Mobile:NEWS 2002年10月23日 09:20 PM 更新

キャリアによって違う、携帯“メモリカード”の未来

カメラの普及がもたらす携帯の“メモリカード”対応。単なる外部ストレージにとどまらず、多くの可能性が期待されるが、どんなデータを保存して活用できるかは、キャリアの「著作権保護」に対する考え方によって変わってくる

 携帯に外部メモリカードが搭載される引き金になるのがが、カメラであろうとは誰が想像しただろうか。

 現在のところは、カメラで撮影した静止画や動画を保存できるだけで、メモリカードは役割を果たしているといえる。しかし今後はメモリカードに何を保存できるかの部分で、大きな可能性と課題が生まれてきそうだ。

 そして既に、どんなデータを保存できるかは、キャリアまたは端末メーカーによってスタンスが異なってきている。

著作権保護データの扱いによって、差が出る外部メモリ

 大きな違いは、著作権保護されたデータの扱いにある。最も自由度の高い例は、J-フォンのシャープ製端末「J-SH51」や「J-SH52」だ。著作権保護付きのデータでも、一部を除き外部メモリへの移動が可能になっている(2001年11月の記事参照)。

 逆に、KDDIの東芝製端末「A5301T」では、著作権保護されたデータはSDカードに移動できない(10月8日の記事参照)。NTTドコモの三菱製端末「D251i」では、そもそも“ファイルをコピーする”という概念がない。

 ここは“通信キャリアが著作権付きデータをどう捉えているか”に大きく依存する部分だ。“本体から一切外に出さない”という著作権付きデータの聖域をどう扱うかは、キャリアにとっても判断に迷うところだろう。

 携帯電話で着メロや待受画像、Javaアプリケーションといったデジタルデータが1000億円市場まで伸びたのも、「データがコピーされないという確固とした保証があったから」だと、あるコンテンツプロバイダは語る。暗号化というセキュリティをかけるにしても、注意深く扱うにこしたことはない。

 しかし、外部メモリにデータを出せることには大きなメリットもある。

ユーザーがSDカードに求めることは?

 実際のところ、ユーザーがメモリカードに求めるのは以下の3点になるだろう。

  1. メモリカードにデータを保存して本体メモリの空き容量を確保する
  2. メモリカードにデータをバックアップして不慮の事故によるデータの紛失を防ぐ
  3. これまで通信で行っていたデータの移動を、メモリカードを経由して行う

 携帯が扱うデータが増えるにつれ、本体メモリの容量が圧迫されているのは周知の事実。着メロの多和音化、液晶の高解像度化に伴う待受画像サイズの拡大、年々拡大されるJavaアプリケーションのサイズ……と、著作権保護が必用なデータに限っても、“メモリはいくらあっても足りない”状況だ。

 また有料で購入したデータを、事故や機種変更で失ってしまう可能性があることも懸念の1つ。「携帯に不具合が見つかったが、交換すると着メロデータが消えてしまう……」という状況は、実際に何度も起こり、話題になった(2001年3月の記事参照)。

 著作権保護を重視して、SDカードに移動できるデータを制限すると、(1)と(2)の目的は半ばしか達成できない。特に、動画配信(ezmovie)というファイル容量の大きいデータを扱えるau端末では、著作権保護された動画データをメモリカードに出せないことが、後々大きな禍根となるかもしれない。

 本体メモリの空き容量を確保できることは、エンドユーザーだけのメリットではない。J-フォンのJ-SH51は、この時期の端末としては少ない、500Kバイトという内部メモリしか搭載していない。これは、SDカードがほぼ本体メモリの代わりを務められるからでもあり、少ない本体メモリは端末価格を下げることにもつながる。

 もう1つのメリットは、本体メモリとメモリカードで操作感を統一できることだ。SDカードに対する高度なファイル管理機能を持ちながら、著作権保護データを扱えないA5301Tの場合、本体メモリと同格にSDカードを扱うことができない。

 住所録のデータを例に取ると、(1)アドレス帳ソフトに保存されているデータ (2)データフォルダにvCardとして保存されているデータ (3)SDカードをにvCardとして保存されているデータ の3種類が存在し、それぞれにできることが異なる。電話をかけるためにはアドレス帳に住所録が保存されているのが便利だが、メールに添付できるのはデータフォルダに保存されているデータだ。さらにアドレス帳と一括バックアップが行えるのはSDカードのデータとなる。

 J-SH51では、本体とSDカードのファイルシステムを同格に扱い、ほとんどの場合、操作も同様だ。ユーザーは、“本体メモリがもう1つ増えた”つもりで操作すればよく、「このデータはどちらにないとまずいのか」を意識する必用はない。

携帯に高機能なファイラーは必用か?

 上記の3つの目的を達成することを主眼とすると、携帯電話に高機能なファイル管理ソフトが必要かどうかにも疑問がわいてくる。

 携帯電話への外部メモリの実装に当たっては、WindowsのExplorerのように“まさにファイラー”としての機能を搭載するやり方もある。しかし、「本体の空きメモリを増やす」「データをバックアップする」「本体内のデータをPCで見る」といった目的別のシンプルなメニューでもことは足りそうだ。

 メモリカードの普及と共に、データフォルダの是非にも議論がありそうだ。

 auとJ-フォンが、さまざまなデータをファイルとして一元管理する「データフォルダ」の概念を携帯に持ち込んだのに対し、ドコモ端末ではデータを一元管理する発想はあまりない。

 しかし、A5301Tに見られるようなファイル管理ソフトの高機能化、複雑化が進むとなると、ドコモ的なアプローチのほうが分かりやすさでは上かもしれない(ちなみにメモリの容量配分に関しては実装上の問題であり、ユーザーインタフェースとは別問題と考えるべきだろう)。なにしろユーザーにとっては、「メモリが足りない」「バックアップを取っておきたい」というのが目的であって、そのためにはファイルという概念を持ち出す必用はないからだ。

 「ファイル」という概念がいかに難解かは、PCの初心者に教えたことのある人なら実感できる。「このファイルは著作権保護情報が○になっているから……」といったことを、携帯でもやらせようというのは、少々安易な発想ではないか。高機能なファイラーは一部のマニアを喜ばせるかもしれないが、一般ユーザーに理解と操作法の習得を強いるのは強引だろう。

 例えば、一部のau端末ではダウンロードした着信メロディファイルを、着メロ専用メモリに“登録”し、その中から再度“どの着メロを鳴らすか”を選ぶようになっている。どうしてダウンロードした着メロデータの中から直接鳴る曲を選べないのか、理解に苦しむ。

外部メモリは新たな可能性をひらくか?

 理想的なことをいえば、ファイルという概念を一切使わないインタフェースも可能なはずだ。例えばPalm OSでは、(実装上の問題もあり実用に堪えるとは言い難いが)ファイルという概念を使わずに外部メモリをも扱えるようにしている。

 ダウンロードしたアプリケーションが、実質、内蔵メモリにアクセスできない携帯電話では、扱うデータの数も限られており、ファイルを見せないインタフェースも可能なはずだ。

 今後カメラ搭載機が標準的になるにつれ、外部メモリへの要求は増すことが予想される。著作権付きデータを外部メモリに移動できるようにするかどうかはキャリアのスタンスが問われる。

 加えてPCのような高機能なファイラーを用意して操作を強要するのか、それともユーザーにファイルという概念を意識させずに目的を達成できるインタフェースを用意するのか。こちらは、端末メーカーの技術力に期待したいところだ。



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[斎藤健二, ITmedia]

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