (iアプリオプション・拡張API編)」を参照していただきたい。

高レベル3D描画


高レベル3D描画の例

 高レベル3D描画で使用する3Dデータは、指定の3Dモデリングツール(Windows用のみ)で作成する。それぞれのモデリングツール用にデータ出力用のプラグインが提供されており、「MascotCapsule」のWebサイトからダウンロードできる。出力されたデータは、専用ツールでさらに変換され、iアプリで解釈できるデータとなる。

 Windows上で動作するデータビューワもWebサイトで提供されており、iアプリに組み込む前にデータを確認できる。エミュレータでも3Dデータを表示できるが、専用のDLLをWebサイトからダウンロードしてエミュレータに組み込む必要がある。この例では、モデリングツールで作成した後に変換した3DデータをAPIで単純に描画している。

低レベル3D描画


低レベル3D描画の例

 低レベル3D描画で使用する3Dデータは、VRML出力可能な3Dモデリングツールで作成する。出力されたVRMLデータを専用ツールで変換し、iアプリで解釈できるデータとする。専用のビューワは提供されておらず、確認するためには実際にiアプリに組み込む必要がある。エミュレータで表示するには、三菱電機のWebサイトから専用のDLLをダウンロードして組み込む。この例では、3D空間と人型モデルを作成し、空間内で人型を移動させている。

背面LCD描画

 背面LCD描画もエミュレータでの動作確認が可能である。そのためにはエミュレータの端末設定で「device3」をあらかじめ指定しておく。この例は、背面LCDに画像を描画したものである。通常の画面に描画するときと同様に画像のオブジェクトを専用APIで描画する。背面液晶がモノクロの場合には、カラー画像は期待通りには表示されない可能性があるため注意が必要である。この例では、ディスプレイと背面ディスプレイの双方に同じ画像を描画している。

2D描画ー画像の回転・反転

 今までは反転・回転画像を使用したい場合には、その数だけ画像をそれぞれ用意しなければならなかったが、この機能を使えばその必要はない。この例では、1つのキャラクター画像をAPIで回転・反転させて、4種類のキャラクター表示を可能としている。

2D描画ー画像の拡大縮小


画像の拡大縮小は、任意の倍率で画像の大きさを変更することができる。結果次第では画像がつぶれたり、ドットが目立ってしまったりする可能性があるので、注意が必要だ。

2D描画 - パレット変更



パレット置き換えの例(上)、透過指定の例(下)

 2D描画のパレット変更は、任意のパレットエントリーを別のパレットに動的に置き換えられる。また指定パレットを透過にすることも可能だ。パレット変更の例では、1つの色を別の色に置き換えている。透過指定の例では、指定した色が透けて背面の色(黒)が表示されている。

2D描画ー背景との演算

 2D描画の際に、背景との演算後の画像を描画できる。この例では、描画する画像の背景に対する割合を減らして描画したため、全体的に薄い(透けた)画像となっている。

2D描画ースプライト描画

 スプライト描画は、専用の画像データを用意して専用APIで描画する。通常の画像描画より高速なので、複数の描画オブジェクトを扱う際に有効である。この例では、複数の円をランダムに移動させている。

オプションAPIの今後

 現状では、オプションAPIは「基本APIだけではできない各メーカーの独自性を出したもの」という位置付けに近い。しかしドコモによってそれらがまとめられ、他社にもその実装が許されていれば、あるメーカーで反響の大きかったものは、次の機種ではほかのメーカーが実装することも十分にあり得る。

 全メーカーで対応したものは実質的には共通のAPIということで、事実上標準のAPIとなるだろう。今後とも、高機能化に伴いどのような特殊なAPIが登場するか、またオプションという位置付けがいつまで続くのか、オプションAPIの動向に注目していきたい。

執筆者紹介 コネクト 伊藤広明
株式会社コネクトは、携帯電話向け技術、特に携帯電話向けJavaに特化した開発会社です。ゲームなどエンタテイメント性の高いコンテンツ系ソフトウェアから、ビジネスエレクトロニックコマースに主眼をおいたアプリケーションに至るまで、幅広い分野の携帯電話向けJavaアプリケーション開発・サーバ開発にはじまり、クラスライブラリの開発、各種ツール類の研究開発、携帯電話向けJavaの開発ノウハウを活かしたコンサルティングも行っています。



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関連リンク
▼ NTT DoCoMo iアプリコンテンツの作成について
▼ MascotCapsule Tool kit
▼ My D-style:3Diアプリ仕様
▼ SMAF Official
▼ E-アニメータサポートサイト

[コネクト 伊藤広明, ITmedia]

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