Mobile:NEWS 2002年10月28日 02:37 PM 更新

USB接続のメリットを活かせるか〜AH-F401Uのパフォーマンスをチェック

AirH"初のUSB接続端末「AH-F401U」。抜き差しが簡単なことに加え、USBケーブル経由でも利用できるメリットがある。端末をUSBケーブル経由で延長し、感度のいい場所で使った場合の効果を試した

 USB接続タイプである富士通製「AH-F401U」(10月10日の記事参照)のメリットとして、PCカードスロットがないPCでも利用できること、ノートPCのPCカードスロットをふさがずに済むことが挙げられる(10月24日の記事参照)。

 また、USBケーブル経由で利用できる「はず」という点もある。マニュアルによれば、USBハブ経由で利用する場合には、USBポートが500mAのバスパワー供給可能なことが条件として挙がっており、暗に「必ずしもPCのUSBポートに直結しなくてもいい」ことをほのめかしている。

 USBのケーブル長は仕様で最大5メートルと決まっており、ハブ、もしくは延長ケーブル(延長ケーブルは1ポートのハブと思えばいい)で最大の5段のカスケード接続が可能。USBケーブル長は最大30メートルまで確保することができる。

 ストレージ機器などの場合は、データ通信速度が高速なため多段のカスケード接続では問題が生じることもあるが、AH-F401Uはこの点では問題なさそうだ。AH-F401UとUSBポート間は最大921.6Kbpsだが、これはUSB 1.1の最大バンド幅の10分の1以下でしかなく、実際に流れるデータの速度は最大128Kbps以下だからだ。問題があるとすれば「USBポートからの電力供給が大丈夫か」ということだろう。

 さすがに最大長までは試せなかったが、2メートルと5メートルのUSBケーブルと延長用アダプタ、5メートルのUSB延長ケーブルを用いて動作を確認をしてみた。

 結果からいえば2メートルから10メートル、USBケーブルを介して利用してもなんら問題はない。認識がうまくいかなかったり、通信速度が低下するといった傾向も全くない。USBケーブル長を10メートルも確保できれば、AH-F401Uの固定場所はかなり自由度が増すだろう。


右が5メートルのUSB(A-B)ケーブル、左が5メートルの延長ケーブル。規格最大長のケーブルということでスリムタイプの製品はなく、かなりかさばり重さもある。「ちょっと持ち歩く」という感じではない


こちらはスリムタイプの2メートルのUSB(A-B)ケーブルと延長アダプタ。USB延長ケーブルはスリムタイプの製品がほとんどないので、持ち歩くならこの組み合せの方が携帯性がいい

窓際での効果は

 USBケーブルを利用し、AH-F401UをPCから切り離した位置に固定した場合に通信速度の向上が得られるかを検証してみた。比較のためにPCカードタイプではもっとも受信感度が良いといわれている本多エレクトロン製「AH-G10」(8月27日の記事参照)も利用し、ISPはPRINに統一している。

 AH-F401Uの固定には文房具売り場で見つけた粘着シートを利用。ガラスや壁など表面がつるつるした場所で粘着力を発揮する。きれいにはがせる上、粘着面を汚さなければ何度か再利用でき、付属するケースのような素材にはくっつかないので、モバイルするのに都合が良い


これがAH-F401Uを窓や壁に固定するのに使った粘着シートで350円


ファーストフード店ではこのように窓に固定。高さとしては床から1メートル50センチくらい

 最初の計測は、筆者がよく利用するファーストフード店の窓際。特別に電波状況が良いわけではないが、いつもおおむね60−70Kbps程度の通信速度を確保できる。USBポートに直結した場合に加えて、2メートルのUSBケーブル+延長アダプタを用いてガラス窓のちょっと高めの位置に貼り付けた場合も試してみた。

 結果は、基地局の捕捉状態で大きな差が出た。ガラス窓に貼り付けた場合は50db以上で2つの基地局を捕捉している。直結した場合は最高で39db、AH-G10でも48dbだからガラス窓に貼り付けた効果はかなり大きい。


左からAH-F401UをPCに直結、窓に貼り付け、AH-G10。すぐ脇の窓に貼り付けるだけでも受信感度の向上がみられる

 速度計測サイトでも差が出た。ガラス窓に貼り付けた場合は最高で87.8Kbps、PCに直結した場合が75.1Kbps、AH-G10が78.7Kbpsとなった。10回ずつの計測を3度繰り返した場合の最高値だ。


左からAH-F401UをPCに直結、窓に貼り付け、AH-G10。AH-F401Uを窓に貼り付けた場合が一歩リード

 計測結果を全体で見ると、ガラス窓に貼り付けた場合には7割程度は70Kbpsを超え、80Kbpsを超えることが5回もあった。対して本体に直結した場合の平均は60〜70kbpsくらい。屋内では比較的良好なロケーションといえる窓際でも、ちょっと高い位置に固定するだけで通信速度が向上する可能性があるようだ。

屋内の奥での効果は

 2つ目のロケーションは筆者宅のデスクの上。1階にあり、一番近い窓からは5メートルほど離れている。窓から見通しで見える位置にDDIポケットの基地局が2つあり、AirH"を利用する環境としてはそれほど悪くないが、窓から離れた作業机のあたりで捕捉できる基地局数は多くない。

 ここではデスク上に置いたPCに直結したAH-F401UとAH-G10、そこから5メートルのUSBケーブル+延長アダプタ+5メートル(計10メートル)のUSB延長ケーブルを利用して、AH-F401Uを作業机から5メートルほど離れた窓に貼り付けた場合を計測している。

 基地局の捕捉状況は、やはり大きく違う。AH-F401Uを窓に貼り付けた場合は60db以上で2つの基地局を捕捉した。PCに直結した場合は最高でも40db台だから、やはり窓際で電波を送受信するメリットは大きい。


左からAH-F401UをPCに直結、窓に貼り付け、AH-G10。その差は歴然

 速度計測サイトでは、窓に貼り付けた状態で最高90.3Kbpsを記録した。これは筆者宅のデスク上では(厳密にいえば端末はここにはないのだが)初めて見た通信速度だ。また80Kbps台をコンスタントに叩き出した。

 AH-F401Uを直結した状態では最高が71.8Kbps、AH-G10が76.7Kbpsとなった。どちらも40Kbps台まで落ち込む場合も多く、最高速度以上に窓に貼り付け場合との違いを感じる。自宅でAirH"を活用するユーザーにとって、この違いはかなり大きいだろう。

高速移動時の効果

 最後は高速移動時。首都高速湾岸線東行き東雲入口から辰巳ジャンクション、箱崎ジャンクションを経由して錦糸町出口までの工程ほぼ10キロメートルだ。

 PCは助手席に置き、AH-F401UをPCに直結した状態と、助手席の窓に貼り付けた状態を計測した。タブブラウザで複数のWEBサイトを開き、自動更新機能を利用して継続的に受信が発生するように設定。Windows XPの「パフォーマンス」でRASオブジェクトのデータ受信料をモニターし、ファイルとして出力させている。


助手席の窓にAH-F401Uを貼り付けた。前出の粘着シートだけで固定したが、移動中でもはがれることはなかった

 結果は、やはり窓に貼り付けた場合のほうがデータ受信はスムーズだ。本体に直結した状態では何度かデータ受信が数十秒単位で完全に停止しているが(グラフが水平の部分)、窓に貼り付けた場合は概ね順調にデータの受信が行われている。通信速度が向上するというよりは、データ受信が途切れることなく安定した送受信が可能になるといえるだろう。


最初の1分程度の通信状態が良好なのは、東雲の入口から辰巳ジャンクションまではほぼ直線で道幅が広く、側壁の影響を受けにくいからだろう。PCに直結した状態では何度か完全に受信データの流れが途切れている

 いろいろな環境で試した結果、AH-F410Cを自由な位置に固定して得られる通信速度の向上はメリットになることが分かった。少しでも高速な通信速度を望むなら、USB延長ケーブル(もしくはUSBケーブル+延長アダプタ)の購入は検討すべきだろう。

 なおAH-F410Cの消費電流は230mAと、カタログ値では128Kbps対応AirH"端末では最も大きく、気になるところ。しかし、「AH-N401C」(9月25日の記事参照)のレビューと同条件で通信しながらPCのバッテリー動作時間を検証したところ99分間利用できた。これはAH-N401Cに次いで長いバッテリー駆動時間で、カタログ値をそれほど気にする必要はなさそうだ。



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関連リンク
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[坪山博貴, ITmedia]

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