Mobile:NEWS 2002年8月30日 01:56 AM 更新

プレイステーション並の3Dが携帯に〜エイチアイの新3Dエンジン

エイチアイが公開した携帯向け「Mascot Capsule」のバージョン3は、フルソフトウェアながら「プレイステーションレベル」の3D表現を可能とする。まずはアプリケーションプロセッサを中心に実装され、mobidecではデモンストレーションも行われた

 ドコモの「504i」シリーズやJ-フォンに3D描画エンジンを提供しているエイチアイの川端一生社長が8月30日、mobidec2002で講演、3Dエンジンの次期バージョンを紹介した。

 エイチアイの3Dエンジン「Mascot Capsule」は、当初の“3Dが映る”レベルだったバージョン1から、“リアルタイムでシェーディング”を行うバージョン2へと順調な進化を遂げてきた。

 今回登場したバージョン3は、「ソフトウェアだけでプレイステーションレベルの3D表現が可能になる」(川端氏)エンジンだ。既に各種アプリケーションプロセッサや、ズコット・ワイヤレスのJavaプロセッサ「Xpresso」へ移植が完了しており、今後携帯電話を含めたさまざまな端末への実装が予定されている。

メーカープラットフォーム名
IntelPXA250
日本テキサス・インスツルメンツOMAP
日立製作所SH-Mobile
日本モトローラDragonBall MX1
「Mascot Capsule Engine Micro3D Edition Ver.3」の動作が確認されているプラットフォーム


バージョン搭載機
バージョン1J-SH07など(J-フォン)
バージョン2504iシリーズ(ドコモ)、J-SH51など51シリーズ(J-フォン)
バージョン3各種アプリケーションプロセッサ

バージョン3で大きく向上する表現力

 「非常にプロセッサが速くなった」(川端氏)のが、バージョン3の表現力が向上した理由。バージョン2まではプロセッサパワーに合わせて表現力を落としていたが、今回一気にプレイステーションレベルまで引き上げた。

 バージョン3では空間表現が可能になった。バージョン2までは2Dの背景の上で3Dのキャラクターが動作するものだったが、今回は「奥行き──Z軸を定義し、空間そのものも3Dになった」(同氏)。

背景も3Dになった。左の画像は開発プラットフォーム上でデモンストレーションされたサンプル映像(MPEG-1、780Kバイト、クリックして再生


左右のトラはまったく同じデータ。パース表現が可能になり、遠近感を出せる。カーナビ風の3D地図表示も可能となった


テクスチャアニメーションが可能となった。複数のテクスチャを定義して切り替えることで、アニメーションが行える。「3Dキャラクターの表情を変えていくことができる」(同氏)


アンチエイリアス処理もサポートされた。「商品をじっくり見てもらう場合、アンチエイリアスをかけて高画質に」(同氏)。ただし、その分描画処理に時間がかかるためフレームレートが低下する。アプリケーションに合わせて使い分けるものになる


テクスチャサイズも従来の128×128ピクセルから256×256ピクセルに増加。左は従来のテクスチャ、右はテクスチャサイズを256×256ピクセルにしている。レンダリングも24ビット化された。フォトリアリスティックな3D表現が可能になる


アフターエフェクトとして、残像やぼかしフィルタ、エッジフィルタ、セピア調、絵画調、白黒調などが用意された。これまで1体だけだったオブジェクトの複数体表示にも対応した

ゲーム向けのローレベルAPIも公開

 バージョン3から、これまで未公開だったローレベルAPIも公開され、ゲームを作成しやすい環境が整った。ポイントスプライト、モーフィングなどが可能になり、「プレイステーションの3Dゲームのサブセットが動作するようになる」という。

 「ゲームを本気でやる人は使っていただきたい。プリミティブなものであれば、プログラムで記述して3Dデータを起こすこともできる」(川端氏)。


バージョン3で作られたゲームの例。会場では、IntelのPXA250やOMAP、SH-Mobileの評価ボード上で動作するデモンストレーションも行われた

 高性能なアプリケーションプロセッサを中心に移植されたバージョン3だが、ミドルレンジを含めた幅広い携帯電話をターゲットとしていくと川端氏。「カラー液晶を搭載している端末であれば、すべてに3Dを搭載したい」(同氏)。

 最近、携帯に向けた3Dチップの開発表明や発表も相次いでいるが、川端氏は「それらのハードウェアの上で動くMascot Capsuleを用意していきたい」と語る。実質的に、携帯3DのスタンダードであるMascot Capsuleとしては、「Mascot Capsule 3Dに対応したコンテンツを用意しておけば、(どんな3Dチップが登場しても)大丈夫と思われるようにしたい」(同氏)と今後の方向性を示した。



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関連リンク
▼ Mascot Capsule Engine Micro3D Edition/Ver.3機能説明 エイチアイ
▼ エイチアイ
▼ mobidec 2002

[斎藤健二, ITmedia]

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