人からモノへ〜加速するKDDIの通信モジュール戦略携帯電話市場の飽和が見える中、通信モジュールをモノに搭載することで新市場を開拓しようという動きがある。KDDIは、通信キャリア+システムインテグレータとして通信モジュール市場でのビジネスモデルを確立しようとしている
人への提供が頭打ちといわれる中、通信キャリアが次に狙うのは、カーナビやデジタルカメラ、PCなど「モノへの携帯電話搭載」だ。 中でも積極的なのがKDDI。トヨタの情報通信サービス「G-BOOK」(2002年8月28日の記事参照)やパイオニアのカーナビ「Air Navi AVIC-T1」(2002年9月17日の記事参照)、「ココセコム」(用語参照)端末にはKDDIの回線を使うcdmaOne/CDMA2000 1xのモジュールが使われている。 IP.netの講演では、モジュールビジネスを担当するKDDI事業企画本部の原口英之氏が、通信モジュールビジネスのモデルと今後の見通しについて語った。
IP.netの講演に登場した原口英之氏
既に通信機能搭載機器のパイロットモデルとして出した車やカーナビ、セキュリティの市場では、競争が始まっている。「この秋口から来年にかけては熾烈な競争になってくる」と原口氏は見ている。KDDIの通信モジュールを採用したトヨタ、パイオニア、セコムは各業界でも最大手。そのブランド力を利用して、通信機器搭載のメリットをユーザーやサービス事業者に分かってもらいたかったのが本音だという。 次の市場としてKDDIが狙っているのは、地上波デジタル放送だ。地上波デジタルを考えたときに、放送と通信の融合という面でキーになるターゲット市場は車、カーナビ、デジカメ、ビデオカメラ、PC、PDA、ゲーム端末など。携帯性があるものに通信モジュールを搭載することによってキャリアとしてのビジネスモデルを確立したい考えだ。「EV-DOや2000 1xのモジュールを通信に使うことで、付加価値が高められる」。 ほかにもハンディターミナルや決済市場、テレメトリング市場にも通信モジュールが入っていけるという。例えばテレメトリング市場では、「EV-DOを使って広告をプッシュ配信すれば、自販機を広告媒体としても使える」。
通信モジュールビジネスにおいて、KDDIが担うのは「システムインテグレータ+通信キャリア」という役割。KDDIがビジネスモデルと合わせて法人やASPに通信モジュールを営業し、システム構築や通信回線、データセンタを提供する仕組みだ。 アプリケーションの共通化を図り、モジュール開発の負担を軽減させるために、通信モジュールを開発する会社とアプリケーション開発パートナーは限定すると原口氏。これらのパートナーシップの中で、サービス提供に必要なモジュールの小型軽量化やモジュールの1チップ化、Bluetoothや無線LAN、VoIP機能の付加などを迅速に行っていく方針だ。
通信モジュールメーカーに対しては、KDDIがアプリケーション技術を提供し、開発や実装にかかるサポートを提供するという。「販売のリスクはKDDIが負う。モジュールメーカーには開発に専念してもらって、ある一定の市場をパートナーとして享受してもらうことで収益をシェアする」。 KDDIは、こうした通信モジュールのビジネスモデルを海外でも展開したい考えだ。CDMAキャリアのパートナーとなる国とサービスアライアンスを結びながら、製品化する上でのエンジニアリングサポートを提供するとし、海外展開に向けて動き始めているという。
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