ケータイカメラ画質研究ラボ
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31万画素のJ-SH010で撮影した640×480ピクセル(VGAサイズ)の画像とメガピクセルのJ-SH53で撮影サイズをVGAにして撮った画像だ。
J-SH010の方は桜の季節だったので背景の木がピンク色でなおかつぼやけてるが、それを差し引いても、発色の鮮やかさや豊かさ、階調の柔らかさは一目瞭然。ディテールの描写力も全然違う。
J-SH010はめいっぱい頑張ってのVGAサイズなのでディテールが凸凹しているが、J-SH053はメガピクセルサイズの画像を縮小したVGAサイズなので余裕があるのだ。
「VGAサイズが撮れれば十分、VGAサイズでしか撮らない」という人でも、メガピクセルのJ-SH53に変える価値はあるのがこれで分かるだろう。画質は画素数じゃないのだ。
画質面ではJ-SH53はなかなか優秀だが、難点も1つある。写真は液晶モニタを見ながら撮るわけだが、撮影時にモニタの上下に情報を表示するエリアがあるのでファインダーとして見えるのは、中央の正方形部分だけなのである。実際には写るのに見えてない部分がけっこうあるのだ。これはちょっと残念。
続いて室内の例。蛍光灯下で撮影したものだ。
これは優秀。あまりコントラストが高くない室内の写真では階調もちゃんと出ていてどの色もバランスよく明るくてさわやかな絵になっている。これはなかなかいい。斜めの線や曲線が凸凹していたりエッジ強調がキツめで硬い絵にはなっているものの、ここまで出れば問題ないだろう。ホワイトバランスも完璧。
続いて白熱灯下で撮ってみた。
ほんのり赤みがあって悪くない。ちなみに、一番手前の赤いビンがカメラから20センチくらいのところになる。今までの31万画素クラスの製品に比べてピントの合う範囲がやや狭くなり、あまり近いとボケるようになった。そこでマクロモードにして撮ってみるとこんな感じだ。
赤いビンはきれいに撮れたが、その後ろがぼけた。霞がかったような面白いボケかたをするがピントが合わないとこんな感じだ。マクロモードにするともっと近距離までピントが合うので、こんなふうに寄った写真も撮れる。
かなり近寄れるのが分かるし、ここまで近寄って撮ればくっきりしたきれいな写真が撮れる。マクロ時は5−10センチくらいの距離が一番きれいに撮れるといってよさそうだ。
暗いところではこんな感じ。
ろうそくの光で、通常モード、ライチフルーツカラーのライト、グレープカラーの補助光、暗所撮影優先モードの4パターンで撮ってみた結果だ。かなり暗かったがちょっと増感によるノイズが浮いただけで、それなりに撮れているのは立派。ろうそくの炎が派手に白飛びしているのは仕方がないところだ。
補助光は(ストロボと表現しているが、これはストロボとは呼ばない気がする)7色から選べる。光量はさほどでもないが、シャッターを切った瞬間に一瞬明るさが増すので見た目よりは強力だ。
MPEG動画は3GPPに準拠
J-SH53のもう1つのポイントはMPEG-4による動画撮影のサポートだ。MPEG-4といっても解釈によっていろいろあって、特に圧縮はMPEG-4だがファイルの形式がAVIというケースもある。
J-SH53はNTTドコモのFOMAが採用したのと同じ3GPP規格に準拠したMPEG-4ムービーを採用。ファイルの拡張子は3gpとなる。パソコン上では蘭Philipsの「Platform4 Player」など3GPP対応のムービープレイヤーで再生可能だ(3月21日の記事参照)。
モーションカメラモードで撮った動画は画像サイズに176×144ピクセルと128×96ピクセルの2種類が用意されており、176×144ピクセルの場合は64Kbpsのクオリティで録画する。動きはちょっとカクカクするがカメラ付ケータイの動画としてはなかなかの品質だ。
動画のサンプル(3gpファイル、クリックしてダウンロード。蘭Philipsの「Platform4 Player」)
なお、モーションカメラモードとデジタルカメラモードでは本体内のメモリに書き込むことはできない。SDカードへの書き込み専用となるので注意が必要だ。
デジタルカメラモード時のSDカードへの書き込みは、デジカメ界の標準規格「DCF」に準拠した形式で画像が書き込まれる。つまり、DCIMフォルダが作られ、その中に3桁の数字で始まる機種固有のフォルダ名(100JSH53)が作られ、その中に画像ファイルが入る仕組みだ。画像ファイル名は機種固有の名前+連番。J-SH53の場合は「SH53+4桁の連番.JPG」となる。
モーションカメラモードで録画されたファイルはもうちょっとややこしい。
まず「PRIVATE」フォルダの中に「SDJPHONE」フォルダがある。その中にたくさんあるフォルダのうち「SH_フォルダ」内の「モーションカメラ」フォルダに格納されるのだ。文章で書いても分かりにくいが、ややこしい階層構造になっているので仕方がない。深い階層にフォルダが作られるので、PCにSDカードをセットして動画ファイルを転送しようと思ったら探し回るかもしれない。
今回はデジタルカメラモードの画質を中心に見てきたが、それ以外にもスーパーメールが30Kバイトまでの添付ファイルを送れるようになったりとか(現時点ではJ-SH53同士のみ)、デジタルカメラモードで撮影した写真には自動的に「サムネイル」という120×120サイズの画像も作られて、デジタルカメラモードの画像を添付ファイルとして送ろうとすると自動的にサムネイルが添付されるなどの改善点も見られる。
カメラの機能は非常にシンプル。補助光のオン/オフやカラーの切り替え、シャッター設定でシャッター優先か暗所撮影優先かを選べるくらいだ。ほかはマクロモードとファインダーに使う液晶の切り替え、明るさとデジタルズームなどだ。それ以外は全部、ホワイトバランスも含めてオートのみである。それでも画質はなかなかいいし、機能が多ければいいかというとそうでもないので問題はなかろう。
このようにJ-SH53は基本的な使い勝手こそJ-SH010とあまり変わらないし、相変わらずカメラ起動専用ボタンもないシンプルな構造だが、かなりデジカメと呼べる画質になっている。色は十分にきれいなので、あとはダイナミックレンジが広がってくれれば文句ないレベルだ。 これだけのクオリティがあるなら、カメラをワンボタンでさっと起動できるとか、横位置での撮影ができるなど、カメラ機能をもっと前面に押し出したデザインにしてもいいのに、と思うくらいである。
[荻窪圭, ITmedia]
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