小型軽量ながら通信も可能〜iPAQ Pocket PC「h1937」を試す(2/2)
プロセッサはh1920のPXA255/200MHzから統合プロセッサであるSamsong S3C2410/203MHzに変更された。ARM9アーキテクチャで、従来のStrongARMやXScale用ソフトはそのまま動作するため、ユーザーが特に意識することはないだろう。 プロセッサ変更によるマイナス要素はほとんど感じられない。初代iPAQ Pocket PCで使っていたフリーソフトも特に問題なく動き、処理速度面での違和感もない。 CPUの能力が問われる動画再生でも、h1920との差は感じられなかった。Windows Media Encoder9を使い、Pocket PC用プロファイル「Pocket PC ワイドスクリーンビデオ」(320×240ピクセル、20fps)でエンコードした動画ファイルをSDカード上から再生させてみたところ、破綻を感じることはなかった。もちろんエンコード指定された20fpsで再生されているという保証はないが、映像が紙芝居のようになったり、音声が途切れるということもなく閲覧できた。 プロセッサの話からは離れるが、H1937ではPocket PC 2003への変更に伴い、Windows Media Playerも9シリーズにアップデートされ、コーデックとしてWindows Media9に対応している。「Pocket PC ワイドスクリーンビデオ」プロファイルをベースにビデオコーデックをWindows Media9に変更して(標準ではWindows Media8)エンコードしたファイルも問題なく再生できた。
ユーザーが利用できるメモリはh1920の約34Mバイトから約56Mバイトに拡張された。理由は公表されていないが、h1937ではフラッシュROMがh1920の16Mバイトから32Mバイトに増加しており、h1920でRAMをROM代わりに利用していた分が不要になったようだ。Samsong S3C2410にはフラッシュROMも統合されており、低コストにフラッシュROMを増加させられる点が、利用可能なメモリの拡大につながったようだ。
h1920ではメモリカード専用だったSDカードスロットは、待望のSD/IO対応になった。現状ではセイコーインスツルメンツ製のAirH"対応端末「AH-S101S」が動作確認されている。 AirH"対応といえば、「つなぎ放題だが月額料金が高い」という印象もある。もっともAH-S101SはPIAFS32/64Kbps接続もサポートしており、基本料金の安価な従量制の料金プランも利用できるので、用途に合わせた料金プラン選びが可能だ。 AH-S101Sを利用したインターネット接続は、事前にセイコーインスツルメンツサイトからドライバを入手し、ActiveSync経由で本体メモリに転送するか、SDメモリカード経由でドライバファイルを実行すればいい。ユーティティも同様で、容易に導入できる。
AirH"32Kbpsを使ったWeb閲覧は、サクサクとまでは言わないまでも、概ね不満なく利用できる。メールの送受信もテキストベースであればなんら問題は感じない。
「PDA=モバイルインターネット」というユーザーばかりではないだろうが、国内においてはそれを求める層が多いのも事実。SD/IOへの対応で一気に実用性が増したと感じる人も多いだろう。
h1937は、前モデルh1920のサイズと価格はそのままに、ユーザーメモリの拡張やSD/IO対応を果たした。ユーザーメモリはSDメモリカードでも補完はできたが、SD/IO対応、つまり単体でのインターネット接続手段の確保は代替が利かなかった部分。h1920と比べて格段に魅力が増した製品といえるだろう。 期待したいのはSD/IO対応デバイスの増加だ。無線LANカードやBluetoothカードなども発表はされているが、なかなか市場に投入されない。国内では都市部を中心に着々とホットスポットが拡大していることもあり、無線LANカードの登場には期待したいところだ。またh1937やGENIO e350などのSD/IOスロットのみを備えた製品が、SD/IO対応デバイス拡充の起爆剤になればと思う。 関連記事 日本HP、SD/IO機能と新OS搭載のiPAQ Pocket PC「h1937」 日本HPは、薄型軽量iPAQ「h1920」の後継となる「h1937」を8月22日から発売する。Pocket PC 2003を搭載、SDカードスロットはSD/IO対応になった。 薄く軽く安いiPAQ Pocket PCの入門機:「h1920」を試す 米国など海外では既に市場投入されていたiPAQ Pocket PC「h1920」がようやく日本で発売される。伝統のジャケットコンセプトこそ継承していないが、高級感のあるデザインはそのままにコンパクト化を実現。価格もPocket PC 2002搭載製品としては国内最低価格の2万4800円であるなど注目の製品だ 日本HP、2万4800円のiPAQ Pocket PC「h1920」を発売 日本ヒューレット・パッカードは6月2日から、世界最小、最軽量のPocket PC、「h1920」を発売する。価格は2万4800円 SDカード型AirH"端末「AH-S101S」を試す AirH"対応端末にはPCカード型、通話端末型、CFカード型、USB対応型の4種がある。5種類めの端末として登場したのがSDカード型「AH-S101S」。公衆通信デバイスとしてはおそらく世界最小であり、SDIO対応のスロットを備えたPDAを持つユーザーには待望の製品だ 小型軽量でPocket PC 2003搭載の「GENIO e350」登場 東芝は、Pocket PC 2003を搭載した「GENIO e350」を8月9日に発売する。Pocket PC 2003を搭載、12.4ミリという薄さは日本HPの「h1920」を超えた。 [坪山博貴, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 前のページ | 2/2 | 最初のページ モバイルショップ
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